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• はがきがやってきた　『海辺のカフカ』

  10日の日記に「未だ番号の通知がこないなあ。いつ来るのかしら」と書いた住民票コード通知。来ました来ました。なんつうですか、圧着式の、あの、くっついてるのをはぐってみるはがきで…。はぐったら皺が寄ってぼろっちくなりました。大切に保存しなくちゃいけないように書いてあるのにぃ。番号は覚えられない謎数字。電話番号ですらあっぷあっぷなのに。で、はがきの用紙が薄いから太陽光で透けて見えるとその後苦情が多数寄せられたとかで、市役所は残る半分くらいの世帯分のをいったん発送停止して対処を考えてるとか。どーすんだ。▼村上春樹新刊『海辺のカフカ』９月12日発売某オンライン書店で予約する。期間限定サイト『海辺のカフカ』http://www.kafkaontheshore.com/・作者のロングインタビュー、・本の発売後は、読者から感想メールの募集。・作者が返信を書き、一連のやりとりが公開されるなどが読める、とかー。

  2002年08月15日

• じゅうきネットワーク

  晴れ。風強し。でも乾いてからっとした風は心地よい。今はもう秋（やけ）。住基ネットワークでわたしが危惧する点は、（セキュリティーの問題とかは措いておいて）、やはり根本的に将来の計画として「ひとつの数字」のもとに多くの情報が集約されるところ、また、個人情報を誰がいつどういう目的で参照したのかが、その当の個人本人が把握できるのかどうかがわからん（把握できなさそう）いう点であるなあと思うのでした。未だ番号の通知がこないなあ。いつ来るのかしら。

  2002年08月10日

• 住民基本台帳ネットワークシステム

  立秋。日が短くなってきている。光の加減が違う。空気も澄んでいる。今日も変わらず強い光線でくそ暑いんだけど、秋の気配を（脳内で、気持ちだけでも涼しくなるために無理矢理）思う。まあ夜になると虫の声も聞こえるし、トンボの飛ぶのが増えてるし、ほんとに秋は近づいているのだ。じゅうきネット（一発変換できない）が稼働しはじめたのが８月５日。これと個人情報保護法案に櫻井よしこさんたちが根気強く反対運動をしていらしたのは昨年からずっと知ってたんだけど（今年の１月19日に、有楽町で街頭演説しているお姿を拝見してます。演説も少し聴いた。聴衆はごくわずかしかいなかった）えーと、住基ネットって、きちんと運用されるのなら悪くないんじゃないかと思ってたわけ、わたしは。なんちゅか、住民票とかとるのでも現況は紙にちょこちょこっと書いて、はんこ押せばそれでおしまいだし…いちいち何かにつけて住民票提示求められるし…はんこと紙社会も背番号制にして電子管理するのと同様かそれ以上に胡散臭く思えて、どうせならパスワードとかつけて個人で自分の情報を責任持って管理できるようなシステムになると良いなあ（アクセス権限のあるお役人の誰が自分の情報覗いたかとかのアクセスログとかもわかるといいなあ）とか、戸籍も簡単に請求できると良いなあとか、思ってた。でも出来上がってきたシステムはどもそういうのじゃないみたい。なんだかブラックボックス並みのシステムだし、運用するが泡に対しては倫理と良識に任せるしかないちゅうような。んで、今更ながら怖くなったのだ。遅すぎるね。

  2002年08月08日

• テレビ　ムーミン　フィンランド

  霞ががかった晴れ。じりじり暑いです。夜なんか、もうテレビを観てられないのです。とにかく眠たい。座る、寝ころぶ、速攻うたた寝。そんななかなんとか見られたのがNHK BS-2「もうひとつのムーミン物語－ フィンランド　トーヴェ・ヤンソンのいない夏 －」。ムーミンシリーズの作者、トーヴェ・ヤンソンが永眠してから１年。彼女が少女時代に過ごしたムーミン谷のモデルといわれている村（あえて名前は伏せられた。スウェーデン系フィンランド人が多く暮らす、海と森のある村）、ヘルシンキのアトリエ、４０代から夏の数ヶ月を過ごし孤独に身を置きつつムーミンを執筆した岩だらけの小島クルーブ・ハル島…といったトーヴェゆかりの地を、日本でムーミンといえば「この人…」な岸田今日子さんと、一人っ子の寂しさ・孤独をムーミンシリーズを読んで力づけられたという、俳優の黒田勇樹くんが旅したのだった。あー、番組中で岸田さんが驚いておられたように、ムーミン谷のモデルといわれている村の夏の森は、北国の森としてついイメージしてしまう暗く重い鬱蒼とした、恐ろしいばかりの森ではなかった。それどころかとても明るかった。海が近いことで潮騒が絶えず聞こえ、小動物や鳥の気配がし、針葉樹の森の緑は明るく柔らかいグリーンに日が透けて輝き、下草のなかをかごを持って歩けば木イチゴやベリーがとれる。こけむしたような、日が差し込む洞窟がある…。ムーミン谷はこんなにも生き生きした場所だったのだ、こんなにも明るく爽やかな場所だったのだ。一人で過ごすこと、孤独の大切さ。孤独に身を置くことは、もちろん寂しい。しかしそれ以上に得る物がある。静かな安寧、深い思索と思考のとき、心に受けた傷をいやすこと…。ひとには「贅沢な孤独」を享受する必要のあるときがあり、断続的に孤独を必要とする人がいるのだ。しかし孤独の境遇でもひとりぼっちを悲しみ嘆き深い見捨てられた孤独であってはいけない。人は断じてそうであってはいけない。ひとを欲し、ひとを愛し、愛されている、ひととのつながりと信頼と愛があっての孤独こそが贅沢な孤独なのだった。ムーミンは心の避難場である。孤独で寂しい人は、会いたければいつでもムーミン一家に会える。…といった番組だった。たまたま番組表で気づいて見ることが出来たのだけれど、見て良かったのです。ムーミンは子供の頃、アニメで入って好きだったのだけれど子供心に岸田今日子さんの声とニョロニョロが怖くて、またお話によく分からなさがやっぱり怖くもあったのでした…。いややっぱりニョロニョロって不気味っすよね。長じてから原作を文庫本で読んでみるとアニメよりももっとクールで不条理で、でも理にかなって非常にすっきりした味わいの大きな物語だったのに驚いたりしたのでした。フィンランドいきてえ～

  2002年08月05日

• 気持ちの良い洗剤／うくれれー／海べで／JPEG特許！？

  あづい。夕方、閉まる前に間に合うかぎりぎりで（着いたら結局15分前だった）、とにかく大急ぎで市民センター（市役所の、住民票とかの交付窓口）に歩いていったら…倒れそうになりましたです。大げさでなく。ふらふらしながら近くのコンビニに入ってお茶のペットボトル購入。木陰でぐびぐび。お行儀悪いとか、水筒持って歩け！って感じなのですが、コンビニのありがたさが身にしみた一瞬でありました。このごろ３０歳代でも心筋梗塞とか脳血管障害とか、えー、怖い話が多くてびびってます。どろどろ血を防ぐには水分摂取も大切なのだ～。水分といえば、生協で買った「がんこ本舗」http://www1.odn.ne.jp/gankohompo/というメーカーの、「海へ…」という洗剤がとても気持ちよくて個人的には大当たり。「海洋タンカーの事故処理研究から生まれた生分解する洗剤」ということだそうで、洗剤の腐敗防止もかねて精油で抗菌、したがってラベンダーとかの香りが心地よいです。これ使い出してから室内干ししても洗濯物が臭くなりませぬ。汗くささがパーフェクトにとれてかわりにほのかな香りがするし、洗濯機まわりも良い香りが漂い始めて洗濯が楽しい。見かけられたらぜひいちどお試しあれ。なーんて書くとメーカの回し者みたいですが。夏になるとウクレレの調べをやはり良く耳にします。「亜麻色の乙女」の冒頭もあれウクレレだと思うんだけど、なんでウクレレ聞くととりあえず和んじゃうのかな。芯の無いようなふわふわ感があるんだよねえ。ウクレレの音色もさりながら調弦とかに秘密があるのかも、とちょっと思ったり…。知人から「ゴルフの景品にもらったけどいらないから」といってもらった、ぺこぺこのウクレレなら手持ちがあるんだけど調弦がきちんと出来ないようなアレで。ハワイに行って気に入ったウクレレ買うのが、夢。海べでレゲエのライブやってる海の家をテレビで観ました。気持ちよさそうだったなあ。とりあえず夏は道路が大渋滞するので地元住民はバス移動を避けたりと、とりあえずその点だけは困ってしまいます。でも夏休みに入って自転車に水着すがたでぎこぎこと海に走る小中学生とかをごく普通に見かけると、根っからの地元民ではないわたしなどは物珍しくてやっぱりにっこりしちゃいますねえ。海の事故がないように楽しんでね。気になるニュースなんで、いちおう。HOTWIRED JAPAN「懸念高まる「JPEG特許主張」」まさかとは思うけれどgifの前例もあることだし油断ならないなあ。もしそーなっちゃうとかなりの影響が…。PNGへの切り替え時かなぁ…※PNGについては…くわしく説明してくださっているサイトはいくつもありますが、わたしにはなかでもミケネコ研究所の「わかりやすいPNGの話 for Web」がわかりやすかったです。

