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カテゴリ:加川良
フォークビレッジ20周年記念ライブは 午後4時に開場だった 最前列の席を確保できてホッとしたと思ったら 「・・・・です」とマイクの前に立った男が 歌いだすではないか 俺は音あわせのADの人だと思っていたら フォークソング風に歌いだしたのである そして1曲歌い終わると奥へさがり また別の若づくりの男が出てきて フォークソングもどきを歌いだすのである 最後は女性が出てきてなんだかホッとしたら その歌が「時代」でもうこれ以上最悪はないといった 歌だったのである 最悪というのは好感がもてるもので これで人前で歌う彼女に尊敬の念さえ抱いた さて 前置きがながくなった その前座の方々のおかげで大切なことに気づいたのだ 最初に登場した中村貴之の歌が その前座の人たちの歌と根本的に違うのである それはプロとかそういうことではないと気づいた 歌が主役なのである 歌手やギターが主役ではなく 歌そのものが空気や宇宙のようなものを もっているかいないかなのである 中村が唄う歌のほとんどはNSP時代の 天野滋の作品だが この作品が歌だから胸に届くのであると気づいた 猫の歌もパンダさんの歌も 歌そのものに力があるから聴衆は聴き入るのである 余談になるが 中村貴之が初期のNSPの頃 加川良の前座をした思い出を語り 「加川さんの唄を聴くのが楽しみです」 この中村の気持ちは俺らと同じ土俵の言葉として聞いた NSPなんて屁のようなグループだった頃 加川良はカリスマ的な評価をされつつあった 短い時間だったが 吉田拓郎と加川良の東西横綱時代があったことは確かだった さて 加川良が登場する チェックの朱色の服 下に白いTシャツ ジーンズ ナイキのスニーカー 何年前かどこかの公民館でみた夏も 同じような格好だったし 髪の毛も鬚も変わらない スタッフと一緒になって マイクの準備やいらないものをどかしている ここは大切! みんながいい音を聴いいてもらうための準備に あれこれ工夫をするところを ある意味全部取り除いて マイクとギターとタオルが 加川の武器(道具)なのである そして声が最大の武器 いやもうひとつ心を言葉という音にすること 若い頃の加川は 「加川です」という挨拶ではじまり 「おおきに」で終わっていたと記憶する もうそういう挨拶も無い 「良さ~ん!」とかけ声が飛ぶ 加川良の空気で 会場全体が加川良的な空気に変わる 中村のうた 猫のうた 山田パンダのうたたちの 余韻は一切残っていない (ごめんね、中村、猫、パンダさん) いきなり唄がはじまるが 聴いたことあるようなないような 唄なんだがそんなこともどうでもいいように お腹や心臓にボコボコ食い込んでくるんだ 「フォークソングなんて大嫌い」と言いながら 唄うその唄は歌だった これが歌なら ほかの歌はなんなんだと思わせるくらいの エネルギーで観客を丸呑みしていくのである テレビのクリスマスの約束で去年見た 吉田拓郎や小田和正の歌たちが レクレーションの出し物にすぎないように思えた 唄っている何かが根本的に違うのだ それが何かはわからない ただそれは厳然と感じるものだった 加川の世界は もはや吉田拓郎や小田和正も手の届かないところで 唄ってる そんな気がした 2曲目の「春夏秋冬」にしたって 俺はSIONの「春夏秋冬」が最高だと思ってきたが 加川の「春夏秋冬」は 別次元での唄に変貌していた 理屈じゃない 俺は歌を唄いにきただけさという姿勢 あなたがたに聴いてもらって唄は歌として生きるんだということ まったくシンプルだ ギターを弾いて唄って 汗かいたらタオルで額の汗をふいて また唄う 70才目前の男の姿ではない 髪は染めているのだろうが とにかく量が多く顔といっしょに揺れる揺れる 俺「風の別れを歌ってくださいよ!」と叫んだ 加川「風の別れ・・・知らん!」と一蹴されちまった 「女の証」も「コスモス」も聴きたかったが 加川が 「歌いたい歌を歌わせてください」と言った そして最後 「今年の流行語大賞はきまっています! 集団的自衛権にきまっています。 集団的自衛権と聞いてすぐに歌ができました」 新曲かと思ってドキドキしていたら これだった 最後に 加川の言葉でウケタこと 「中村さんや猫さんや遠藤さんや大先輩にお会いできて本当によかった。 なによりも山田パンダさんに生きて再会できるとは思ってもいなかった」 大爆笑だった! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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