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テーマ:読書(8504)
カテゴリ:読書
連続ドラマとして見られる作品だなと思った。 ググってみると、2021年11月にWOWOWにてドラマ化されている。 キャストはまったく思いもよらない人たちばかりでイメージにそぐわない気がした。 許容できるのは志村照山役の松重豊くらいかも……。
読み始めると、次の展開が気になる。 東日本大震災での原子力発電所の事故の影響から逃れるために京都に避難した妊娠初期の女性・篁菜穂(たかむらなほ)が主人公。一族の有吉美術館で副館長を務めている。絵画に慧眼を持つ女性で、とある美術商で見た小さな作品に魅力を感じ、その画家を後押ししようとする。 美術館と美術商、画家と画商。実家の社業の行く末もあって興味がつかない。 京都の書の大家の一人住まいに居を移し、京の世界を知ることにもなる。 興味を惹きつけて離さないのは菜穂とその母、その夫との関係。世に出ていない画家。 数多くの秘密があり、各人の思いが交錯する展開に、次はどうなると興味を抱かせ、読み手を離さない。 ものすごい力のある作品だと思えた。 ただ、難点があるとすれば連載小説ゆえか、その人物や背景をすでに説明しているにもかかわらず、新しい賞にてくどく説明する文があるように思われたこと。テレビ番組がCMあけにその前の映像を繰り返すような食傷を思えた。また、菜穂の出生や過去の秘密に加えキーパーソンと思える人が各々秘密をかかえていて、そのことが終盤一気に知らされる。この秘密の重要性、関連度が緊密で重大であることにやや“やりすぎ感”を感じた。 とはいえ素晴らしく推進力があり読み手を惹きつけて離さない魅力は相当なものであった。 原田マハ、さすがの小説である。 異邦人 (PHP文芸文庫) [ 原田マハ ] 異邦人 [ 原田マハ ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.01.19 22:56:33
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