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テーマ:読書(8508)
カテゴリ:読書
「オオルリ流星群」伊与原新:著 角川書店 45歳定年説。 高校卒業27年ぶりの再会。 展望台建設。 なんと無茶な、なんと壮大な夏休みの課題。 誰かに何かをしろと言われたのではなく、自発的に参加。 ボランティア、そうボランティアなのである。 日々の暮らしに押し流されて、考えるけれども思考は深まることもなく、先に進める道は見当もつかない。昔ながらの調剤薬局を営む。最寄りの駅近くに大きなドラッグストアができたせいで売り上げは落ち込み6割ほどしかない。小学生男の子二人の子供を抱え、親の薬局を継いだ男が主人公。彼だけでなく、地元の中学に赴任した女性教師もまた主人公。彼らの同級生が東京から地元に戻った。個人で展望台を建設するという計画を高校三年生の文化祭に任意(希望者参加)で展示物を作った彼らが手伝う。 高校時代、卒業後、そして現代と後悔と慚愧の念を持ち、現在と過去の複雑な気持ちを抱えながら再生していく45歳の中年を描く。 興味ありありの内容で先が読めず、引きこもりや自殺などいろんな話があり、鬱屈する内容でありながら、ことさら詳らかにするわけでもなく、かといって秘密を死守するわけでもなく、淡々とでも熱情をもって思い悩み行動する。 見えない星を見たい……。 彼ら彼女たちが内包する諸問題に悩殺されながらも展望台建設に勤しむ心持。読んでいて、スポーツで汗を流すような苦しくも爽快感を味わいながら読んだ。 そして、感動した。 素敵な物語です。 45歳を迎える人たちにぜひ読んでいただきたい。お薦めしたい。
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最終更新日
2023.08.30 00:36:48
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