レイバン
20代の前半、田舎にUターンする前は「レイバン」を愛用しておりました。こ~い真っ黒でして、その頃は、天気の良い日でもわたくしの眼前にはいつも、世をひねた薄暗い世界が広がっておりました。工藤俊作にあこがれておりましたので、真冬はベージュのダウンジャケットにGパン(ジーンズではありません)に、ウエスタンブーツに”真っ黒なレイバン”をして、札幌の冬の街を、首をすくめて歩いていたわけです。(さすがにベスパは買えませんでしたが)薄暗いスナックなんかに入ると、何にも見えないので、せっかくカッコつけて歩いているのに、トイレに行く時とかに、テーブルの角に弁慶の泣き所をぶつけて、「ううっ…」と、通路にうずくまってしまい、店のネエチャンがカウンターの陰に隠れて笑っているのは知っておりましたが、それはそれで工藤ちゃんのキャラとかぶっていると思っておりましたので、中途半端なハードボイルドを気取っており、お気に入りの、”レイバン”を風呂以外では外すことはありませんでした。田舎に帰ってからは、真面目な社会人として働くことになりましたので、髪を刈り上げ、刈上げには似合わない、6年間愛用していた3代目のレイバンを、ハーレー好きの友人に進呈して、ついに泣く泣く年貢を納めたのでした。あれから…長い年月が経過いたしました…2週間ほど前から、再びメガネを掛けることにしました。「遠近両用」です…乱視と遠視と老眼”の三重苦に耐えられず、ついに9,800円で作りました。まだ慣れていないので、階段からは叩き落ちそうになるし、一昨日は久しぶりに…「スナックのテーブルの角に、弁慶の泣き所をぶつけて、うずくまってしまいました。」もう、オネエサン達はカウンターに隠れることなく「はっはっはっ~熊さん歳だねぇ~」と、大声で、笑っておりました。あれから何十年っ!!!…これじゃぁまるで「綾小路きみまろ」です。でも、そんな年齢になったのだと、しみじみ実感してしまう夜でしたねぇ…