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カテゴリ:びっくり!くろの日常
3年ぶり?に会った親父は、思ったより老けていなかった。
俺にとって反面教師でありつづけた男、 そして、俺のことを「冷たい息子」といい続けた男、 それが俺の親父だ。 75歳になる親父は、小説家になる夢を未だに追い続けている。 これから全身全霊で、人生の集大成となる本を書くという。 「俺は天才じゃない。 だから自分の体験に基づいたことしか書けない。 お前のことも書く。母さんのことも書く。 自分が、家族に対して感じてきたことを正直に書く。 お前や母さんが、読んだらショックだったり、 不快に思うであろうこともとことん書く。 それを言っておきたかったんだ。」 親父は、俺に会いにきた理由をそう説明した。 複雑な思いもあるが、嬉しかった。 昔の記憶が蘇った。 俺が高校一年生の時、親父が私小説を書いた。 小説の中では、親父は愛妻家であり、 お袋は親父のことをとことん愛し、 俺は親の愛を一身に受け、親を愛する息子だった。 現実から目を逸らし、世間体を気にし、 作品を創る事と嘘をつくことがごちゃまぜになった 吐き気を催す小説だった。 俺は、高校の作文の授業で、 その親父の小説の話を書いた。 「夢を追い続け、遂に形にした父親を尊敬している。 いい作品だと感じた。」 作文に感動した先生は、 俺の作文をプリントにして色々な人に配った。 小説の中に書かれた家族の姿が虚像であるのと同様、 俺の作文も嘘の塊だった。 ある意味、親父と俺は似た者同士だ。 親父が全てをかなぐり捨て、 綺麗なものも汚いものも全て作品の中でぶちまけた時、 その時、初めて俺は親父の生き方を理解できるのかもしれない。 親父の人生に残された時間はもう、そう長くはないだろう。 頑張ってほしい。 半端なものはもう書くなよな。 正直、親父は嫌いだが、 悔いのない作品を、 親父なりの人生の全うを、 見せてほしい。 今は、素直に、そう思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年03月29日 01時05分26秒
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