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カテゴリ:SF
「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」Buck to the Future part2 1989年 アメリカ映画 製作総指揮 スティーヴン・スピルバーグ 監督 ロバート・ゼメキス 出演 マイケル・J・フォックス クリストファー・ロイド リー・トンプソン トーマス・F・ウィルソン 前回、PART1について書いたので、ここは、PART2を書かねばならないでしょう。 PART2は、前作の終わりからそのまま続きます。 マーティ(マイケル・J・フォックス)は、その彼女のジェニファー(実はジェニファー役の子、PART1から替わっています。初めて見た時はちっとも気がつきませんでした。)とともに、ドク(クリストファー・ロイド)に連れられ、30年後の未来(2015年)にやってきます。 2人の子どもマーティJr.(マイケル・J・フォックス)が大変だというわけです。マーティがJr.にすり替わり、危機は脱することはできましたが、欲をかいたマーティが、1950年から2000年のスポーツの結果が全て書いてあるスポーツ年鑑を骨董品屋で買ってしまいます。 歴史を変えてしまうことを異常に恐れるドクは、マーティにそのスポ-ツ年鑑を捨てさせます。ところが2人の会話を影で聞いていたビフ老人(1955年のビフが年を取った・トーマス・F・ウィルソン)は、そのスポーツ年鑑を拾い、デロリアンを盗んで乗って行ってしまいます。 ビフ老人はそのまま元の時点に戻ってきたので、マーティとドクは全く気がつかず、ジェニファーを連れて、1985年に戻ります。 ところが、1985年のヒル・バレーは、大金持ちのビフが支配する暗黒都市に変貌していたのです。 それが、ビフ老人が1955年のビフ(トーマス・F・ウィルソン)にマーティが捨てたはずのスポーツ年鑑を渡した結果だということがわかり、マーティとドクは、スポーツ年鑑をビフの元から取り戻すべく、再び1955年へと向かいます。 ということで、本作では、1985年・2015年・1955年という3つの時代を股にかけ、マーティとドクが大活躍(自分のミスのしりぬぐい?)をするわけです。 やはり、前作同様、ギリギリのところでミッションに成功し、無事歴史を元に戻すことに成功しているわけですが、やっぱりハラハラドキドキの展開は見事で、まったく飽きることなく楽しめる、1流のエンターテイメントに仕上がっています。 もちろん、前作同様、お遊び的な描写は盛りだくさんです。 まず、2015年(この映画の撮影当時から考えると遠い未来の便利になっている世界)の描写が面白いです。 空中のハイウェイを疾走する車たち(「フィフス・エレメント」などでもそうでしたが、どうも車は未来では空を飛ぶものというのが多くの人々の描く未来像なんですね。航空力学的に考えて、翼が無いもので、引力に逆らって安定的に移動することは不可能だと思いますが。)、濡れても自動的に乾かしてくれる上着、壁掛け式の超薄型多チャンネルTV、自動で足にフィットする靴、立体映画、チンすると普通の大きさに膨れる超凝縮ピザ、などなど、この年号まであと3年と迫った現代で、実現しかかっている物もありますが、不可能な物もあり、今見ると非常に面白いですね。(でも2015年のマーティの家族の描写は、お遊びが過ぎて、ちょっといただけませんでした。) とりわけ僕が非常に気に入っているのが、ホバークラフトの原理(らしい)で車輪なしで乗って進むことができる、スケートボードならぬ、“ホバーボード”です。実現可能かどうかは置いておいて(あのスケボーサイズでは実現は不可能のような感じはしますが、)、このアイテムはマーティもお気に入りで、この映画のみならず、PART3でも大活躍する、大ヒットアイテムです。 また、スポーツ年鑑のせいで変貌してしまった1985年のヒル・バレーの描写も非常に面白いです。 1955年のビフ(トーマス・F・ウィルソン)が、老人になった自分自身から受け取ったのは、1950年から2000年のすべてのアメリカのスポーツの結果を記した年鑑です。(その割には、アメコミみたいに非常に薄いのが疑問ですが。)ビフはそれを利用して大金持ちになっており、ヒル・バレーのど真ん中にでっかいカジノビルを建て、その最上階で、ジョージを暗殺して無理やり再婚し、自分好みのグラマーセクシー美女に整形させられたロレイン(リー・トンプソン)とともに暮らし、町を支配していました。ビルの周りには、暴走族がたむろし、学校は崩壊しているようで、生徒たちと先生は銃撃戦をする仲のようです。 はっきり言って、すごい描写です。だって、「バットマン」のゴッサムシティよりもすごいんですから。まさに暗黒都市です。 僕が1番気に入っているのは、1955年の所です。 ビフからスポーツ年鑑を取り戻すべく1955年に向かったマーティとドク、それは、まさしくあのマーティの両親が見事結ばれたダンスパーティの晩でした。舞台上では、PART1のお話の通り、マーティがギターを演奏しており、その同じ講堂で、再び未来からやってきたマーティがビフからスポーツ年鑑を取り戻すべく、暗躍しているのです。 同じ場面にマーティが2人写っている描写もあり、マーティとマーティが鉢合わせなんてことになったらどうするんだろうとドキドキして、楽しくて仕方ありませんでした。でも、良く考えたら、舞台上のPART1のマーティだって、タイムマシンの存在を知っているのだから、別に、また来たのか、と思うだけかもしれませんが。 というように、凝りに凝ったお話が作られているPART2です。実は、僕自身は、この複雑に絡み合うPART2が、シリーズ3作の中では、1番好きです。 しかし、僕は気がついてしまいました。タイムパラドックスに。 それは、2015年のビフ老人がスポーツ年鑑を1955年のビフに渡したことにより、歴史の流れが変わってしまったわけで、ビフ老人が戻る未来は、流れが変わった違う未来でなければならないのではないでしょうか、ということです。 その未来は、大金持ちのビフが1985年にヒル・バレーを支配している未来からつながる未来でなければならず、1985年のマーティとドクが行った未来とは違う未来のはずです。そして、ビフ老人は、現実とは違う別の2015年に帰ることになるはずではないでしょうか。そして、マーティとドクは2015年に取り残され、1955年からの流れが変わってしまったがために、消え去る運命にあるのではないでしょうか。 ということは、物語が根本的におかしくなってしまうということです。困ったなあ。 あっ、そうか、PART1にあったように、歴史が変わってしまっても、おかしな存在が消え去るまでには、若干のタイムラグがあったんですよね。PART1では、その間に、何とかジョージとロレインを結びつけることに成功し、マーティは消えかかっていたのが助かったのでしたね。 なるほど、じゃあ、ビフ老人は、そのタイムラグの間に何とか帰ることができたと解釈すればいいわけですね。デロリアンから出てきたビフ老人が何か苦しそうにしているのは、タイムトラベルの衝撃が年老いた体にこたえたというわけではなく、消えかけているという解釈でいいわけですね。 あれ、そうすると、1985年から2015年に行ったマーティとドクとジェニファーも、消えなきゃならないはずですよね。彼らが未来に行っている間に歴史の流れが変わってしまい、その1985年には、彼らとは別の3人がいるはずですから。 マーティが戻った1985年は、完全にビフが支配するヒル・バレーでした。ということは、歴史が変わるまでのタイムラグも終わってしまっていると解釈するのが正しいですよね。あれっ、どうしよう、困ってしまったぞ。これはもう、抜け道はないかもしれないですね。 ということで、非常に根本的なところでの、矛盾点に気付いてしまいましたが、それはそれとして、この映画が非常に面白いということには変わりないので、やっぱり、僕は、このシリーズが好きです。(困ったもんだ。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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