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テーマ:読書(8498)
カテゴリ:読書
大河小説である。 戦国絵巻の中で天下分け目の戦いの勝敗をかけた出来事。滋賀県大津の城の攻防。民のことを思い、城下が戦禍にまみれることを嫌った殿様。その殿様に請われて、その城を守るために石を積み上げる最高の頭領、塞王になるか、なれるかが主人公。石造りの組織・穴太衆(あのうしゅう)の飛田屋の跡継ぎである。 対するは太平の世を作るためには誰からも攻め込まれない最強の鉄砲を作り上げることこそが肝要。火縄銃であれど雨の中でも使える銃を作り上げた敵役・鉄砲づくりの国友衆(くにともしゅう)。 難攻不落の石垣とすべてを打ち壊す鉄砲。「最強の楯」と「至高の矛」の矛盾の戦いはどちらが勝つのか!! 民を思う気持ち、姫を思う気持ち、平和を願う気持ち、太平の世を作りたい気持ち。 功をあげ、名をあげ、富と名声を欲することとは違う、平和を願う気持ちで書かれた小説である。 戦国の世の物語。武将でないものが主人公として描かれる物語は傑作となりえるのか。 直木賞受賞の本作。期待して読んだが、慣れない時代小説であるがゆえ、当初、読み進めることが困難だった。しかし、読み進むうちに慣れてきて登場人物を把握できる頃になると物語の深みにはまり、出てくる人々、それぞれの気持ちを汲んでどっぷりとその世界にはまってしまった。 傑作と言える。素晴らしい本。クライマックスの決着のつけ方はある種、納得のいくもの。 とはいえ、すべてを読み終えた時、満足したとは思えなかった。 それは高い高い山を登り切ってご来光を拝もうと思っていたが、天気が悪く、お日様も景色も臨めなかった感じがした。(「頂点には立った、しかし…」といった感じ) 点数にして98点、96点の出来か。百点満点とはいかない。 満足はしたが、大満足する今村翔吾の作品を読んで見たい。 塞王の楯 [ 今村 翔吾 ] 塞王の楯【電子書籍】[ 今村翔吾 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.06.24 22:44:27
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