  2002年07月23日

• 今期のテレビドラマ

  春のドラマで最後まで見通したのは結局「夢のカリフォルニア」だけだったかなぁ。リアルタイムで見るのはワールドカップを優先してしまって（スポーツ中継はビデオで見ると気が抜けちゃうんですなー）ドラマの方はビデオ録画してたんだけど、なんだかその録ったのを見るの時間もないしめんどくさいしになってしまったのだった。見たかった「ごくせん」なんかは最終回を録り損ねてしまったし！きーっ。で、今期のドラマもいきなりスタートからどれもこれも見逃してしまってる。あ、広末あんど渡部篤郎のドラマ初回は見られたんだっけ。でも渡部篤郎サンの声が森本レオ化しているのばかりがまず気になっちゃって…はぁ。夏は野球中継がいちばん！ということで逃げますか。とほほ。連続ドラマを見続ける気力が落ちてきていることは確かなのだ…。ということで、今見ているドラマは衛星放送のERくらいっすね。それもワールドカップ中の２回分くらいは録画のままで話とばしちゃってるなぁ。筋は追えてるけど細かいエピソードがわかんなくなってるので、見なくちゃ、です。中島みゆきに「C.Q.」といううたがあります。　　名前やTel.ナンバー　I.D.ナンバー　クラスナンバー　　そんなことつまらない　私を表さない　　どうでもいいようなことただ聞いてほしいだけ　　孵ったヒナのことや　好きな人の話　　ただ聞いてほしいだけ　ただ聞いてほしいだけ　　C.Q　C.Q. ……（だれかいますか）今日書いたようなことはこのうたでうたわれているようにだれかにきいてほしい、どうでもいいようなことだけどわたしにとっては大切なこと※7/23追記　「C.Q.」はアルバム『歌でしか言えない』に入ってます。書き落としてしまってました。ええと、この件でメールくださった方どうもありがとう。

  2002年07月21日

• なんかなあ

  おそろしく久しぶりにこっそり書いてみます。５月、忙しかった。６月、ワールドカップざんまい。７月、サッカーの余韻を味わいつつ、暑い。夏になった…今日は台風一過で透き通った晴天。んで、暑い。台風の後かたづけで朝から汗だく。潮風けっこうきてる。うーん。昨年春から半年ぐらいかけて続いた人間関係のトラブル起因の落ち込みからどーしても抜けれなくて（トラブル相手は、楽天広場のひとたちとはまったく無関係です）いまたたかってるところだなあという実感はあり。なんとか抜け出したいっす。だからなんか、文章を書くのもなかば「書き続けていこう」という義務感で書いていて、その義務感も自分なんかが文章書いていいのかという疑問にすりかわってきてもいて、とにかくその義務感で続けられる範囲は自然限られてしまい自分のWebサイトだけで細々と書いている状態だ。うん。このままだとそのひとを「うらみます～　うらみます～　あんたのことを死ぬまで～」（© 中島みゆき）という気分になりそうなんだ。それではいかんと思う。あかんと思う。だからえーと。

  2002年07月11日

• 近況報告など

  先月引っ越しも無事終わり、しかしまだ段ボール残ってます。あれ？？？でもそんなもんだよね、ということで、今週あたりにはなんとか片づけ終わりそう。というか、そうしたいです。収納用家具もやっと組み立て終わりましたので。春から夏にかけては秋と並んで演奏会シーズン。ステージ２つこなして、あと１こが本番ちゅううか、お金をいただいて（ワインをお出しするための実費…）のサロンコンサートなんで、びびってます。昨年大ヒットした某アニメ映画の主題歌をギターソロで弾くことを昨日命じられ、焦ってます。ふう。間に合うのか、間に合わせなくては…

  2002年05月20日

• 映画「ショーシャンクの空に」　（ネタバレなし）　雨

  雨。猛烈に寒い。でも桜はさすがにこの雨で持たなかった。葉桜になりかけ。▼cinema今回はネタバレなし。映画「ショーシャンクの空に」THE SHAWSHANK REDEMPTION（’94・米 フランク・ダラボン監督※、ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン、ウィリアム・サドラー、ボブ・ガントン、ジェームズ・ホイットモアほか）をレンタルDVD（字幕）で観る。スティーヴン・キングの中篇『刑務所のリタ・ヘイワース』（新潮文庫『ゴールデンボーイ 恐怖の四季　春夏編』所収。ホラーではない）の映画化。原作の本質を見事に抽出した感動作となっている。無実の罪―妻とその愛人を惨殺した容疑―で終身刑の判決を下されショーシャンク刑務所に入れられた元銀行副頭取の青年アンディ（ティム・ロビンス）。彼の不屈の精神としなやかな強さ、心の内に絶やさなかった希望と夢が周囲をいかに変えていったか。モーガン・フリーマンが調達屋の「レッド」…刑務所の先輩格でありアンディの友人となった、映画の語り手を好演。これ以上くわしくは語れない。観るべし！という映画である。人間の精神のあり方…人間存在の崇高さと醜さを噛みしめよ。ラストシーンの美しさは絶品である。143分。※フランク・ダラボンは同じくキング原作の「グリーンマイル」（’99）も監督した。この映画は先週見たのだけれど、また観たくなって今日も借りてきてしまいました。さらにもう一度観たくなったらDVD購入の方向で考えよっと。

  2002年03月29日

• 日常雑記　晴れ

  晴れ。なんだか爽やかだった！本当に春なのかなー。風が強いから、春かな。昨年は桜が咲いてから小雪が舞ったりしたんだけれど今年はそういったこともなさそうか。今年のお彼岸は花いっぱいである。月並みだが、出会いと別れの季節。ネットの世界を眺めても、馴染みの日記サイトに行ってみれば、さよならを告げておられたりもして。どうか元気で、良い旅を、とこちらもひっそりと願うのであった。▼読書●指輪物語５『二つの塔』上１（瀬田貞二・田中明子訳、評論社文庫、1992.7、ISBN4-566-02366-4）読み始め。・ゴブリン、オーク。怖すぎます。でもちょっとだけ、ユーモラスなところもある。・英雄譚っぽくもありますな。訳文のせいかもしれないけれど。

  2002年03月20日

• 指輪物語４『旅の仲間』下２　快晴

  快晴。乾いてひんやりとした南西の風が強く吹いて風冷え。もう風に花を散らしている桜も…。▼読書●指輪物語４『旅の仲間』下２（瀬田貞二・田中明子訳、評論社文庫、1992.7、ISBN4-566-02365-6）読了。指輪物語第一部読み終える。彼らの旅が（ありがちな、獲得しに行く旅ではなく）捨てるために行くものであるところ―しかも捨てることによって世界が救われるだけでなく、片やその余波で美しく貴重なものが滅びてしまうだろうことも予見されているのである―、仲間が旅に自由意思でついていっているところがこの物語の真骨頂か。早く続き読みたいー。のに、となりまちの大きな書店２軒、最寄り駅に戻って小さいけれど品揃えの良い書店２軒をさすらっても、な、無い！５巻以降が売り切れ！あっても８，９巻のみ！指輪物語の文庫版。どの書店にも１～４巻は山積みなのだが！がるるるるる…※結局オンライン書店に注文しました。

  2002年03月19日

• 日常雑記　晴れ時々曇り

  晴れ時々曇り。引っ越しに備え、電気・ガス・水道・下水道の連絡する。あーいよいよだなあ。引っ越しぽしゃったらもう後戻りできない。ぼそぼそとあれこれこなすもあまりはかどらず。計画の７割出来たら良い方か。流れるように一日が過ぎ去っていく。加藤紘一氏、事務所前代表が逮捕（所得税法違反の容疑）された責任をとり自民党離党。鈴木宗男氏の騒動（＆離党）でなんだかかすんじゃってるけど。いま選挙になったら自民党負けるだろうけれども選挙にはならないってことですなー。相変わらず世の中不況。賃金カットとかにちょっと怯えている。でも、IT関連、コンピュータ市場はブロードバンド普及でちょっとまた変わってくるかも。コンピュータ。丸ごと新マシンに買い換えるのはそりゃ気持ちよくて良いけれど、データを移行したり愛用のオンラインソフトを入れたりなどして環境を整えるのは結構手間でめんどくさかったりする。だからなんていうか、今使ってるマシンをそのままに、パワーアップさせたりなどしてくれるのあってもいいなー（今でももちろんそういうのあるんだけど、それをメーカ側の正規のもんとしてやってくれる、てな感じかなあ）と思うんだけど、そういうのってきっと儲けが少なくて駄目なんでしょうな。▼読書●J・R・R・トールキン　新版 指輪物語３『旅の仲間』下１（瀬田貞二・田中明子訳、評論社文庫、1992.7、ISBN4-566-02364-8）読了。

  2002年03月18日

• 映画「猿の惑星」PLANET OF THE APES（’01・米 ）　晴れ

  晴れ。家でのんびり。▼cinema●映画「猿の惑星」PLANET OF THE APES（’01・米 ティム・バートン監督、マーク・ウォルバーグ、ティム・ロス、ヘレナ・ボナム＝カーター、マイケル・クラーク・ダンカン、ポール・ジャマッティほか）をレンタルDVD（字幕）で観る。あの「猿の惑星」（’67）のリメイクならぬリ・イマジネーション。最後まで終わらない悪夢、という感じ。ここから一部ネタバレ。まあ、猿―彼らは主人公レオに猿、と呼ばれると怒り、猿人APESと呼ぶように命じる―が猿らしくあるのが新鮮だったし、人間は言葉を話せるし、また前作でたびたび見られた主役チャールトン・ヘストンの野放図な「男臭さ」の開陳―観ていてとまどいを覚えてしまう、無防備で野蛮な振る舞い―（例えば、未知の星に不時着して、どうしていきなりざぶざぶ水浴びできるのだ？）はきれいに消されていた。そういう点では前回のオリジナル版『猿の惑星』と比べてよりナチュラル、というか無理がない。清潔な宇宙映画、かつ、「猿の惑星」になっていたということか。また、オリジナル版では主役ヘストンが脂っこくぎらぎらするようないやらしさと骨太な（悪党っぽい）魅力を振りまき、いっぽう敵役「猿」は知的で幾分枯れて哲学的ですらあって、その両者の対比が鮮やかであった。ところが今作の主役マーク・ウォルバーグは若く清廉でしなやかな軍人を演じ脂っこくなく、敵役「猿」のセードのほうが非常に野心的でぎらぎらしている。つまり全体に人間と猿の位相の差が抑えられていたのであった。そのことにより前作が観客に与えたような強烈な「倒錯による蠱惑」は薄れているし、展開のスピーディーさも相まってか前作にあった哲学的な味わいや虚無感もあまり無く、片やでnew world的な発想が強かったように思った。それにしてもオリジナルを観ないまま今回初めて「猿の惑星」を観た人はどうだったのかな、ショックを受けたりはしたのだろうか。120分。

