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カテゴリ:家で見た映画
秋津温泉 (shochiku.co.jp) 今「女優 岡田茉莉子」という本を読んでいる。 年代を追って、少女時代から新潟への疎開の6年を経て、東京に帰ってきた高校卒業の18歳。関係者の勧めで女優デビュー。以来、木下恵介・小津安二郎ら巨匠の作品に出演し、主演をもこなし、変遷・変転を経てとある作品で出演100作品を越えた時、百本記念作品として企画されたのがこの「秋津温泉」である。岡田茉莉子が厳選した小説を原作とするこの作品を見てみたくて見た。 終戦前、肺病病みだった男・河本は岡山から山陰へ親戚を頼って汽車に揺られる最中、山陰まで行く気力体力なく、秋津温泉に戻るという女に頼んで秋津温泉へ向かう。そこで、その宿の一人娘・新子と出会う。お互いに惹かれ合うが、女将である新子の母に河本は追い出される。新子の思いは断ち切ることなく河本を思い続け、河本はなすがまま子をなした女と籍を入れる。しかし、自堕落な河本はなすすべなく秋津温泉を再訪する。しかし、また別れ。そして、再訪、また別れ。上京し、音信不通となった河本は社名により岡山に出張となった足で秋津温泉を訪れる。河本の存在を記憶の彼方に追いやっていた新子は痛切に悩み突飛な行動に出る……。 この物語、関係性や描き方は違うけれど「アンナ・カレーニナ」や「失楽園」(渡辺淳一)に相通じるものがあるように思える。一途に愛を貫く。愛し続ける女の心。なぜ、岡田茉莉子がこのような辛い身の女の話を選んだのかわからないけれど、そこには女の気持ちを女優として表現したいというものがあったのかもしれない。「女優 岡田茉莉子」を読んで知ったが、この作品は多忙な岡田茉莉子ゆえかけもちの映画撮影の合間を縫ってロケを敢行し、相手役は文学座の芥川比呂志であり、当初のロケに参加したけれど、芥川が肺病を病み、長期療養を余儀なくされたことによって長門裕之の抜擢となったとある。そんな裏話を知れて「女優 岡田茉莉子」は読みどころのある本である。 この映画を見て、大いなる感動はなかったけれど、それは多分に大人びた新子のふるまいのせいなのかもしれない。 U-NEXTにて 監督:吉田喜重 原作:藤原審爾 脚色:吉田喜重 出演:岡田茉莉子、長門裕之、日高澄子、殿山泰司、中村雅子、戸辺みさ江、宇野重吉、小夜福子、神山繁、小池朝雄、名古屋章、東野英治郎、吉川満子、夏川かほる、芳村真理、山村聰、辻伊万里、吉田雅利、下元勉 お薦め度 「秋津温泉」★★★☆(70%) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.09.08 23:44:54
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