テーマ:ハイブリッド・カー(58)
カテゴリ:車
トヨタ ハイブリッドシステム THS の閲覧が多いようですので、補足として少し詳しく書きたいと思います。
ズバリ、動力分割としての遊星歯車は、下のような機構になっています。 1)朝一番、エンジンが冷えている時、システムをONした時、エンジン冷却水 温度が40℃になるまでエンジンが動きます。 "プラネタリーキャリア"と"ピニオンギア"およびサンギアが回転します。 この時、一番外側の"リングギア"が動かないように駆動用モーターを制御し、 一番内側の"サンギア"に直結されている発電用モーターにエンジン動力が 伝えられて充電します。 2)充電が終わり、少しアクセルを踏むと、一番外側の"リングギア"に直結 されている駆動用モーターに電気を送って走行します。 この時、エンジンは停止しているので、"プラネタリーキャリア"は停止して おり、"ピニオンギア"だけが回転して一番内側の"サンギア"を無負荷で回転 させます。 ここで大きな特徴があります。 駆動用モーターで走行している時、ガソリンを噴射させずエンジンの ピストンも動かすことなく走行していることです。 以前にも書いたポンピングロスの低減です。 つまりエンジンのピストンを動かすエネルギーのロスを防止しています。 これが低燃費を生み出す動力分割の大きな特徴です。 3)アクセルを強く踏んでエンジン走行する時、エンジンと直結された "プラネタリーキャリア"が回転します。 この時、一番内側の"サンギア"とタイヤに直結されている一番外側の "リングギア"に動力が分割され、"サンギア"に割り振られた分を充電 に回します。 ここで二つ目の特徴があります。 エンジンが掛かっている時は、同時に充電しているということです。 4)一方、ブレーキを踏む時には、多くの場合エンジンは回転していませんので、 一番外側の"リングギア"と一番内側の"サンギア"が回転しており、双方に直結 している二つのモーターに発生している回生電流で充電します。 これが、ブレーキング時の回生充電です。 ここで最後の特徴です。 他のハイブリッド車にも同等の事が言えますが、ブレーキング時は、車の運動 エネルギーを回収して充電しています。 ガソリン車の場合は、ブレーキパッドとブレーキシューとの摩擦が熱となって 運動エネルギーを放散(=ロス)させているのです。 他にも制御上のポイントが沢山ありますが、ここでは省略します。 以上の中で最も肝となるポイントは、一番内側の"サンギア"の制御でしょうか。 エンジン走行時の動力分割制御や充電の制御を伴っているからです。 またエンジン起動時に必要な、ガソリン車で言うところのセルモーターの役割も 果たしており、モーター走行中にエンジンを起動させる時は"サンギア"に抵抗を 掛けながら回転させます。 本当に良く考えられており、構造的にはシンプルなので故障も少ないと思います。 これまでの日記で、よく似たことを書いてきましたが、具体的にもう少し詳しく 説明してみました。 THSは、この遊星歯車による動力分割が特徴であり、この機構のことをトヨタは 「電気式CVT無段変速機」と称しています。 ガソリン車のCVTとは構造が全然違うのです。 "参考日記" お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.01.07 19:46:54
コメント(0) | コメントを書く
[車] カテゴリの最新記事
|
|