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シイナ「登山なんて久しぶりだね。
前に行った時は急に雨が降って大変だったけど、 苦労を乗り越えた経験は後々になってみると良い思い出になるよね」 麻美 「確かに。土砂降りの中、一緒に穴を掘って男を一人土中に埋めたのも、 今となっては良い思い出だね」 シイナ「そんな思い出ないよ!」 麻美 「それにしても、さっきから全然頂上が見えてこないね。 いつのまにか道らしき道でなくなってきているし」 シイナ「確かに…。見渡す限り木しかないね。 木、木、木。あっ!あそこに人が倒れてる!」 麻美 「ホントだ。大丈夫ですか?」 男 「う、うぅ…」 麻美 「ダメだ。死んでる」 シイナ「そんなわけあるかー!はやく介抱しないと」 麻美 「はい、水筒。一気に飲ませると危ないから少しずつね」 シイナ「流し込みますよー」 男 「…っ!!」 シイナ「ど、どうしよう。この人、苦悶の表情を浮かべてるよ!」 麻美 「そりゃお湯だもの」 シイナ「そういうのは先に言ってよ!あ、でも気がついたみたい」 男 「ここはどこだ?それにあなた達は?」 シイナ「ここはさざなみ山で、私たちはそこに登山に来た者です。 私がシイナで、この子が麻美」 男 「あぁ、やっぱり。まだこの山から出ていないのか…。 ちなみに私は山本です」 麻美 「薮本さん、それは一体どういう事ですか」 男 「山本です。私にも良く分からない。なぜかいくら歩きまわっても、 この山から出られないんだ。どちらに向かって歩いても 同じ場所をぐるぐるとまわってしまう」 シイナ「えぇ!?麻美、木ノ下さんみたいな事ってありえるの?」 男 「山本です」 麻美 「ここのように似た景色が続く場所ではよくある事よ。 直進しているはずが、その人の癖で知らず知らずの内に、 右か左に曲がりながら歩いているために円を描いて 同じ場所をぐるぐると歩いてしまうのね」 男 「なるほど。私の場合、視力が悪いからなお更か」 麻美 「もっとも、この場合は違うと思うけど」 男 「えぇ!?」 麻美 「だって、ほら、ずーっと向こうの方に、米粒大くらいの私達3人の後姿がある」 男 「なんだって!?」 シイナ「あ、本当だ!すごい!私が手を振ったら私も手を振ってるよ!」 麻美 「この調子だといくら前に進んでも出口はなさそうね。 あと、シイナ、何だか楽しそうね」 シイナ「鈴木さんはここで迷ってどれくらいになるんですか」 男 「私は山本です。ていうか君達絶対わざとやってるだろ。 感覚的には3日は彷徨っていると思う。 ただ空も含め全く景色が変わらないから正確な所は分からない」 麻美 「どうやら異世界に迷い込んだみたいね。ここから抜け出す術も分からない」 男 「どうしてこんな事に…」 麻美 「きっと日経平均株価が大幅に下がったから」 シイナ「絶対関係ない!ほら、変な事ばかり言ってるから 雨が降ってきたし…。事態が悪化する一方だよ」 麻美 「こういう収拾のつかなくなった時の解決法は知ってるよ」 シイナ「どうするの?」 麻美 「・・・・・・そんな夢を見た」 シイナ「何の解決にもならないよ!」 ---------------------------------------------- 逃げたっ!続くのか、これ? 伏線?なんすか、それ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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