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テーマ:読書(8500)
カテゴリ:読書
三島由紀夫がこの本「金閣寺」を上梓した時が31歳であった。 大正の終わり、昭和の年号と同じ年齢の男。 人気の高い夏目漱石が日本の作家で一番だと思っているけれど、ひょっとすると三島由紀夫がダントツなのかもしれない。とはいえ、他の著名な作家をみな読んだかというと読んでいないので偉そうなことは言えない。夏目漱石にしても「門」「それから」「こころ」と感服したけれど、「吾輩は猫である」「坊ちゃん」は導入部で頓挫して読めていない。三島由紀夫に関しては劇団四季で「鹿鳴館」をみて、戯曲「鹿鳴館」を読み、三島の文体に強く惹かれた思いがある。とはいえ、三島に傾倒することはせず、読書にも耽らず、三島の作品としては読もうと意気込んで「仮面の告白」を読んで見て、その内容のあまりに耽美でありグロテスクであり、忌み嫌う感情を払しょくできずに他の作品を読めずにいた。しかるに、テレビ番組でノーベル文学賞の川端康成よりノーベル文学賞であったという評価をきき、ぜひとも読んで見なければという思いから代表作と思しき「金閣寺」を手に取った。 この作品は実際の事件、金閣寺炎上の犯人である若き僧侶見習いを主人公として、彼の思い、彼の願い、彼の感情をつらつらと独白的に書いている。終戦後5年、戦禍の影響は甚だしく、日本が貧困にあえいでいた時代を抜け出そうかという時期で、まだまだ貧しいころであったと思う。その時代背景、若者の気質を同年代ともいえる三島由紀夫が本にした。 読んでみて、何らかの面白み、何らかの共感を覚えたかもしれないが、大いに影響されることなく、読後に金閣寺炎上事件を調べてみて、事件と小説「金閣寺」の結末が少し違うことに疑問を抱いた。三島はなぜこの結末にしたのだろうか。 この「金閣寺」を人に勧めるほどの作品かどうか迷うところである。 それはやはり当時の時代背景を理解していないと共感できないものであり、また主人公・僧侶の心持は現代の若者には何もわからない伝わらないものであるのではと思えるためである。 私としては三島由紀夫の「金閣寺」を読んだことを記念にしたい。 金閣寺 (新潮文庫) [ 三島 由紀夫 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.02.20 08:00:06
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