|
カテゴリ:本のオハナシ
明治以降、日本は2度崩壊の危機がありました。 1度目は、第二次世界大戦によって、焼け野原となり、多くの日本人が兵隊にかり出され、見知らぬ土地で日本軍に捨てられて餓死し、残った人も空襲や飢えで死んでいきました。 2度目は・・・ 1980年代、中曽根首相の下“第2臨調”が作られ、国鉄が民営化されました。 ここから始まった「構造改革」は表向き「平等な自由競争」を装った弱肉強食社会を構成し、自己責任という名の福祉切り捨てや、雇用の流動化によるワーキングプアの誕生となり、結果的には一部企業だけが私腹を肥やし、日本自体の国力は大幅に弱められています。 このまま行くと、円は元に追い越され、日本は国際的にも経済的にも力のない国になることが予想されます。 話を戻しますが、今のこの状況は、中曽根首相の「第2臨調」から始まっています。 さて・・・・ この二つの“崩壊の危機”に、1人の人物が大きく関与しています。 “瀬島竜三”元大日本帝国大本営参謀、戦後に伊藤忠の会長になり、第2臨調の中心人物となった人です。 戦時中、彼のために、多くの日本人が犠牲になりました。 彼の判断ミス(アメリカ大統領からの書簡の握りつぶしや台湾沖回戦勝利調査依頼の電報を握りつぶしたこと)により、多くの国民を戦争に巻き込まれ、インパールやガダルカナルで多くの日本兵が“犬死に”させられました。 また、シベリア抑留に関してもソ連と取引(何かの替わりに捕虜の扱いの全権をソ連に売り渡した)をした疑惑があります。 そして・・・ この男は今の格差社会やワーキングプアを生み出し、日本の国力低下を招く原因となる“第二臨調”の中心人物でもあります。 瀬島竜三のしてきたことが詳細に記録されているのが『瀬島竜三 参謀の昭和史』という本です。 年末に読んだ上に、人にあげてしまったので、詳細な話は書くことができませんが、正直な感想は「悪党は滅びないんだなぁ」です。 この人物のせいで、一般国民がどれだけ被害を受けているのか・・・本当に腹立たしいかぎりです。 著者はいろんなことを調べてあるのですが、肝心な本人は全く真実を公表していません。最近では当時の将校たちが自分たちの反省と、次世代へのメッセージを綴った本が出されるようになっていますが、瀬島竜三は、自信の反省など全く顧みていないようです。 それと同時に、当時の将校(軍の中の官僚みたいなものですかねw)が、戦犯を逃れ、自民党議員や防衛庁、自衛隊の中枢に入り込んでいることがよくわかります。 この本を読んでいると、戦争責任者は生き霊のようになって日本中枢に取り憑き、日本を骨の髄まで吸い尽くそうとしている様子が目に浮かぶようで恐ろしくなりました。 最も印象的だったのは「瀬島竜三に「何故日本は戦争をしたのか」を聞いてはいけない。聞くべき事は「何故日本は戦争に負けたのか」と言うことだ」という言葉には、日本を破滅に陥れた張本人が自己を省みる上で最も大切な要素を的確に突いているな、と感心しました。 この本は1992年頃刊行された本ですが、できれば今の現状も加筆したものを是非読みたいと思います。 読んだ当初はもっともっと書きたいことがあったのですが、その後も立て続けに読んだため、この程度しか書けません(ちょっと悔しいですw) 重い内容の割に簡単で面白いので、是非一度読んでみて下さい☆
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[本のオハナシ] カテゴリの最新記事
|