  2002年03月17日

• J・R・R・トールキン　新版 指輪物語２『旅の仲間』上２　雨のち晴れ

  朝方雨。その後急激に回復し晴れ時々曇り。昼頃から南風が強く、春一番となった。▼読書●・R・R・トールキン　新版 指輪物語２『旅の仲間』上２（瀬田貞二・田中明子訳、評論社文庫、1992.7、ISBN4-566-02362-X）を引き続き。・映画を見に行く前に、原作読んでしまいたいと思って。・「指輪コンプレックス」のようなものを克服しようとも思い。　　　小学生時分に指輪物語の一巻だけ読んで、カタカナだらけの人名と緻密すぎる設定に息が詰まり（だったかと思う）挫折。以来、指輪物語＝読み通せなかった物語、として頭に刻印されていた。その挫折が嘘のよう。先を知りたくて、ページをめくるのがもどかしい。面白いねー。面白い。面白くて悲しくてとても暗い、暗澹たる、といったお話なんだけれど、合間合間にホビットが享楽的に、疲れててもお風呂に入ったり美味しい食べ物食べたりするとたちまち明るくのんきになったりというふうに、のんびりしてくれる。それが救いだったりする。

  2002年03月15日

• 映画「ショコラ」

  晴れ。カーテン屋さんに行き打ち合わせ。鼻声でぼそぼそしゃべってたので相手の方はさぞや聞き取りにくかっただろう。▼cinema映画「ショコラ」CHOCOLAT（’00・米 ラッセ・ハルストレム監督、ジュリエット・ビノシュ、ジョニー・デップ、ジュディ・デンチ、アルフレッド・モニーナ、レナ・オリン、キャリー＝アン・モスほか）をレンタルDVD、日本語吹き替えで観る。フランスの小さな美しい、けれど因習と宗教に縛られてひっそりとした保守的な村。ある日北風と共にやってきた謎めいたヴィエンヌ（ジュリエット・ビノシュ）とアヌークの母娘。二人はぼろぼろの店を借りてすっかり模様替え。開店してみればそれは華やかなチョコレート・ショップだった。ヴィエンヌが作り出す人を虜にするチョコレートの数々に村人は少しずつ警戒の殻を脱ぎ捨てて夢中になる。町長でもある伯爵はそんな彼女の振る舞いを苦々しく思い…。という寛容と自由と愛、人生の楽しみといったものを謳う寓話的な仕立ての映画なんであった。ビノシュ演じるヴィエンヌは因習を打破し村の人々を救済する役目であるヒロインである。と同時に、彼女自身もまたある因習に縛られている女性であり、映画の最後でヴィエンヌもまた解放されるのだがそれには村人たち―特にジョセフィーヌ（レナ・オリン）とカロリーヌ（キャリー＝アン・モス）の力が大きかったことに注目したい。変化をもたらす物の流れがヒロインから村民への一方通行ではなく、相互にやりとりして作用していく様が描かれていたのがこの映画で非常に新鮮だったところ。また、前半のモノクローム的な村から、話が進むにつれだんだんと色彩感が豊かになっていく、ハルストレム監督独特のある種の落ち着いたトーンを帯びたカラー映像が美しかった。とか言いつつお話自体は良い寓話だと思ったけれど、好みの映画ではなかったかな。その分冷静に楽しめた。121分。

  2002年03月09日

• 言い訳ばかりで　快晴

  快晴。風邪でダウンの一日。言い訳ばかり、謝ってばかりって、自業自得だけど落ち込む。言い訳しないでいい生活や生き方をしてればいいってことなのだが。ビル・エヴァンスのピアノのエッセンスは、ああいうふうに演奏できたらと自分が夢見ていたそれであるのであった。あんなふうにギターを奏でてみたい。そのための才能も練習も足りないことは承知ながら、目標というか夢というか、自分が思っている夢としてそう思うのだ。クレバーで美しい音。ピアノのような打弦楽器やギターのような撥弦楽器はヴァイオリンなどと違って音は出したとたんにすぐ減衰していくから歌うということは難しい。が、エヴァンスはその「歌う」こと、音を通じて感情を表現することを目指し、完全にこなしている。自然と理に従い基礎から忠実に積み上げた結果の美しさと明晰さ、抑制されたなかから輝く歌心。クールでリリカル。クラシック音楽と違うのはそこからさらにジャズゆえの創造性と自由さがあることだ。即興的自由さや脈打つ生命観があふれているのである。

  2002年03月08日

• ヨーグルトが売り場から消えた！／『ビル・エヴァンス』　晴れのち曇り

  晴れのち曇り。日中はわりに暖か。夕方から寒気が流れ込んできたのか、灰色の雲が出始めたと思ったらあっという間に頭上を覆い尽くしてしまった。風邪は佳境に。ティッシュペーパーとお友達状態。昨年の晩冬、やはり同じような風邪を引いたあと咳が長く残ってあげく肋間神経痛になったのだった。気を付けねば。今のところはまだ大丈夫、というかわりに軽い症状で治りそうな気もする。口当たりの良いひんやりしたものが食べたくなってヨーグルトをもとめるべくスーパーの乳製品コーナーへ。が、お目当てのプレーンヨーグルトの棚が（これまでいつもたっぷりあったのに）すっからかんになっていてびっくり。KTV「発掘！あるある大事典」（フジ系日曜夜９時放送）の3/7放送『花粉症』のせいであろう―過去最高視聴率だったらしい―。花粉症の症状を抑えるのにヨーグルトが効果的なのだそうだ。いやまあわたしも、その効果を試してみたいという心根もあったのだが。明治ブルガリアヨーグルトは安売りだったせいもあって本当に売り切れ。ナチュレは（好きな味なんだけど）高い値札が付いていたのでパス。小岩井農場のプレーンヨーグルトを買って、ブルーベリージャムを少し混ぜて食べる。まずまず美味しかった。▼読書●ピーター・ペッティンガー『ビル・エヴァンス―ジャズ・ピアニストの肖像』（相川京子訳、水声社、2000.1、ISBN4-89176-410-4）をぱらぱらと読んでいる。白人ジャズ・ピアニストの最高峰、ビル・エヴァンス。多数の記録／証言で辿る、「生」と「死」と「音楽」の全貌！生い立ち、ジャズとの出会い、プロとしてのデビュー、マイルス・デイヴィスとの活動、伝説のファースト・トリオ、幾多のセッション、コンサート、多くのミュージシャンとの交流、ドラッグとの関わり、そして早すぎる死まで、その生涯と音楽の変遷を、克明に辿る。未公開写真、詳細ディスコグラフィー収録。（同書裏表紙より）。エヴァンスがドラッグ常用者さらには中毒者となったのは1950年代、マイルス・デイヴィス・セクステッドに参加しマイルス・デイヴィスと共演しはじめてから、とある。著者ペッティンガーはクラシックのコンサート・ピアニストであり、各地の大学で教鞭を執るなどもし世界的に活躍されていた。専門家としての音楽的分析や解説―エヴァンスの作曲の理論の解説、奏法の説明などは冷静で非常に丁寧で、その点がいかにもエヴァンスの大ファンが書いた内容のこの本に深みを与えていると思う。

  2002年03月07日

• 通じないさびしさ／吉田秋生『YASHA』11巻　薄曇り

  薄曇り。雨上がりの空気は柔らかく濁って重く、沈丁花が良く香った。毛糸物が鬱陶しく感じられ分厚いコットンシャツで過ごしてちょうどだった。打ち合わせで冷や汗。ギャグ下手で口が重くてあんまり関西人らしくないわたしだが（と本人は思っている）、それでも関西人のさがなのか時々ついボケてしまう。ところが周りにいるメンバーは関東人がほとんどでその「ボケ」が通じないのである。「し…ん」と静まりかえったままだったり少し身を引かれたりボケを真面目に受け取られてたしなめられたりすらして（！）初めて自分がボケかましたこととそれが滑った（というより、理解されなかった）ことに気付くのだった…。そんなこんなでじっとりと疲れる。もう打ち合わせでは発言したくない、と毎回思ってしまう。▼読書●吉田秋生『YASHA』夜叉11巻（小学館　別コミフラワーコミックス、2002.3、ISBN4-09-138031-X）出ていたので買って読む。ちょっと思いがけない展開、位相の逆転にぐらり。そうきたかぁ。泣ける方向にベクトルが。しかしこの漫画、実にゆっくり刊行されるので最新刊を読むときには前の巻までの筋をかなり忘れてしまっているという…。

  2002年03月01日

• 歯ぐきが痛いのだ／ブッシュ　快晴

  快晴。からから天気で西風が強く寒い。▼歯ぐきが痛いのだ数日前、歯磨き途中に歯ブラシを左上奥歯の歯茎に勢いよくぶつけてしまった…、なんてことはもうすっかり忘れていたんだけれど、今日になってそこが口内炎というか歯茎が腫れて炎症がおこっている。そのせいで歯が浮いているような感じで、左側で食べ物を咬むと痛くて憂鬱。ご飯でも痛い。参った。▼ブッシュ大統領ブッシュ大統領は昨晩はレセプションと居酒屋の夕食（居酒屋 でお酒飲めないのは物足りないだろうなあ、って余計なお世話か）、今日は参議院で演説と皇居で午餐 会をこなし、そして次の訪問国・韓国へ旅立っていった。先週末から頭上を米軍機が盛んに行き交って いたのはたぶん来日と関係があったのだろうな、今はまた静かになった。大統領の北朝鮮に対する「悪 の枢軸」発言で、韓国野党では「ブッシュは悪の化身」と言っているとか、学生によるアメリカ商工会議所 立て籠もりデモ（鎮圧された）とか、韓国では日本のムードとはまた違うようだ。日本の見慣れた風景と人々（首相官邸・国会・皇居、小泉首相や天皇陛下、田村亮子さんにhikkiに長嶋サン…）のなかに立つブッシュ大統領とローラ夫人、笑顔といい所作といいなかなか人好きのするひとっぽい気がした。そのへんに人間的な魅力があるのだろうな。▼読書●サイモン・ シン『フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで』（青木薫訳、新潮社）。 第六章「秘密の計算」。いよいよワイルズの苦闘の日々。

