小さな明治の古時計
おじいちゃまが子どものころから家にあった時計を貰いました。コッチンコッチンと一時間ごとのボーンボーンがとてもいいです。一週間に一度ネジを巻いて、時々油を刺してあと百年。------------先月の帰省の際、祖父が「麗子はいつになったらこの時計を持って行くんかね?」と聞いてきました。祖父の時計の振り子の下には「おじいちゃまがいらなくなったら麗子がもらう」と書いた紙が入っていました。「もういらないの?」「ああ、あんたが使うんやったら持って行きなさい」いま急に貰って帰っていいのかな。おじいちゃまは時計がなくなって寂しくないのかな。でも、おじいちゃまがいなくなってから外して帰るのはもっと寂しいだろうな。ということで、祖母の襦袢で梱包した時計を旅行鞄につめ、大切に持って帰りました。うるさいかと思っていた時計の振り子と時報の音は、不思議に心が落ち着く音とリズムです。コッチ、コッチ、コッチ、コッチと拍子を取りながら、時計はずっと歌って一日過ごしているようです。海の波の音を聞いているような気持ちになります。祖父はずっとこの音を聞いて淡々と生きて来たんだな。祖父はいま時計無しでもこの時間を過ごせるているのだろうか。私に命のリズムをくれたような気がして、祖父の顔を思い出すだけでなんだか泣けてしまいます。"くびれと腹筋物語"&人妻からの返信楽天自腹列伝楽天ブロランキング