|
テーマ:最近観た映画。(39944)
カテゴリ:映画館で見た映画
(C)2023 Studio Ghibli 「君たちはどう生きるか」<ネタバレあり> 極論すると、宮崎駿監督の独善的作品なのではないだろうか。 ネットで見ると“「独善的(どくぜんてき)」とは「ひとりよがりであるさま」を指します”とある。 また、自己欺瞞な作品のような気もする。 これもネットで見ると“自己欺瞞とは、簡単に言うと自分の本心に嘘をついて、無理に自分を正当化することです。”とある。 アニメ映画監督を引退した宮崎駿が今一度と映画に手を出した思いはわかりません。動機となった漫画「君たちはどう生きるか」を読んでいるので、その本のかけらも入っていないような作品に思える。いじめに似たことは描いているのでかけらくらいはあるかも。 看板(題名)だけを借りた作品と言えよう。 もっとも宮崎駿監督の思いとしては内容も近いものがあるのかもしれないが。 ただ、それは描いていないか、描いていても観客には届いていない。届かない描き方だ。 これがもし本で書き上げたものを校閲してもらったとしたら至る所に疑問やつっこみや誤りが指摘されたであろう。そういった指摘をスタッフや鈴木敏夫プロデューサーがしなかったのだろうか。もしくは指摘されていたけれどあえて無視したのか。 物語としては破綻しており、いなくなった大叔父の存在は不可思議であり、その大叔父が統べる世界の下に地獄とも思える海原の世界があり、そこに存在する生き物はいったい何なのであろうか。 はるか昔、消えた大叔父はその世界に存在し、年老いてはいないようである。 同様にそこで出会った少女ヒミは主人公マヒトの母であるという。少女のまま歳をとっていない。現世の火事で行方不明となったならば、大人の女性としての母がいるべきではないだろうか。また、永遠に少女ヒミで天国と思える世界にいるならば現世で大人にはなっていなかったのではないか。ここに矛盾を指摘できる。天国で歳をとらないのならば、その世界にいて臨月を迎えて出産することも不可能。矛盾を感じる。 大叔父に会いに行くときも摩天楼のような階段を昇り詰めた上に黄金色の石の洞窟を通り抜けなければならなかったのに階段が崩れ落ちたところにある石の洞窟を通り抜けてまた大叔父に会いに行ける。これはもう破綻しているといえる内容だ。 現世から迷い込んだインコが天国で繁殖して数限りなく増えてしまったというのも歳をとらないという設定では無理がある。 タイムトラベルというかそれぞれに還る扉が違う。主人公マヒトとヒミは別々の扉から現世に戻ることになる。 そして、天国は崩壊したことになる。 あの異空間は天国だったのか?大叔父は亡くなってしまったのか?あの天国の下界である地獄もなくなってしまったのか? そういったことは描いていないし言及してもいない。 矛盾は至る所にあり、話のつじつまが合わないところあり、設定もおかしいことろがある。 それらすべてを突きつけて否定することは簡単である。それほど穴がある作品である。ただ、それらの穴を認めるとするならば、解決方法としてはすべては夢であったとすれば道理がつく。これは夢の物語でいいのだろうか。 宮崎駿監督の脳裏にある戦中の体験をアニメ映画として残しておきたかったとしか思えない支離滅裂な作品である。その中にあって主人公マヒトは何をえらんだか。どう生きたか。それを宮崎駿監督は見てほしかったのかもしれない。 ただ、意味不明な作品にしてしまったことにより多くの人には伝わらないものとなったしまった気がする。ゆえに独善的映画なのかも。 2023年/日本/124分/G 監督:宮崎駿 原作:宮崎駿 脚本:宮崎駿 声の出演:山時聡真、菅田将暉、柴咲コウ、あいみょん、木村佳乃、木村拓哉、風吹ジュン、大竹しのぶ、阿川佐和子、火野正平、小林薫、竹下景子、國村隼、滝沢カレン お薦め度「君たちはどう生きるか」★★★☆(70%) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.07.19 21:44:12
コメント(0) | コメントを書く
[映画館で見た映画] カテゴリの最新記事
|
|