  2002年02月19日

• 映画「パール・ハーバー」　晴れ時々曇り

  晴れ時々曇り、一時的に小雨。寒気が流れ込み寒い。2/17、第52回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門最高賞の金熊賞に宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」が選ばれる。好きな映画だけにひとしおうれしく、めでたし。▼cinema映画「パール・ハーバー」（’01・米 マイケル・ベイ監督、ベン・アフレック、ジョシュ・ハートネット、ケイト・ベッキンセイル、キューバ・グッディングJr.、アレック・ボールドウィンほか）をレンタルDVD（２枚組）で。うーん、いろいろ思わされる希代の駄目映画（好きな方いたら失礼）という感じ。良くも悪くもやっぱり戦争映画で、比べると悪いかもしれないけれど日本で夏などに放送される戦争物長編テレビドラマのアメリカ版といった雰囲気。やはり「アルマゲドン」コンビが作った映画だなー、あの映画と感覚は同じで、「パールハーバー」という様々な意味でとても「大きな」題材なのに素材がもったいない気すらした。特典映像までチェックしたがアメリカ側の（ひとつの）史観、アメリカの一般大衆の理解を得られる（のであろう）「史実」を見せつけしかーも、製作サイドは「史実」と謳っているけれど日本の側をばなんだありゃの時代考証無視の描きよう。零戦ぶんぶんの戦争シーンはまだしもね、海軍の旭日旗の柄、戦国時代を思わせる軍略会議の様子、褌男姿にとほほ。英語の（差別的）台詞を大幅に替えたマイルドな訳をしていたり。日本向けにあまりにひどいシーンはカットしているらしい。しかしアメリカという国の「アメリカンヒーロー」像の一断面ってこうなのかな、と思ったところも。映画の中で「パール・ハーバーの奇襲で三千人の尊い米国民が亡くなった、我々はこれを忘れない、報復せねばならない、徹底的に復讐する、だから日本の心臓部・東京を攻める！」といった趣旨の発言をルーズベルトが叫ぶところがあるのだが、これって今回のテロ後やアフガン攻撃決定時のブッシュ大統領の言動と同じではないか。表情・口調・動作も何もかもが恐ろしくぴったり重なるのである。これもまたアメリカなのだな、と思ったのだった。そういう意味では勉強になったし、刹那的な恋愛のありようも含めつくづく戦争は愚行だということをやはり冷え冷えと思わされる映画ではあった。若い命が上層部の思惑と判断一つで失われていく。だいたいベン・アフレックを筆頭にあんまり好きな顔じゃないのが（ファンの方いたらスミマセン）痛かったのかも、脚本の無理もあるのか友情はまだしもだったが恋愛ドラマ部分―残酷にも三角関係になってしまう―にはほとんど感情移入できず。最初から最後まで終始醒めた気持ちで観てしまった。

  2002年02月18日

• 虚数って…（サイモン・シン『フェルマーの最終定理』読書中）　曇りのち雨

  曇りのち雨。ぐったりだらだら。ブッシュ大統領来日。東アジア歴訪の旅、日・韓・中の順らしい。大統領の「悪の枢軸」発言の一カ国が北朝鮮。それにしても、イラク攻撃はやはりあるのだろうか…。もしそうなったら、日本はどうするのだろう。山崎幹事長は「自衛隊は派遣できない」と話しているけれど。父がテレビに出演、と母からメールが来て、「！」と思ったら、ジェンダーに関する市の広報番組で、父の通っている男性向けの某料理教室も２時間取材され、編集の結果、番組最後の３分ほど出てきたのだそうだ。そこで熱心にメモを取っているおっちゃんの図…のシーンでアップになったらしい。そんな父の娘はマクドのベーコンレタスバーガー食す。ファストフードに毒されているかもしれぬが脳みそがしびれる感覚を味わう。美味し。▼読書●サイモン・シン『フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで』（青木薫訳、新潮社）第五章「背理法」。モジュラー形式と楕円方程式に関する理論「谷村＝志村予想」の生まれるところ。しかし文中にさらっと出てくる虚数の計算…ルートの計算の仕方とか”2＋i”（複素数！）とか、きれいさっぱり忘れきっていて情けねー。

  2002年02月17日

• 映画「キャスト アウェイ」　晴れ

  晴れ。強めの南風はけっこう冷たかった。昨晩は早めに就寝し起きたら体調戻っていてやれやれである。フィギュアスケートのペアの採点疑惑はついに前代未聞の「金メダル２つ」にまで発展。▼cinema映画「キャストアウェイ」CAST AWAY（’00・米 ロバート・ゼメキス監督、トム・ハンクス／ヘレン・ハント／ニック・サーシーほか）をレンタルDVDで観る。テキサス州メンフィスのFedexに勤める超多忙男チャック・ノーランド（トム・ハンクス）が、Fedexの貨物輸送飛行機（この、宅配便輸送中、というのがポイントでもある）の墜落によって無人の孤島に流され、「文明人」がよろよろしながら恋人ケリー（ヘレン・ハント）と“ウィルソン”を心の支えに試行錯誤を重ねなんとか生き延び、四年後にまた…というお話。「人が生きているとは、どういうことなのか？　何がいちばん大切か？」がテーマならしいけれど、印象の強いシーンが多すぎたのかいろんなことが散漫に心に残っている。映画の最初と最後に出てくる大草原のなかの芸術家の家と、四つ角光景がグッド。

  2002年02月16日

• サイモン・シン『フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで』読み始め

  　快晴。わりにぽかぽか暖かい一日だったが、花粉が多く飛んでいるのか目がかゆい。　オリンピック、スピードスケート女子500m２日目、岡崎選手は昨日よりタイムをやや落としたが（37秒87）６位入賞。本田選手は４位入賞。他の選手もみなみな見事なり。▼読書●サイモン・シン『フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで』（青木薫訳、新潮社、2000.1、ISBN4-10-539301-4）を読み始める。　作者は素粒子物理学を学んだ科学ジャーナリストで元イギリスBBC放送勤務。この本は科学ドキュメンタリー『フェルマーの最終定理　―ホライズン・シリーズ』（96年放送）をもとに書き下ろさた一冊で、うん、面白い！根本的には科学史的な内容で、「数学界最大の『超難問』（フェルマーの最終定理）がいかにして解かれたか―３世紀にわたる数学者たちの、挫折と栄光と感動の物語」（帯より）なんである。「フェルマーの最終定理」は17世紀にフランス人フェルマーが作り、1993年夏～1994年にイギリス人数学者アンドリュー・ワイルズがついに証明に成功した。　とにかく作者サイモン・シンの説明と語り口が巧みである。数学が超超超苦手のわたしでも那辺にポイントがあるかを理解しながら、人間ドラマと知的探求のさまざまを楽しく読めている。　ちなみに「ピュタゴラスの定理」は例のあれ― 直角三角形において、斜辺の二乗は他の二辺の二乗の和に等しい。x2＋y2＝z2（『フェルマーの最終定理』p.45）―で、「フェルマーの最終定理」はこれ―　xn＋yn＝zn　この方程式はnが2より大きい場合には整数解をもたない。（同書p.59）※あ、この楽天広場の日記ページは数式用のHTMLタグが反映されないようで式がうまく表せていないんですけど、・ピュタゴラスの定理は　xの二乗…・フェルマーの定理は　xのn乗…ということです。

  2002年02月15日

• オリンピックと富士急ハイランド　晴れ時々曇り

  　晴れ時々曇り。ジャンプ個人戦、日本人選手は振るわなかった。健闘をたたえたいし、またの再起をと願う。スピードスケート女子500mは岡崎朋美選手（わ、ほんとだ、オリンピック公式サイトのOKAZAKI， TomomiさんページにはA national heroine in Japanと書いてある！）が37秒77の日本新記録で７位など。そういえば昨冬に小旅行で富士急ハイランドに行って、そのときFUJIKYU SKATERS’ MUSEUMに見学に行ったんだけど、遊園地から少し離れたところにあるスケートリンクには夜も煌々と照明がともされ、遅くまですごい勢いでたくさんの選手が滑っているのがホテルの窓から見えていた。　富士急ハイランドではもちろん「キング・オブ・ザ・コースター　フジヤマ」に乗った。スタートしてしずしずとコースターは最高到達点79mまで登りつめる。途中からは遊園地の賑やかな音が消えてひゅうひゅうと風の音だけが聞こえた。耳がちぎれそうに寒かった。眼鏡は吹き飛ぶ恐れがあるということなのではずしていたから、あたりの景色がぼんやり見えた。　その後の３分強（だったのかな）は途中から死ぬかと思った。もう二度と乗らない…。　　ネタバレ少し。「史上最悪のお化け屋敷　戦慄迷宮」も死ぬほど怖かったです。４組くらいほぼ同時にスタートしたけれどうちら以外の３組は途中ギブアップ。ビル丸ごとがお化け屋敷になっていて（迷って同じ階段を３回くらい行ったり来たり。疲れた）、しかもお化けは本物の人間だからそれがもうコワイの何のって、その場から逃げても足音を忍ばせて後を追いかけてきてるんだなこれが。

