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カテゴリ:SF
「センター・オブ・ジ・アース」 Journey to the Center of the Earth 2008年 アメリカ映画 監督 エリック・ブレヴィグ 出演 ブレンダン・フレイザー ジョシュ・ハッチャーソン アニタ・ブリエム SFの父とも呼ばれる19世紀のSF小説家ジュール・ヴェルヌの「地底旅行」の何度目かの映画化です。 10年前行方不明になった兄マックスの後を継いで大学で地球物理学を教えるトレバー・アンダーソン(ブレンダン・フレイザー)は、兄の遺児ショーン(ジョシュ・ハッチャーソン)を10日間預かることになります。 ショーンとともに義姉から預かった兄の遺品の中の愛読書ジュール・ヴェルヌの「地底旅行」に書き込まれていたメモから、突然思い立ち、トレバーはショーンを連れてアイスランドへ向かいます。 兄マックスのメモにあったアイスランドの火山学者シグビョルン・アスゲリソンの研究所を訪ねると、目当ての彼は亡くなっており、その娘ハンナ(アニタ・ブリエム)に迎えられました。 ハンナの案内で、兄の設置したセンサーを探しに山へ行くことになりました。急に変わった山の天気から洞窟へ避難しましたが、落雷のため入り口を塞がれてしまった3人は、奥へ進んで出口を探すしかありませんでした。 “地球空洞説”を信じる男が、大学で“大陸移動説”を教えているのはおかしいだろとか、兄マックスが世界に設置したセンサーは何のセンサーなんだとか、火山島であるハワイやアイスランドはわかるが、大陸・プレートの真ん中で地震が少ないであろうモンゴルにセンサーを設置していた意味は何だとか、山の谷間のちょっとした広場に短いパルス状に何本も落ちてくる雷というのは何なんだとか、落ちている途中で会話できるほどの長い落下って、いったい何km落下しているんだとか、そんなに落下したのに無傷というのはどういうことかとか、地中の空洞が明るいのはどうしてかとか、地中の空洞にどうして植物がいっぱいあるのかとか、水上にいる自分よりも大きい獲物を狙ってくる魚というのはありえないだろうとか、首長竜が変な魚よりもうまそうな人間を狙わないのはなぜかとか、何kmも地中の洞窟で携帯電話が通じたのはなぜかとか、三葉虫や首長竜やティラノサウルスなど、全く時代がバラバラ(何億年も)な生物が混在しているのはなぜかとか、磁気を帯びている岩が宙に浮いているということは、その下の地面もかなり強い磁気を帯びているはずなのだが、その場をちょっと離れただけで方位磁針が使えるようになったのはなぜかとか、ティラノサウルスより人間の方が速く走れるってどういうこととか、科学的な突っ込みどころが満載ですが、はっきり言ってここではナンセンスでしょう。(ちなみに、入り口がアイスランドで、出口がイタリアだったことは別に科学的におかしくはないですよ。立体的に考えてみよう。) そもそもが地球空洞説という、現代科学が完全に捨ててしまっている学説が大元にあるお話で、原作は150年ほど前の小説で、映画を作っている側が、科学的なにおいが漂うだけでいいと思っているようで、もう初めから科学的つじつまを合わせようとしていないのが明らかな確信犯だからです。 それから、トロッコでジェットコースターするのが「インディー・ジョーンズ」みたいだとか、ティラノサウルスに追っかけられるのが「ジュラシック・パーク」みたいだとかいう突っ込みもナンセンスです。 なぜなら、150年前の原作にも同じ描写があるとしたら、明らかにこちらの方が先で、「インディー・ジョーンズ」や「ジュラシック・パーク」の方が後にできているからです。 だから、はっきり言って、突っ込むべきは、21世紀に入っている今、この前々世紀のお話を映画化するのはなぜかという、一点のみです。 よっぽどハリウッドではアイデアに枯渇しているのだなという感じがしてさびしい限りです。 最近、昔からのアメコミを原作とした映画や、日本のアニメを原作とした映画や、韓国やフランスなど他国の映画をリメイクした映画などが目白押しです。 そして、とうとう150年も前のSF小説を原作に持ってきて作ってしまったということです。歴史物や恋愛物ならともかく、日々科学が進歩している昨今のことを考えると、そんな古いSFを原作に持ってくる勇気は、僕には信じられません。しかも、とりわけ新しいアクションのアイデアがあるわけでもないのに。 しかし、実はこの映画、3Dという新技術のおかげもあり、意外とヒットしたんですから驚きです。まあ、上映時間などから、明らかに子ども向けに作られた映画だからいいのかな。 そう考えれば、お話の組み立てなどは、なかなかうまくできていたので、家族で夏休みなどに見に行けばいい映画ですね。(そう考えると、10月に公開した日本の配給会社は馬鹿ですね。) でも、子ども向けに作ったということは、ツバつけたのくだりとか、ハンナがどんどん薄着になっていくところ(気温がだんだん上がっているのだからしょうがないですが。)とかは、どう考えたらいいのでしょうか。 ところで、僕はこの映画、当然ながらディズニーの製作だと思っていたんですが、違ったんですね、驚きです。 たまたま、例の同名のアトラクションとこの映画の原作が同じだったということなのですね。 この邦題にした配給会社に、著作権に異常に厳しいディズニーの追及はなかったのでしょうか?非常に疑問です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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