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カテゴリ:家で見た映画
Netflix 宮崎あおいの主演、見らねばなるまい。 主演は吉沢亮であるけれども。 そして、脚本は坂元裕二である。彼の脚本は込み入ってて苦手な感じがする。 さて、見終えた感想は、期待しすぎた。 おもしろさもミステリーもそこそこ感じられるが、意外性はクライマックスにこそあれど、それさえ後出しじゃんけんのような感じを持った。謎解きではないけれど、真相が語られると、なるほどと伏線があったことがわかる。けれど、足りない。エンタテイメントが足りない。ちょこちょこ驚くところは点在しているがどれもこれも振り切ってはいない。 これは本の問題か、演出の問題か。 ここまでするのと観客をドン引きさせても良くないけれど、足りないと思われるのはより良くないと思える。 主役のみならず脇役、端役に至るまで名のある俳優が出演しているのである。やりすぎなくらい痛快コメディーにしてほしかった。 Netflix にて 2023年/日本/125分/ 監督:瀧悠輔 脚本:坂元裕二 お薦め度出演:吉沢亮、宮崎あおい、吉田羊、菊地凛子、永山絢斗、泉澤祐希、蒔田彩珠、岡山天音、松井愛莉、近藤芳正、宮崎吐夢、岡部たかし、潤浩、菜葉菜、大貝瑠美華、眞島秀和、林田岬優、光石研、長谷川初範、高岡早紀、安田顕 「クレイジークルーズ」★★★☆(70%) 【ネタバレあり】 題名ほどクレイジーでなかった。 たぶん脚本を書いた坂元裕二はクレイジーな台本を書いたのだろうが、それが、うまく結実しなかったと思える。 宮﨑あおいが久々の主演。そして、ラブストーリーとくれば、映画「初恋」や「ただ、君を愛してる」の彼女を思い、素敵な作品を見せてくれるのだろうと期待した。 結論、そうではなかった。 おもしろくなかった。 多分にミステリーの要素が多く、そのミステリーをミステリーとして感じさせないとんちんかん。また、コメディもコメディにならないどんくささ。脚本はたぶん素晴らしいと思うので演出の不手際と思える。 監督の瀧悠輔はこの作品をミステリーにもラブストーリーにもできなかった。ラブ・コメにもならなかった。間と緩急の悪さ、テレビドラマの演出の経験があるだけにやっつけ仕事というか台本通りに撮ればいいという無頓着な演出に思えた。 出演者は素晴らしい。名だたる有名俳優が大挙して出演している。 とはいえ、疑問に感じるキャスティングも多い。 まず、冒頭に出てくる自分勝手な客を演じる光石研。土下座したバトラー冲方優(吉沢亮)を踏みつける傍若無人ぶり。善人役が最適なおやじ俳優なので、見た瞬間に粗暴な客とわかる強面な俳優の方が良かったんじゃないだろうか。電波の受信も3G,4GでなくてWi-Fiのマークが出ていたので、それなら豪華客船のWi-Fiと思えた。ならば、あんなことになるのだろうか?と思えた。 吉田羊は良くやっている。新人女性船長として、PRに余念がない。この自らセールスに熱心な船長の眼前を横切ったり、撮影を邪魔したりするところはコメディでお決まりの笑えるシーンだ。しかし、そこに笑いが生じない。笑えない。台本通りに撮影したのだろうと思える。しかし、笑えない。間が悪いんだと思う。これがコメディの王様(?)三谷幸喜なら必ず笑える。また、笑える映像を撮る。それが出来ていなかった。それゆえ吉田羊がPRに余念のない船長をどんなにうまく演じようと、笑えなかった。 上手さでいえば高岡早紀。彼女が演じるべく不義の子を実子として偽り、それが露見することを避けるために義父を殺害するという動機がしっかりとした嫁役であった。高岡早紀らしいみごとな演じっぷりだけれどそれを受ける芝居を回りがしていない。というよりそのように撮っていない。夫(安田顕)がもっと驚くなり、もっと心の広さを見せたりすべきところ知ってたよそんなこととさらっと流す。受け流しされた芝居は霞んでしまった。 その夫というか父の遺産を狙う息子であるが設定はしっかりしているのに財産をはく奪される息子の悲哀や怨念が出ていない。単に金が欲しい息子としてしか描かれていない。これも技量のある安田顕を思うに演出力の足りなさだと思う。 バトラーである冲方優(吉沢亮)はバトラーの生真面目さを出すべきなのに単にお客様にものを言えない人になっている。これは吉沢亮の演技の質にもよるが、そこを正さない演出が良くない。 恋人の裏切りに気付いた盤若千弦(宮﨑あおい)が仕返しのために同じく裏切られた冲方優(吉沢亮)と偽カップルを演じるというところは希薄だ。それゆえ、その後に本当の恋が生まれるという下船をするしないというところも盛り上がらない。情感が足りない。それはそのままクライマックス(?)のキスシーンについても言えて、キスのし始めは映画通りかもしれないがその後繰り返されるキスは最後に濃厚にならなければ昇華できない。それがなかった。ゆえにラブ・ストーリーにもならなかった。 すったもんだあって恋するカップルが入れ違うことになった保里川藍那(菊地凛子)と井吹真太郎(永山絢斗)のペアと湯沢龍輝(泉澤祐希)と萩原汐里(蒔田彩珠)のペア。これらもなぜ入れ替わったのか曖昧。最も描かれなければならない感情がなおざりになっているせいかと思われる。 とても気になったのがやくざの親分の娘・萩原汐里(蒔田彩珠)と子分・湯沢龍輝(泉澤祐希)の親に逆らって命を懸けた逃避行であるにもかかわらず、子分の携帯に女から着信があっただけで浮気だとして「指詰めな!」と言い募るシーン。興ざめした。親分の娘は親に逆らうほどの恋だからもっと子分を愛していなければならないだろうし、その愛があるゆえの厳しい言葉が出なきゃ変。指を詰めるって昭和の極道じゃあるまいし、命かけた恋ならば、「てめえ、命(タマ)だしな。命かけて落とし前つけろや」と言って子分を刺し殺す、自分も刺し殺すくらいの熱量が欲しい。せめて子分の手をナイフで突き刺すくらいの修羅場が欲しかった。いろいろな映画でいろいろな修羅場を見慣れている観客の度肝を抜くぐらいの演出が欲しかった。また、子分も浮気でもなくマジ恋のような反応だった。これも良くない。ここはおかぼれの女に付きまとわれて困っていて自身は姉さん一筋じゃなきゃおもしろくない。そんな純愛なのに姉さんには誤解され愛がなきゃこれまでだと突き放される悲惨さ。これが見ているものにはコメディになるという演出をどうしてできなかったのなかぁ。その上で、別れてしまったカップルそれぞれが傷心に寄り添ってくれた別のカップルとくっついてしまうという感じにしてくれれば、申し分なかったのに。 ちょこっとしか出てこなかったけれどバトラーとしては松井愛莉が良かった、似合っていた。 子役は潤浩が良くやっていたと思うけれど、大貝瑠美華とではバランスが悪く見えた。 キー・パーソンであるマジシャン、岡部たかし。彼のマジックがうまくいかなくなったところをもう少しわかりやすい伏線として強調できればよかったかも。クライマックスで後出しじゃんけんのように思えたので。でもこれに気付くのは多くない方がいいのかなぁ。 台本(脚本)通りに撮ったものは面白くない。台本通りに撮ったかどうかわからないけど(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.11.18 15:54:52
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