  2002年02月14日

• スケート競技は「こけないで！」と観ていてドキドキしてしまう／Opera6.01　晴れ時々曇り

  　晴れ時々曇り。寒さほんの少しまし。テレビをつけるとやはりオリンピックを観てしまう。スピードスケート男子500mは１組で滑ったウォザースプーンが２日目のタイムトップ、フィッツランドルフ選手が「オリンピックチャンピオン」になった。清水選手は0.03秒差で銀メダル、悔しそうだったが腰痛のなか（体調50%だったそう）これだけ滑れたのには満足している、とのコメントだった。フィギュアスケートの男子シングルSPでは本田選手２位。NHK杯などで見ていたけれど、今回は演技終了時の彼の笑顔が物語っているようにこれまでで最高の出来だったのではないか。がちがちで真っ青な顔色だった長野から四年、素晴らしい成長ぶり。四年間の重みをまたも感じる。　先日OPERA社よりリリースされたブラウザOpera6.01日本語版を入れてみた。6.0英語版を日本語化して使っていたこれまでよりも断然良い感じ。気になっていたバグも改善されていてページを心地よく閲覧できるし、動作も若干速くなっている気がする。快適なり。

  2002年02月13日

• 唯川恵『肩ごしの恋人』　晴れ

  　晴れ。　唯川恵『肩ごしの恋人』（マガジンハウス、ISBN4-8387-1298-7）読了。第126回直木賞受賞作である。手慣れたしっかりした文体で読みやすかった。しっかり者の働く女・萌と、女を磨き結婚三回目のるり子は幼なじみで二十七歳。家出少年・崇との三人暮らしが始まり…。　萌とるり子は正反対のようでいてとてもよく似ている。けれん味のないストレートな女性だ。自分を真っ直ぐに見つめ、自分のしたいことに正直で、何かしなければならないときにはぐずぐすしたりしないで行動に移す。背筋を伸ばし、勇気を持って為すべき事を為す潔さがある。その二人も、崇―萌が勤めていた会社にアルバイトに来ていた少年。ひょんなことで萌の家に転がり込むことになった―も、そのほかの登場人物（萌の恋人？・柿崎、るり子の夫・信之、柿崎の友人・文ちゃん、など）もみなこの一冊の中ですこおし変化する。恋愛小説ではあるけれどちょっと奇妙な友情物語でもあり、ぬくもりのある成長物語でもあり、家族の物語でもある。腐れ縁でも長く続く関係のありがたさ。人間って成長して変わっていけるんだ、とうれしく思えた一冊だった。情のある上品な小説だ。

  2002年02月12日

• 長嶋有『猛スピードで母は』　晴れのち曇り

  　「文藝春秋」三月特別号掲載の第百二十六回芥川賞受賞作・長嶋有『猛スピードで母は』を読む。北海道のM市の公団住宅で暮らす母と小五の少年「慎」の物語である。三人称の小説だが語り手（視点）は慎で、淡々として軽みのある、端正かつ円やかな文体で綴っていく。感覚は粋で上品、読みやすくて透明感があり、「余白」を思わせる省略が行き届いた文章は上質な漫画作品に通じるところがあるように思えた。そして省略が静かな雰囲気を生み、また、少年が大人を見て語ることにより生じる少年なりの限界もあいまって、登場人物の背景にはガッツで骨太な世界ががっしりと広がってるのがわかるのである。　この母子の生きているガッツな世界断面を今更「作家さん」に声高に語られる必要はなく―馴染みのあるリアルな世界でもあるということで、それがこの小説の読みやすさにも繋がると同時に、親密だが異化や驚きの要素はやや乏しい、ということになっているのかもしれない―、もしも語られたならしらけるだ（少なくともわたしとしては）。この小説の省略、抑えた筆をわたしは美しく的確だと思う。良い意味で純文学っぽくない、開放感のあるすがすがしさ。確かでリアルできれいな文学だ。

  2002年02月11日

• 寒そうなマラソンランナー　モーグル　曇り

  　曇り。冷え込みのきつい一日。暖かさに慣れはじめていたので余計辛く感じる。空は流れくる灰色の雲に覆われ、外を歩くと空気の冷たさで頬が痛くなった。東京国際マラソンはワイナイナが寒そうに走り良いタイムで優勝。　モーグルは見るのが楽しい競技だ。でも採点基準がよく分からないなー。解説者の解説―というより「すごい」「早い」「大きい」等の反応と、感想―と、肝心の採点とがまるきり噛み合わないからますます困惑である。　で、畑中選手は残念ながら予選落ち。上村愛子選手の滑りはエアが若々しくてきれいだったけど、決勝では迷いがあったのだろうか、予選の滑りのほうが印象に残っている。本人もそれなりに納得のいく滑りだったそうだけど６位。インタビューでは悔しさを必死で押さえている感じだった。くじけずに。　そして里谷多英選手の滑りに息をのんだ。スタート前の集中。はじけるように出てコースを攻める。美しいターン。すげえ。銅メダルだった。　長野オリンピックからのこの四年間の選手それぞれの軌跡を思い胸がいっぱいになる。自分にとっても、四年間はあっという間だった気もするが変化を考えるとやはり長かったのかもしれない。

  2002年02月10日

• ソルトレークシティー！　晴れ時々曇り

  　晴れ時々曇り。所用で外出する。午前中は青空、南風で暖かだったのに昼を過ぎて北風が立って寒くなった。冬空に戻り体が気温の変化にびっくりしている。　ソルトレークシティー冬季オリンピックがいよいよ開幕。出かける前に開会式を慌ただしく途中まで見て、帰宅後、ゆっくりとドキュメントなど見る。日本選手団はユニクロ製の公式服装。濃紺のダッフルコートに赤いキャップがこざっぱりとしてなかなか似合っていたけれどそのぶんなんとなく日本人のアジア的な若さもまた強調されて見え、他国と比べるとイメージとしては「力強さ」とかではなく「かわいらしい」感じになっていたような。ソルトレークシティーは寒そうだ。ブッシュ大統領の開会宣言にはいかにもアメリカ的な前置きがつけられており、五輪的ではなくシンプルでなかった。聖火の最終点火者はレークプラシッド大会（’80）のアイスホッケー米国チーム。彼らの姿に大歓声が起きていた、が、続けてUSAコールが沸き起こったのにはどうも鼻白んでしまった。　でもやはり聖火は美しい。聖火台はらせんが印象的だった。鉄とガラスのクールな台に太陽色の火。さあ、これからオリンピック・ゲームが始まるのだ。

  2002年02月09日

• なんだかついていなかった一日　晴れ

  　晴れ。青空がきれいだった。気温は相変わらず高めで、セーター一枚で歩いても汗ばむ。　今日もなんだかついてないことばかりである。一連のそれを象徴するように、ケースを開けたらギターの４弦が切れていた。慌てて張り替えをしたところ間違えて５弦を張ってしまう。チューニングを始めて間違いにやっと気づき、急いでほどいて正しく張り直した。なんかもうアホである。笑われるし。暖房の暑さで頭がのぼせていたのだ。　TSUTAYAに立ち寄ったがお目当てのDVDが無かった。帰り道ではだるくてとぼとぼとしか歩けなくなった。ギターケースが肩に食い込み、足や体の節々が痛む。皆わたしを追い越していく。疲労困憊。だるい。　今日良かったことをあげてみよう。朝もらったメール。神戸屋のサンドイッチがこっくりとおいしかった。イングウェイ・ヨハン・マルムスティーンのDVD「エレクトリック・ギターとオーケストラのための協奏組曲　変ホ短調」コンチェルト・ライヴ・イン・ジャパン・ウィズ・新日本フィルハーモニー交響楽団（指揮・竹本泰蔵）。ほとんどすべて早弾き。肥え太った指（失礼！）が弦の上を軽々と確実に動くさまに見とれてしまった。

  2002年02月08日

• 「ドリトル先生物語」を考える（続き）

  承前（2/6日記）▼「ドリトル先生物語」を考えるで、ここからは「うーん、難しい」とうなってしまうことについて。作品のなかにある表現によって、差別された、侮辱された、と怒りや不快感等を感じる人、不当であると抗議する人がいた、ということが事実でありその抗議内容が検証の上でもっともなものであるなら、抗議を受けた側もそういう抗議があったのだ、ということは明らかにするのがフェアなのではないかと思う。つまり、かくかくしかじかで抗議を受けている（、しかし…）ということを文書なりでその作品にそえるといったことである。そして、こういった問題は、最終的には、言葉や表現ひとつずつよりも、作品の根幹、主題なり基盤なりに差別意識があるかどうか、それを見極めることがいちばん大切なポイントなのであろう。「だったらことばを書き換えればすむじゃないか」―今回の問題も結局はこれ？―というところがまた難しい。「書き換えするのはちょっとちゃうんちゃう？」とわたしは思う。文学は過去の優れた文化遺産である、それを尊重し守る、現代の価値観でいじらない、という意識を持てば、書き換えは本来してはならない。それとともに、優れた作品（文化遺産）であっても背景となる価値観など含めてすべてを肯定的にそのまま受け取るのでなく、過去から現在の歴史と経緯を踏まえた上で理解する、という姿勢や、理解を助けるための配慮が重要なのではないだろうか。わたしは現代を生きている。過去を受け取り、現代から未来に向かって生きている。

