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テーマ:読書(8615)
カテゴリ:読書
なんなんだ、この本⁉ 今時、二段重ね。しかも文字が小さい。 この読み手を尻込みさせる書式であるが、読み始めると思いのほか面白い。 面白すぎて、読むことをやめられない、とまらない。 とはいえ、仕事はしなくてはいけないし、寝なくてはいけないし。ただ、この本の先を知りたくてずいぶんと夜更かしをして読んだ。一日四時間睡眠で読み終えた。読む時間は行きかえりの通勤電車と深夜の1時間半くらいしかとれなかったから。 足利幕府の初代将軍、足利尊氏が凡庸な人だったという始まり。 鎌倉のはずれで、やることもなく、兄弟二人で海の波間を眺めていた子供時代。そんな兄弟が嫌々ながら京に上り、鎌倉幕府を滅亡し、室町幕府を作り上げるとは。しかも、その長たる旗頭である足利尊氏はなんら特技がなく運気のみ、とは。なぜ?という思いが興味を倍増させ、そのからくり、その理由がわかれば、なるほどと思いつつも狐につままれたような気もして、読み進めざるを得ないおもしろさ。存分に楽しんだ。 これこそ直木賞に値する傑作と思えた。 凡庸な足利尊氏を描いていると思ったものの読み終えてみれば弟・直義が驚くほどの成長を見せるし、信頼を置いていた直義と師直の仲違いもどちらにも道理があるゆえに無理からぬ結果。その関係も興味深い。登場する楠木正成、新田義貞、赤松円心たち、武功に優れた武将たちの活躍が小気味よい。なかでも尊氏の信頼を勝ち取った赤松円心はとても魅力ある武人であった。 この本により始めて足利尊氏の人となりを知り、室町幕府にも興味を持ち、ぜひともNHK大河ドラマで映像化してほしいと思えたほどであった。 この本、傑作である。 極楽征夷大将軍 [ 垣根 涼介 ] 極楽征夷大将軍【電子書籍】[ 垣根涼介 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.08.03 11:43:46
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