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テーマ:読書(8500)
カテゴリ:読書
「方舟」という文字を見て、「ノアの方舟」よりも「イエスの方舟事件」を想起していた。 この作品を読み進めると、やはり「イエスの方舟」の方がピッタリとくる。新興宗教がらみの地下施設であった。人里離れた山奥の地下施設。地下だけの、地下三階まである施設に閉じ込められた中で事件は起こる。 ミステリーであるがゆえ、内容を語るわけにはいかない。 すらすらと読める。やはりエンタテイメントの現代作家であるがゆえ、サクサク読み進められるのだろうか。それだけでなく、興味が深まり、物語のその先を知りたくてどんどん読む。 初日に半分、二日目に半分と読んで読破した。 犯人の予想はついた、そして、それは間違っていなかった。けれど、その動機はわからず、動機が分かるクライマックス、結末は阿鼻叫喚するような出来事が待っていた。こんな結末になるなんて、誰が想像しただろうか。誰も想像しえないだろう。驚嘆する結末であり、とんでもない本であった。 読み終えて振り返ると設定や動機に気になる点(つっこみどころ)が見つかるけれど、それは読んでいるうえではまったく気にならず、主人公同様に結末に衝撃を受ける。 ものすごい威力をもった作品だといえる。 方舟 [ 夕木 春央 ] ※「告白」湊かなえ:著がベストセラーで話題になったときに読んで圧巻な内容とすさまじい仕業に驚くだけでなく、嫌悪と恐怖を感じた。性善説と性悪説があるとすれば、「告白」は性悪説の作品であり、私としては読んではならないものと思えた。また、読みたくないと思えた(読んでしまったけれど)。そして、映画化された映画は見ないし、湊かなえは私の禁書となった。以来、湊かなえの本は読んでいないし、映像化された作品も見ていない。この「方舟」も性悪説の作品に思える。しかし、「告白」ほど非道でもなければ、異常でもない。犯人の動機が理解できないわけでもない。それゆえ夕木春央を私の禁書にするかどうかは決めかねている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.02.22 22:38:54
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