|
テーマ:読書(8500)
カテゴリ:読書
どこで見つけたのか、一部で話題になっているこの本を。 思いがけず、読んで見ることにした。 著者は、ニュースメディア「弁護士ドットコムニュース」の編集部記者、猪谷千香さんだ。 ”画廊では、まるで無料のキャバクラかのように女性作家が被害に遭っているという。”という内容はにわかには信じがたかった。ただ、年配の美術愛好家であるおじさんたちが若い娘をひいきにして、時には愛人に仕立てようとしたり、ただの性の相手にしたり、作品を買うことで優位性を保ちまとわりつく、なんて思いもしなかった。 そんなことをしている輩がいるなんて! と、ショックに感じたが、私自身取引先の営業担当の女性に煙たがられたことがある。 それはかわいかったり、好みのタイプの女性営業だったりして、必要以上に親切に対応したり、相談を持ち掛けたりしたところ、やんわりと、あるいはビシッと拒絶されたことがある。もちろん、その時にこちらの好意が勘違いされているとか近づきすぎたと思ったので距離を置いたり、極力関わらないようにした。たぶん普通の感覚があれば、そのように対応できるのではないだろうか。しかるに、この本に登場する男たちはそんなことに気づくこともなく、もしくは意図的に距離を近く、親交を深めようとする。そんなに若い娘が良いのならキャバクラに行けばと思うのだが、同じお金を払っても仕事と割り切るキャバクラでなく社会をまだよくしらない作家に無料サービスをしてもらいたいのだろう。 そんなことが起きている。そのことをこの本は明らかにする。 そして、その根源は美術業界と教育界にあり、男性優位の西洋美術という日本における病巣を指摘する。 権威ある男性作家は自身がわかる作品しか認めない。女性作家の作品は評価しない。また、美術業界も権威ある男性作家を重視する。そのことが女性蔑視をはびこらせている。 その他にも多岐にわたっての指摘があり、驚くばかりの実態に衝撃を受ける。 この本を読んで、ギャラリーストーカーなるものに対応するギャラリーも出てきたことを知る。しかし美術業界は旧態依然でなかなかかわっていかないようだ。 抜本的にでも速やかに芸術大学における女性教授の数を増やし、美術業界がかわることを望む。 文部科学省の官僚、ひいては大臣に読んでほしい一冊である。 ギャラリーストーカー 美術業界を蝕む女性差別と性被害 (単行本) [ 猪谷千香 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.02.25 19:45:48
コメント(0) | コメントを書く
[読書] カテゴリの最新記事
|
|