  2002年02月07日

• 「ドリトル先生物語」について考える

  と、昨日日付の分で書いておきながら、以下は既に自サイトのほうに書いたことです。どうしてもこちらにも書いておきたくて…。すみません。▼「ドリトル先生物語」について考える　朝日新聞2/4朝刊に「『ドリトル先生』回収論争　井伏鱒二氏訳に『差別表現』」。要するに井伏鱒二訳に差別的表現が多く、最新文庫版を回収せよ、ということらしい。そもそもヒュー・ロフティングの原書そのものにも現代の基準と判断で考えれば問題があるということは再三欧米でも言われていて、最近のハリウッドではエディ・マーフィがドリトル先生を演じてヒット作になっている（さすがにイメージが狂った）。岩波少年文庫新版『ドリトル先生アフリカゆき』（ISBN4-00-114021-7）p.187～にある石井桃子氏「『ドリトル先生物語』について」によれば、黒人問題を大きな苦しみとしてアメリカでは、「ドリトル先生物語」は、公共図書館の公開の書棚にだしておくところは、ほとんどなくなったようだとのことであるし、アメリカの版元は『アフリカゆき』と『航海記』の二冊しか出版していない、イギリスでは全巻そろっていまも出版されている、と書いておられる（この一文は1978年３月付けなので現在はまた状況が変わっているかもしれない）。確かに、今日の目から見ると、誠実で、民族をこえて人間というものに愛情を抱いていたと思われるロフティングの作品のなかに、人種差別の気もちがなかったとはいえない箇所にぶつかると、私たちはびっくりさせられます。しかし、一方、私たちはまた、ロフティングが生まれ、育った時代を考えてみる必要があるようです。彼が生まれた十九世紀の終わりごろといえば、イギリスは、世界のすみずみにまで植民地をもち、大英帝国の偉容を誇っていたのでした。ロフティングも、いま生まれれば、心から人種差別に反対しただろうと、私には思えてなりませんが、一八八六年にイギリスで生まれた彼は、やはり、その時代の子であることをまぬがれなかったのです。（石井桃子「『ドリトル先生物語』について」より　『ドリトル先生アフリカゆき』p.190）　しかし、うーん、よくわからない。この岩波書店刊行の井伏鱒二訳・ドリトル先生全12巻全集、特に『アフリカゆき』と『航海記』はわたしが子供時代に最も繰り返し読んだ本であるのだが、うーん、そこから学んだのは「黒人差別（をすること）」ではなく、かつてのイギリス、ヨーロッパ・先進国側にさまざまな差別があったということだ。小説と井伏氏の解説を通してイギリスの生活や文化を楽しんだとともにかの地の人々が持っていた価値基準を知り、イギリスに厳然と存在していた植民地差別、階級差別を知り、そしてドリトル先生の自由で差別のない精神、温かな人柄、動物と人間を慈しみ、生活を楽しみ、医療と知に真摯に生きる姿の鮮やかさに惹かれたのだ。人間・動物・植物・モノ…すべてを対象にした博愛主義。　具体的な地名や民族はあっても実際はそこに舞台を借りて一種空想的・理想的、ユートピア的な世界を描いている、ともいえるのだが、例えばやはりアフリカや島嶼、南アメリカ等の描写や扱いがおかしいのは明らかすぎるほど明らかだったし、昔の人が書いたことだ、昔はこう思ってたんだ、と子供心に直感的に理解できた。だって月に蛾で行くんだもん。変なのだ。そう、確かに設定の段階で差別意識から完全に自由ではないし、話の中には、今日では差別表現・差別行為とされていることばや概念が出てくる。しかし結局、そういうことで差別するのは間違っているんだ、と読み進めていくとちゃんとわかるようになっているのである。差別問題はこの物語の主題ではないが、ドリトル先生の物語は、差別をしたり偏見を持ったりする愚かさの数々をきちんと繰り返し描いている小説であるといえよう。　過去の文化遺産を現代の視点に合わせて改変してしまってはいけない、と思う。それはかえって歴史を歪めてしまうことになるのではないか。先にあげた石井桃子さんの一文で説明されているとおり、井伏氏についてもやはり氏が生きた「時代」ということを考えに入れなければならないことは同様なのである。今回のこの問題について岩波書店が「文書を差し込む」としているのはもっともな対処で、そのあたりはきちんと子供にその文書を読ませ、必要ならばさらに大人が当時の社会背景やその後の歴史を話してきかせるなどもすべきだろう。子供は決して愚かではない。うーん。（続く。文字数ではねられてしまいました）

  2002年02月06日

• 更新再開

  気がついたらずいぶんお休みしてしまっていました。見に来てくださった方、掲示板に書き込みをしてくださった方（後日あらためてお返事いたします。すみません）、本当にありがとうございます。またぼちぼちとになってしまうかもしれませんけれど、更新を再開したいと思っています。どうぞよろしくお願いします。しばらくは既に別の場所（香雪雑記帳）に書いたものをベースに過去に遡って空白を埋めていこうと思っています。それと、今日からあとの日記に関しては、なるべく香雪雑記帳サイトのほうとこの日記とでは書く内容を別のものにするようにしたいと考えています。日によっては同じになったりもするかもしれませんが。何をどう書くかはまあ追々考えよう…なんだか楽天広場のシステムがまたちょっと変わって、新機能も増えているようですね。テーマ日記かぁ…なかなか、いいかもしれないな。

  2002年02月05日

• 忘れてはいけないのは　曇りのち晴れ

  曇りのち晴れ。きりっと冷たい空気は軽く乾いている。…兵庫県南部地震（阪神淡路大震災）から７年　―1995.1.17 5:46　M7.2　震度７―。…社会が変わる契機にもなったし、自分自身の生や価値観もあれをきっかけに大きく変わっていっていて「得たこと」も多少あるのだが…それでも、あんな阪神大震災など　起こらなければよかったのにと　７年経った今でも思う。今年気になったのはメディアの報道の薄さ。関東では、テレビはNHKとTBS（ちなみに『ニュースの森』の杉尾キャスターは神戸出身だけに今日も現地中継で話しながら次第に涙ぐんでいたようだ）だけがトップニュースできちんと扱っていたし特集もそれなりに組んでいた、新聞は全然駄目だ。この有様に怒りすら覚えた。メディアがどうこう、というよりも、震災が忘れられていくことにだ…でも自分自身だって他のことにはどうだろうか、と思ったりもして、きっとこれは当たり前のことでどうにも仕方がないことなのだろう。震災を風化させてはいけないのは　神戸のことを見ていて欲しいだけじゃない。地震なんかで死なんとってほしい、自分たちが体験してしまったようなこと…街の崩壊とそれによる死が起こらないように、また人災の過ちを繰り返さないように、地震や災害で亡くなる人傷つく人が減るように、そして、苦しみに寄り添いたい、手助けしたい…という気持ちがあるのではないか。そういった気持ち、風化することのないように語り継いでいこうという思いが被災地や被災者のなかで少しずつ強くなっているなあと思えたりもした。もちろん震災のことを未だ語る気持ちになれない人もいらっしゃるし、いろいろな思いを持っている人がいるということは忘れてはいけない。無理に前向き・立ち直り・復興を押しつけたり、そのような「物語」を演出してもいけないと思う。そんななか、イチローがオリックスの施設でトレーニング開始、1.17に神戸で始めることへの思いを報道陣にしゃべっていたのを見てなんだかとてもうれしかったし、そういうアピールが率直にありがたかった。イチローらしからぬ、と思った人が多いだろうがそんなことはないんだよ。シアトルのイチローは神戸のスーパースターだったんだぜ、と。

  2002年01月18日

• 1.17 5:46　雨、夜になって曇り。

  朝、行ってらっしゃいと別れた人と夜、もういちど会えるだろうか。もう永久に会えなくなってしまうかもしれない。わたしは次の瞬間にはもう、死んでいるかもしれない。…今、生きている、今、あのいのちがある、先はまったく確かではない。次の瞬間からまったく確かではない。思い残すことの無いように。心残りの無いように。確かなのは今。ありがとうと言いたければありがとうと言おう。好きだと言いたいなら好きだと言おう。笑ったり泣いたり、一緒にものを食べたり、テレビや映画を見たりしよう。ひとりで静かに過ごしたりうたた寝をしたり、散歩して手をつないだりしよう。友達を抱きしめたいなら抱きしめよう。くだらぬ意地ならはらぬがよい。先のことを考えられない（のは良くないことかもしれない）。今を慈しみながら生きてみたい。何がいちばん大切かを考えよう、選ぼう。あなたのことを忘れない1/18 04:10　上記（『…選ぼう』まで）には、他者への共感、想いの派生や共生の姿勢、相互理解―とあえて書く―の希求…などが前提として必要不可欠である。心を通わせあっていくことが。うまくことばにできないけれども。また、わたしは未だそれらにきちんと思いを至らせきれない、出来ていない未熟な人間である。いちど眠ったのに目が覚めてしまった。眠れぬままに。

  2002年01月17日

• icimy／i feel／芥川賞直木賞　曇り時々小雨

  曇り時々小雨。震災直後から３ヶ月間ほどの出来事あれこれがフラッシュバック。少し辛い。今思えば当時既にわたしは少し精神的に参ってしまっていた。疲れていたし、あれこれが思うに任せず沈み込んでもいた。1995年浅春のある日とうとうひどい言葉を大切な友人に投げつけてしまったのだった。…今も変わらず友人でいてくれていることのなんとありがたいことか。彼女と知り合ってこの春でもう１５年になる。▼web産経新聞社提供のWEBサイトでカスタマイズド・ニュースサイト（というのかな）icimy（イチマイ）をしばらく前から利用している。サイトのほうの使い勝手はまあまあといったところ、なんだけれども、このほど始まった新サービスichimy Mail Newsはなかなか秀逸だ。一般、IT、スポーツ、エンターテイメントの４分野の主なニュースを毎日セレクトし、記事URLをそえて配信してくれるメールサービス。それがさすが新聞社の発行だけあって、各記事の「見出し」が良くてつまりメールはすっきりしており、見たいニュースを探しやすい。セレクトしてある記事も硬軟のバランスが良くてそつがない。これからに期待。紀伊國屋書店「i feel」アイ・フィール　読書風景No.19 2002 Winter。特集は「料理と文学」。おもしれえ。池内紀×佐藤亜紀の対談「『食べ物』をめぐるテクストと時代性」を特にわくわくと読む。芥川賞・直木賞発表。芥川賞は長嶋有氏の「猛スピードで母は」（文學界11月号　１月26日ごろ文藝春秋から刊行予定）、直木賞は山本一力氏『あかね空』（文藝春秋刊）と唯川恵氏『肩ごしの恋人』（マガジンハウス）。唯川恵さんの小説『海色の午後』と連載エッセイ・コラムを読んだことがあるのみ。

