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テーマ:読書(8504)
カテゴリ:読書
宮下奈都さんのデビュー作と知らずに読んだ。 宮下奈都さん(の作品)との出会いは駅ビルの本屋であった。 こじんまりとした駅のはずれにある書店。店頭には雑誌などが面陳されていて、奥には学習参考書や教材などがあり文庫本が出版社ごとに4列ほどあった。 当時、たまたま(私の)読書週間ならぬ読書習慣でなにかしら新しい作家の本がないかと物色した。そして出会ったのが宮下奈都:著「終わらない歌」であった。 音楽が好きなのでとても興味深く読んだ 2015年10月18日のブログには “ブルン、ブルン、ブルン!! ぶっとび、かっとび!青春讃歌!! わ~~~~~~~~~~~~!!!と、言ってしまいたくなる作品だ。 すごい、すごい心を揺さぶられた。熱くなった、熱く感じた。 心の迷い、悩み?諦め?挫折?苦節? 生きることへのあがき? 夢とは?希望とは? 生きる苦しさにあえぎ、悶え、慟哭し、絶望し、でも立ち上がって、進んでいく。 そのパワーとは、その源泉とは? 女子高を卒業し20歳になった若者がそれぞれの道で生きていく。 オムニバス形式に思える描き方で、ラストに「終わらない歌」で、舞台でスパークする。 ビンビン、ビンビン、心を打った。 楽曲を歌をモチーフに描かれた、それぞれの章。 満足というか、とても至福を感じた。 合唱曲COSMOSを知りえたことは収穫だった。” と書いた。 とてもとても感銘した本であった。 それ以来、作家・宮下奈都を気にかけて、と書きかけたが、その前作である「よろこびの歌」を読んでいる気がする。 ブログをチェックしても出てこない。 本を探してみるか…。 「静かな雨」 読後、しばらくたったので何の話か忘却の彼方へ… となっていたが解説を読んで思い出した。 タイ焼き屋の彼女の記憶喪失の話。その彼女に惚れてしまった松葉杖の男。 うまいたい焼きを焼く彼女。一丁焼き、いわゆる天然たい焼きである。 ゆえにとてもおいしいのであろう。 一枚一枚焼くのであるから。 さて、話はたい焼き屋の彼女と出会い、彼女に惹かれ、事故により一日分の記憶しかない、眠ると忘れてしまう、しかし、事故以前の記憶はある。 そんな彼女に寄り添い、ついには一緒に暮らす。それだけの本。 淡々としながらもほくほくとした味わいがある温かさを感じる話。 併録されているもう一つのお話「日をつなぐ」 中学の時であって、体操服を貸してもらったことによって意識した男の子。 同じ高校に行くことになる。ふたりともブルーハーツが好き。 高校卒業後、彼女は就職、彼は大学へ。 付き合うようになったふたり。 4年が過ぎ、彼は就職して秋田に赴任。彼女は彼を追いかけ退職して同居、そして結婚。 子供が生まれた。 赤ちゃんの世話は大変。彼とは話す時間もなく…。 といった経過が淡々とかすかに感情をにじませながら紡がれていく。 作家・宮下奈都が経験した日常を小説の主人公たちとして造形した秀作に思える。 事件など何も起こらなくても日々の生活の連続性、大変さが、また生きていくことの苦しさと喜びが描かれていると思う。 豆のスープとクラシック音楽が登場する。 食べ物と音楽、宮下奈都の小説にはなくてはならないものだし、彼女のエッセイにも重要なものである。 日常を描く作家として稀有な存在だと思える。 私は宮下奈都作品が好きだ。
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最終更新日
2023.05.13 00:50:23
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