クラシック音楽エッセイ～今日の１曲

サラサーテ◇ツィゴイネルワイゼン

前回のエッセイで「流浪の民族、ロマの音楽はロマン派の源流」という言葉を頂き、そうなるとこの曲を是非ご紹介したいと思いました。

パブロ・マルティン・メリトン・デ・サラサーテ・イ・ナバスクエス（Pablo Martín Melitón de Sarasate y Navascuéz,１８４４－１９０８）はスペイン生まれの作曲家、ヴァイオリニストです。この「ツィゴイネルワイゼン」は１８７８年に管弦楽伴奏付きのヴァイオリン曲として完成しました。非常に派手で劇的な曲として今でも一般的に広く親しまれ、アンコールピースとしても登場しますね。私も何度か演奏共演致しましたが、ヴァイオリニストの感性により随分と表現が違ってくるのがまた１つの楽しみでもあります。

そのドイツ語発音でいう「ツィゴイナーヴァイゼン」は「ロマ＝ジプシー音楽」の旋律という意味があります。ハンガリーからフランスを超え、スペインにはジプシーの住民が多く移り住み、そのスペイン音楽には、フラメンコを始めとするジプシー音楽の影響がとても強いという訳なんです。

　　　　今日の１枚～ジョン・シンガー・サージェント◇スペインの踊り

ジョン・シンガー・サージェント（John Singer Sargent：1856 - 1925）アメリカ画家

また、ジプシー音楽は、「ラッセン」というゆるやかな部分と、「フリスカ」という、急速で情熱的な部分をもっています。
そして作曲者サラサーテが、名バイオリニストであったため、この曲は、バイオリンの表情や音色の変化を各種の演奏技巧によって生かし、楽器の性能を、十分に発揮させています。

今日の動画は韓国の3姉弟でお馴染み、鄭 京和 （Chung Kyung-wha）のヴァイオリンです。姉は明和（ミュンファ）チェリスト、弟明勲（ミュンフン）指揮者＆ピアニスト。また3姉弟でチョン・トリオを結成しています。

ヴァイオリン：鄭 京和　Kyung Wha Chung

http://www.youtube.com/watch?v=VXCJA-RFIYk&feature=related