  2002年01月16日

• パトリシア・コーンウェル『女性署長ハマー』　晴れ

  晴れ、朝方曇り。風が冷たい。読み直しのあとP.コーンウェル『女性署長ハマー』（講談社文庫）のブックレビューを書く。これ読み切れるかなあ、と思っていたのが下巻は一気に読み上げてしまって、ブックレビューもばりばり書けて、はて、やはりそれなりに面白かったのだろうか。狐につままれたようなよくわからない気分。ポンチ絵的な風刺小説。後半はのれる。楽屋落ちネタもたくさんあり、検屍官シリーズファンにとってはちょっとしたお楽しみ。

  2001年12月28日

• 年賀状をやっと　曇り、日中晴れ

  曇り、日中晴れ。年賀状をやっと全部出し終わる。ついにパソコンで作ってしまった、ペガサス柄。表書きは手書きだけど。今年は世間も郵便局もあまり年賀状年賀状と言わないような。だから年末であることになかなか気付かないままぼんやりしてて、遅くなってしまった（言い訳）。▼読書●パトリシア・コーンウェル『女性署長ハマー』全２冊（講談社文庫、矢沢聖子訳）読了。レビューのための下調べをする。19世紀末の「パンチ」誌、ポンチ絵のことなど。

  2001年12月27日

• 映画「ヴィゴ」引き続き　晴れ、夜になって曇り

  晴れ、夜になって曇り。朝方の冷え込みはさほどでもなかったけれどもわりに寒い一日。クリスマスついでに聖書をぱらぱらと読んだ。▼cinema映画「ヴィゴ」Vigo（’98・英仏　ジュリアン・テンプル監督、ロマーヌ・ボーランジェ／ジェイムズ・フレインほか）見終わる。アナーキストの父の名を背負う重さ。その時代からあまりにも進みすぎた才を持つ天才の悲劇。光と影、さまざまな「水」、花と太陽と灰色のパリが美しい印象的な映画だった。リデュはヴィゴが没した４年後、彼の誕生日に世を去った。…結核という病が若い才能を食いつぶしていなければ、世界はどうなっていただろうと時々思う。ペニシリンさまさまである。パトリシア・コーンウェル『女性署長ハマー』上（講談社文庫、矢沢聖子訳）、続きを読む。

  2001年12月26日

• 映画「ヴィゴ」　曇り時々晴れ

  曇り時々晴れ、夜に雪になる予報が出ていたが低気圧の進路が予報よりも南海上に少しそれたらしく、うちのあたりでは雨が少し降っただけだった。が、強い寒気によってぐっと冷え込む。友人から小さな包みが届く。クリスマスカードと、手袋。思いがけないことでうれしかった。▼cinema映画「ヴィゴ」Vigo（’98・英仏　ジュリアン・テンプル監督、ロマーヌ・ボーランジェ／ジェイムズ・フレインほか）を途中まで。フランス・パリで1905年に生まれ、わずか４本の映画を残して結核により29歳で夭折した映画監督ジャン・ヴィゴと、サナトリウムで運命的に出会ったパリ生まれのポーランド人エリザベート（リデュ）、結核という病を抱えた若いふたりの苦闘と愛の物語。映像がむちゃくちゃきれい。…サナトリウムはアルプス（？）の峻険な山並みを見下ろすほどの高地にある。ほぼ同時代のサナトリウム―有数のリゾート地でありダボス会議で有名なスイスのダボスにある国際サナトリウム「ベルクホーフ」（現在はホテルになっている）―が舞台の小説にトーマス・マン『魔の山』があるのだが、この「ヴィゴ」のサナトリウムはまさに『魔の山』に描かれていたサナトリウムが映像化されている感じで、その映像とわたしが頭の中にイメージしていたものとがほとんど変わりなかったことでトーマス・マンの描写に舌を巻きつつ、自分のイメージングを微妙に修正したり…しかし、あああんなようなところが舞台だったのだなあ。▼読書●パトリシア・コーンウェル『女性署長ハマー』上（講談社文庫、矢沢聖子訳）。時々読むのがしんどくなる…。

  2001年12月25日

• 映画「シュレック」　晴れ、夜になって曇り

  晴れ、夜になって曇り。暖かで日中はダウンコートを脱ぎ薄手のセーターで歩いて軽く汗ばむほど。映画のタイムスケジュールが新聞公表されたものから変更になっていて予定が狂い、サティ他で時間つぶしがてらに生活必需品の買い物など。文脈上の都合（！）で、既に昨日付け日記で今年のマイ・ベスト映画に選んでしまっているシュレック。感想のほうが後になってしまっているけれど…実は12/31にこれを書き込んでおります。大晦日に。こっそりと。良い天気です。▼映画「シュレック」※ネタバレ若干あり。演出・ストーリーに簡単に触れてます。　映画「シュレック」SHREK（'01・米　アンドリュー・アダムソン／ヴィッキー・ジェンソン監督、アニメーション。声：マーク・マイヤーズ／エディー・マーフィ／キャメロン・ディアス／ジョン・リスゴーほか）。ワーナー・マイカル・シネマズで、日本語吹き替え版（濱田雅功／山寺宏一／藤原紀香／伊武雅刀ほか）を観る。傑作。主人公のシュレック（頑強で大きな緑色の『怪物』。森の中の沼に住む。孤独であろうとしている）・フィオナ姫・ロバのドンキーなどなどのキャラもそれぞれに素晴らしいし、他のおとぎ話の登場人物がざくざく出てくるのには笑った。明らかにディズニーの風刺も。そう、この「シュレック」自体がおとぎ話でありながら―呪いのかかった姫を助ける物語―、「おとぎ話」の風刺・パロディ、批判的観点からの洗い直しにもなっている。　「おとぎ話」では塔に幽閉された姫を助けるのは白馬に乗った美丈夫の王子様に決まっている。それをこの「シュレック」ではまず突き崩す。外見や思いこみに囚われずありのままを受け入れること、友と許しあい心を開くこと（また、そうできる友を得られる幸せ）、本当の魂の美しさとは何か…といった様々なことを、くすぐりを入れた（笑）楽しい話であるがおとぎ話らしく言外のところで諭しているようにも思った。決してmoralisticではないけれどもモラルがあり温かくて自由ですがすがしい。面白かった。　吹き替え版だったので小さな子供さんや小・中学生たちもたくさん観ていたがみな楽しそうで終わってからわくわくと感想など語り合ったりしている様子がかわいらしい。子供にはドンキーが人気だったよう、エディ・マーフィ仕込みのマシンガントークが炸裂、ひとつひとつの動作が愛らしくもあってさもありなん。子供の遊びや仕草に通じるちょっと下品で残酷なところもある、家族で楽しめる良質の映画であるように思う。

  2001年12月24日

• 今年観た映画マイ・ベスト　晴れ

  晴れ。寒い。昨晩から東シナ海奄美沖での不審船射撃・沈没事件であれこれ報道や臨時ニュースあり。沈没地点は中国側の排他的経済水域に入っていたようだ。全国高校駅伝を見る。京都の風景が懐かしい。兵庫県勢はやはり堅実に強いなあ。女子は諫早、男子は仙台育英が優勝。思いの外深くまだ「ミナ」にはまり込んでいるようで映画のシーンが夢に出てきたりする。ミナがドアにもたれたままずるずるとへたり込んでしまった状態と今の自分とはたぶんシンクロしている。ことばが頭に巣くい、気を抜くと自己嫌悪で砕けそうだ。本当にこの２年間はなんだったんだろうと。…弱さに、逃げたい気持ちに負けないでおこうと思う。乗り越えなければ。▼cinema　今年見た映画マイベスト夕方、風呂掃除をしながらNHKラジオ第一で「映画この１年」として映画の話をしていたのを聴いて…今年のマイ・ベスト映画は●「ギャラクシー・クエスト」GALAXY QUEST（'99・米　ディーン・パリソット監督、ティム・アレン／シガニー・ウィーバー／アラン・リックマンほか）　[私の感想]その気持ちの良さと楽しさ、凝りように乾杯。次点、●「千と千尋の神隠し」（’01　宮崎駿監督）　[私の感想]●期待外れ映画は「A.I.」A.I. ARTIFICIAL INTELLIGENCE　でした。　[私の感想]映像などは◎。しかし長尺があだになっているようにわたしには思えた。最後は語りにまかせてしまった感あり。自宅テレビ鑑賞なども含め今年観たすべての映画からベストを選べば、先に挙げた二本に加え「ナビィの恋」（'99・日　中江裕司監督、西田尚美／村上淳／平良とみ／登川誠仁／平良進ほか）「ミナ」MINA TANNENBAUM（'93・仏　マルティーヌ・デュゴウソン監督、出演ロマーヌ・ボーランジェ／エルザ・ジルベルスタン）「スペース カウボーイ」SPACE COWBOYS（'00・米　クリント・イーストウッド監督、クリント・イーストウッド／トミー・リー・ジョーンズ／ドナルド・サザーランド／ジェームズ・ガーナーほか）、そして「シュレック」SHREKといったあたりか。

  2001年12月23日

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  海まで散歩　晴れ

  晴れ。透明な日差し。風が少し冷たく強めだったものの日中はわりに暖かかった。午後から海まで散歩。冬至だというのに良い波だったのかサーファーがたくさんいて、浜は他にもわたしたちのような散歩組、写真撮影やランニング・ウォーキングにいそしんでいる人、うれしそうに生き生きとうろつく犬と飼い主などで賑わっていた。晩ご飯に長崎ちゃんぽん。かすかに効かせてあるショウガで体がほかほか。ガンダムエース 2002 Winter No.3購入。

