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テーマ:読書(8498)
カテゴリ:読書
宮下奈都のこの本、初期の作品かと思って読んだけれど2017年に単行本が初版されているので、あの「羊と鋼の森」の後であった。そのことを今、知って驚いた。
短編集というか「手を挙げて」「あのひとの娘」「まだまだ、」「晴れた日に生まれこども」「なつかしいひと」「ヒロミの旦那のやさおとこ」と7作品が収納されている。 すべてが素敵な作品と言いたいが中でも「ヒロミの旦那のやさおとこ」は秀逸だった。比較に出して申し訳ないけれど「本屋さんのダイアナ」を読んで興味を持ち、「ランチのアッコちゃん」ではまった柚木麻子。彼女の「あまからカルテット」で都会的女子というか都会のエリート女子が女子力とともにハイソなにぎやか仲良し四人組をいきいきと描いていて楽しかった、面白かった。スタイルの良い美女を想像したものだ。対してこの宮下奈都の「ヒロミの旦那のやさおとこ」では幼馴染の三人娘が登場するが三人三様ではあるけれど見た目平均値以下と思える。恐縮だがたとえとしてぼる塾のような三人組を想像した。ただ、もっと体育会系でガタイの良い運動選手のようではあるけれど。そんなガタイのいい、いかつい女が優男を夫にしてしまっている。金がなく女にだらしない優男である。その女友達の主人公はチビだったと思う。彼氏もなく出会いもない売れ残りの彼女。十年来会わなかったいかつい女友達の失踪が原因で女三人組が再会、そして…。予想しえない失踪の原因に驚くばかりだが、その展開、結末の素敵さにしびれた。淡々と何の変哲もない日常を描くことに定評のある宮下奈都が日常の中で起きるさざ波や大波に人はどうするのか描く、そのおもしろさに愕然となった。女子力のない落ちこぼれのような独身女性の心境がとても親身に感じられた。素敵な素敵な本であった。 つぼみ (光文社文庫) [ 宮下奈都 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.02.19 19:09:00
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