プロローグ●岩倉使節団
明治六年、五月二十五日午後五時大久保利通、伊藤博文らの遣欧使節団一行が、ベニス駅に到着した。使節団一行は、イタリア政府とベニス市の出迎えを受け、日の丸の旗で飾られた、六隻のゴンドラに分乗して運河を下り、グランド・ホテルに入った。「私たちは、長い間世界から孤立しておりました日本国からの親善大使団一行に、ぜひ、御覧いただきたいものを用意しております」晩餐会の席で、在日イタリア大使、ドスチャーニ伯爵が、にこやかに挨拶をした。二十九日、使節団一行は、フラリの文書館に案内され、三世紀前に、ベニスを訪れた、慶長使節団の資料を閲覧した。一六一六年、十ニ月二十七日付文書は、ローマ在住の支倉常長が、ベニス市長にあてて書いた手紙である。薔薇の墓標●目次と登場人物 プロローグ 大久保利通 桂小五郎 ドスチャー二伯爵一 明智光秀の予言 斉藤利三 伊達輝宗 原田宗時 明智光秀ニ 白地会議 織田信長 長宗我部元親 豊臣秀吉三 笹谷峠越え 伊達政宗 伊達秀宗 徳川家康四 ねねの反戦運動 北政所 淀君 高田次郎右衛門五 天下を賭けて 茂庭綱元六 赤ん坊は赤いもの 原田甲斐の祖母 高田種七 天下分け目のマリベウス 八 久喜鷹場 九 李王朝の国使十 セビリアの貴公子 ルイス・ソテロ十一 家康と政宗十ニ 月の浦 十三 宇和島城 十四 小諸の洞窟 呑龍上人十五 ローマ法王謁見 支倉常長十六 イギリスオランダ連合艦隊十七 セビコス船長 セビコス船長十八 ソテロ火刑十九 始皇帝の末裔 長宗我部阿古姫 ニ十 五郎八姫 柳生宗矩 松平忠輝二十一 北上川 二十ニ 忠次郎元服 天海上人・舟木 二十三 春日局 保科正之 三沢紀伊 徳川家光 二十四 山形城受取り 保科正近二十五 女心は鬼より怖い 梁川宗元 梁川宗頼二十六 江戸城大奥 春日局二十七 中尊寺薪能 佐々木栄宗二十八 薔薇の墓標 伊達光宗 郭芝龍 朱舜水二十九 仙台東照宮遷座 原田甲斐三十 柴垣節 松尾芭蕉三十一 振り袖火事 鍋島勝茂 ワゲナール三十ニ 胆沢鷹場 茂木信実 飯坂仲次郎三十三 加賀百万石の花嫁 松姫 媛姫 成瀬重次 野村きさ三十四 藩主幼少につき 伊達綱宗 伊達綱村 伊達宗勝三十五 烏帽子親 三沢初子 三十六 俳人サロン 内藤義概 三十七 米谷城の悲しみ 原田宗誠 飯坂仲次郎 田村宗良三十八 松島の月 板倉周防 長宗我部盛親 高嶋正重三十九 永遠の別れ四十 船岡城落 酒井雅楽頭 伊南与八郎 立花忠茂四十一 メンドリが時を告げれば 稲葉正通 友松氏興 田中正玄四十二 血判状 井深重光 一柳直好 柳瀬三左衛門四十三 花町神楽 有栖川宮 藤木織部 保科小十郎四十四 西郷頼母 徳川綱吉 水戸光圀 堀田正俊四十五 十七歳の花嫁 原田藤子 車隆利 高木孫四郎 四十六 誰が松島の片心 政岡 曽良橋本 松尾芭蕉 伊達綱村エピローグ アメリカ進駐軍兵士 山本周五郎