  2001年12月22日

• 机に向かうときにはいつもラジオを聴いていた　晴れ

  曇り、昼前から夕方までしっかり冷たい雨が降る。東京や横浜では初雪となったらしい。今日はとある会から招かれクリスマスのミニコンサート。喜んでいただけたみたいでうれしかった。「真っ赤な太陽」が好評だったよう。帰宅前にレンタルビデオショップに寄って返却し、ロマーヌ・ボーランジェ出演の映画ビデオを探してとりあえず３本―恋人たちのポートレート、ヴィゴ、アパートメント―借りる。疲れに紛れてだらだらと見たBS2「シンガーソングライター夢の名曲大全集」。ラジオの深夜放送スタイルで、ラジオスタジオから放送。案内役＝DJ佐野史郎と中川アナ。歌う姿として流される映像は秘蔵のそれもあればよく目にする映像もあり、だったがフェイドアウトさせることなくノーカットできちんと歌の最初から最後まで流してくれたのはとても良かった。サディスティック・ミカ・バンドなど呆然うっとりと見る。ただ、選曲がひとひねりのあるようでその実やはり「王道」だったのにはちょっとだけ予定調和的退屈を覚えた。例えば、ユーミン＝守ってあげたい、中島みゆき＝わかれうた、サザンオールスターズ＝みんなの歌。うーん。それでいいといえば、いいんだけどなあ。中高生のころは、机に向かうときにはいつもラジオを聴いていて親によく叱られてた。電リク（古い！）もしてたのだ…たまに。採用されたのは一回だけ、FMラジオのバレンタイン特集だったっけ。ビリー・ジョエルのオネスティ。なぜにこの曲をわざわざという感じだが、当時けんか別れした直後だったのである…。

  2001年12月21日

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  海ー。　晴れ

  晴れ。帰宅前に海まで足を運ぶ。夜になって雲が出てきた。明日は雪になるかもしれないとお天気キャスターは言う。でも夕方から少し気温が上がってきているような…。きんきんに冷えてきている感じはないんだよね。ほんとに降る…しかも積もるほどに降るのかな？湿度が低くてからからだと気温が高めの５，６度でも雨じゃなくて雪になるらしいんだけど。▼読書●パトリシア・コーンウェル『女性署長ハマー』上　矢沢聖子訳（講談社文庫　2001.12、ISBN4-06-273324-2）。読み始め。p.98まで。ポンチ絵みたいな。

  2001年12月20日

• ISLE OF DOGSは『犬が島』ではやはり駄目？／「ミナ」引き続き　晴れ

  晴れ。▼購入本●新刊、パトリシア・コーンウェル『女性署長ハマー』上・下（講談社文庫、矢沢聖子訳）購入。「12月にはコーンウェル『検屍官』シリーズを！」というのがここ数年定着しておりまたクリスマスプレゼント的な楽しみになっていたのが、今年はこちらのシリーズの刊行となった。原題ISLE OF DOGS（『犬が島』、くらいが直訳タイトルか）がこの邦題に。…まあ確かにisleは日本人にあまり馴染みがない英単語だし、「ISLE OF DOGS」というのは現在のロンドンの地名にあるしで、本のタイトルとして訳しにくい言葉ではありますねー。▼cinema「ミナ」をざっとまた観る。気になったところはじっくりと観る。中野翠が指摘しているように特に前半、ちょっと照れくさくなるような甘めの演出もあるんだけれども…かわいい範囲に収まっているし、必然性もあるかと。あと、フランス文化を知っていると細かい伏線がもっとよく分かるんだろうなと自分が歯がゆかったり。ミナもエテルもユダヤ人で、1974年（16歳）のなかに食料品店でふたりがおしゃべりしているシーンがあるのだが、ふたりが店外にぽんと出て道を歩き始めたときカメラがぐっとひいてそれがユダヤ人の名前が付けられたショップであることを撮したりする。ふたりともユダヤ色が強い（つまり、締め付けがきつい）家庭に生まれ育っていて―それがミナにとってはひとつの悲劇だったのだが―、つまりコーシャを守っているということだったのだろうと思う。しかしフランス語の響きが心地よい、とてもきれいだなーとこんなに思った映画は初めてだ。サヴァ／サリュの響きに惚れる。ミナ。彼女が才能あふれた新進の画家・「美人さん」で扱われていたころは画面の色合いがあざやかかつ柔らかくて、服もきれいな雰囲気のものをミナ＝ロマーヌは着ているし―画廊に向かうときの彼女の足取りは美しく地面を滑っているようだ―、（恐らく望遠レンズ＋カラーで照明もあてて）ミナが美しく柔らかい肌色になるように撮影されていて…それが、となるのがちきしょー悔しいぜという感じなんである。

  2001年12月19日

• 星野阪神監督／映画「ミナ」　晴れのち曇り

  晴れのち曇り。夕方が早く来たような薄暗い午後。星野「阪神」監督就任会見。星野仙一といえばくっつく言葉は「中日」であったから…耳慣れない。▼cinemaレンタルビデオで、中野翠『ともだちシネマ』と『中野シネマ』（新潮社）でも紹介されている映画「ミナ」MINA TANNENBAUM（’93・仏　マルティーヌ・デュゴウソン監督、出演ロマーヌ・ボーランジェ／エルザ・ジルベルスタン）を観た。パリが舞台。1958年の同じ日に同じ病院で生まれたミナ（ロマーヌ・ボーランジェ）とエテル（エルザ・ジルベルスタン）の三十余年にわたる物語だ（中野翠『中野シネマ』より）。良い。カテゴリとしては「女性青春映画」といったところか。みずみずしく繊細で美しくて残酷な。というか…悲しかった。映画の前半（ポップでユーモラスなところもある）と中盤、後半のギャップがあるようでしかし必然的にひとつながりで、前半にも後半はじまる崩壊の萌芽がきちんと見え、それがなおさら応えた。画家になったミナの、才能と感受性にあふれしかし不器用であること、naiveであることに心打たれる。繊細で激しい情感を抱え持っているからこそのあの（悲劇的―ミナ本人がそう望んでいないのに、どうしてもそうなってしまうのだ。ものごとが思いも寄らない方向にころがっていって本当はそうなってほしくないのに、破滅的な結末となってしまう。立ち去った相手にはいつも、そう、いつも、戻ってきてほしいのに、彼／彼女は戻らないで行ってしまう。その直後、独り残されたミナ＝ロマーヌが見せる表情がなんともきれいなのだが…悲しすぎる表情なのである。諦めと悲哀がないまぜの―）成り行きと孤独である。寂しさに彼女は悲鳴を上げることすら出来ないまま、弱っていく。ミナが何気なく、だが藁をもすがる思いでリモコンをつかんでテレビをつけたとき、そこから流れてきたのはダリダ（1987年に自殺した）が歌う―そして16歳1974年、エテルとふたりでお茶を飲んでいたときにエテルが歌った―『十八歳の彼』だった。…この映画を観た女性の多くは、心になにかしら思い当たることがあるのではないだろうか。わたしにはミナの側面とエテルの側面両方が６：４か７：３くらいであるように思え、身につまされる。そしてミナ＝ロマーヌ・ボーランジェがヨージ・ヤマモトきめきめファッションしているところからしてある知人にとてもよく似ていて、会話の内容も自分たちがかつて交わしたそれと重ね合わせられるところがあって…どうしようもなく動揺してしまう。1989年（31歳）と1991年（33歳）のふたりが、とりわけミナが、切なく泣ける。奇しくも今33歳のわたしにはそのまま自己投影といったところか。ロマーヌ・ボーランジェ（かわいくてスピリチュアルにきれい。特に目が良い）のふとした表情の揺れが深く美しい。…昨日から動揺していたわたしはこの「ミナ」を観たあげくさらに動揺している。18歳の頃のわたしは何を夢見ていたのか、今のわたしのことをどう見るだろう。31歳からはどうだったか。ひとの情は深い。時ははかない。

  2001年12月18日

• 暖房のせいで寝坊する　晴れのち曇り

  晴れのち曇り。きりっと寒い。寝室に小さな電気パネルヒーターを置き緩く入れて眠ったら心地よかったらしく、一時間寝坊してしまう（すみません）。明日からはきちんと早起きするぞとかなり固く決心。夜明けの空気が好きで、本当は朝型の生活に切り替えたいのだけれど今はどうしてもそうすることが無理な暮らしだ。このごろ体が重くて仕方がないので、体重５キロ体脂肪率３パーセント減らす決意も固めてみる。さて…。▼読書●中野翠・石川三千花『ともだちシネマ』（文春文庫）。

  2001年12月17日

• 映画「デンジャラス・ビューティ」（サンドラ・ブロック主演）／ゴッドファーザー　晴れ

  晴れ。昨日に比べると穏やか。▼cinema借りてきたDVDでサンドラ・ブロック主演の映画「デンジャラス・ビューティー」観る。彼女の地・魅力を生かした楽しいアクション・コメディーで、ダイヤモンドの原石を磨くよーなお話。すかっとする。マイケル・ケイン演じる美容コンサルタント”ビクター”が素敵で面白かった。そのあとゴッドファーザーを少し観る。やはり息をのんでしまう。圧倒される。３回ほどもう観ていてラストまで知っているので、結婚式のシーンで始まることに改めて衝撃を受ける。

  2001年12月16日

• 劇団☆新感線『直撃！ドラゴンロック３～轟天 対 エイリアン』面白かったー。　快晴

  快晴。北風が強く吹き寒い。深く澄んだ青空にちぎれ雲が流れる。午後から東京・赤坂ACTシアターにて劇団☆新感線『直撃！ドラゴンロック３～轟天 対 エイリアン』観る。前から５列目、上手側いちばん端の見切れ席ぎりぎりの席だった。おポンチ路線の劇。ギャグやパロディーなどの連発に気持ちよく笑う。千と千尋…と牛丼を絡めたのには大笑いする。高田聖子さん（形容するなら、サンドラ・ブロックがやっぱりいちばん似てる気がする…）はわたしと同じ学年になるんだけど、んー、あんなふうに自分もオトナに見え始めているのかな、とか思ってみてしまった。彼女このごろぐっと大人のかっこよさになってきてるなあ。２時過ぎ開演で終演は５時回っていて少し疲れを感じる。観る方も体力勝負、な新感線の芝居である。▼読書●クリスティー『ポアロのクリスマス』（ハヤカワ・ミステリ文庫　1976.11、ISBN4-15-070015-X）読了。家族、罪、浄化。

  2001年12月15日

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