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テーマ:読書(8518)
カテゴリ:読書
「星を編む」という題名を目にしたとき、即座に「舟を編む」という題名がよぎり、何も似た題名にしなくてもと思った。 本書を開くと「春に翔ぶ」「星を編む」「波を渡る」と三部あるので、他の「春に翔ぶ」「波を渡る」という題名でもよかったかもしれないし、“夕星”という題名でよかったかもしれない。ボリュームがあるので、短編三作品をまとめたと考えれば、その中の一つの題名を表題とするという法則に則っているのですがね。 さて、『汝、星のごとく』で語りきれなかった愛の物語と謳っているようであるが、前作が波乱万丈、劇的であり、とても素晴らしい作品だったので、それと並ぶ、或いは超える作品なのかととても危惧した。 前作の記憶も不確かで読み始めた「春に翔ぶ」は衝撃的な話でありながら、前作との関連性がわからず、単独の作品として読了した。 続く「星を編む」は編集者たちの話で、興味深く、時に感動しながら読んだ。表題作となるも当然なのかもしれない。 さいごの「波を渡る」は『汝、星のごとく』と同じ形式で書かれた作品であり、先生と彼女のその後を描いて情報過多と言えるほどの目まぐるしい出来事の多さ。「春に翔ぶ」を思い起こして先生の人生の奇遇を不遇でないものにしたと思える。
振り返ってみれば関連性を感じなかった「春に翔ぶ」がそもそもの起源であり、含蓄(伏線というか)を含んだ物語である。そしてまた生を考える物語であった。 三作品すべて、とてもとてもいい物語でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.11.15 18:52:50
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