室千草展/境界横断'06/野口琢郎展/岡普司展/あしおとあしあと/秋山淳展/AMP WEST/大高亨展/新田恭子展/染・清流館/小川興展/ミナコカワウチ展/花木ちひろ展/丸毛悠起子展他
えっと、大阪芸大には、2両編成の近鉄南大阪線にえっちら乗って、駅からのバスでのどかな川や田園?を堪能して、ぶっかけうどんを食べに行ったんじゃないんですよ。徳島にうどん食べに行くこと考えたらまともかもしれないけど。室千草さんの展覧会をみに行ったのです。「室千草展 Behind the Eyes」と題した映像インスタレーションでした。スクリーンの前後からプロジェクターで同じ?(少し位相がズレた?)映像が投影されていました。公園の木々が風でそよぐなかで、こちらを向いて一人立つ女性。Tシャツも、ジーンズも手も明らかに正面を向いているのだけど、顔をすっぽり長い髪で隠してしまっているので、顔だけが後ろを向いているようであり。何かありそうで、なさそうなリアルがそこにはありました。他にもスイス風?のアルプスの風景にはめ込まれた模型のような?滝の映像。リアルに作り込まずに、あえてズラしている?昔の妙な観光絵葉書のようなニセモノ。作られたリアル。床置きされたプロジェクターの前に立つと、これらの映像をふみつぶそうとする自分の足の影が、映像のなかに取り込まれていた意識が、一転して空間に引き戻される。これらの画面のなかで何が起きているのだろうと、問い掛ける目とこれらをありのまま受け入れようと指令する脳。なかなかの体験でした。さてさて、小旅行ののち、ナジックスクエアへランドスケープを専攻する大学院生たちの展覧会「境界横断'06 Synchro-Landscape」をのぞいてきました。新・都ホテルのアクアクリスタルのデザイン解析など、デザインの展覧会にはなかなか遭遇しないのですが、面白かったです。小米庵の「野口琢郎箔画展」は、漆や陶器に箔で抽象的な画面を構成した作品が並んでいました。カウンターがあってお茶もできる民家の雰囲気も加わって、なかなかいい感じを醸し出していました。野口さんは学生時代は油画を専攻していて、いまは家業の箔屋を継いでいらっしゃるそうです。ARTISLONGの中央には、大きな石の波状のベースとその上にチップを敷いて、これを叩き、つぶしてパルプにする石の道具(絶対持てない大きさ)が置いてありました。「岡普司 TOOL - ROOT / PAPER WITH STONE展」です。周辺の壁には、中央の大きなパルプにする道具を中心として円周上に実際の石の道具が置かれていました。石のベースの波状の部分には、パルプがこびりついた痕跡が残り、壁面には平面となった粗野なパルプが展示してありました。紙を作るという行為と道具に着目した展覧会でした。額縁屋さんがやっているヤマモトギャラリーでは、版画とドローイングの展覧会「あしおと あしあと」をやっていました。大学院生(M1)の後藤優子さんと学部4年生の佐藤友紀さん、松本高志さんのグループ展です。版画っていいですよね。油のように重くなく、軽やかな感じが好きですねぇ。やってる本人たちは何にとりつかれて版画を始めたのでしょうね。射手座では、同じく大学院生(M1)の秋山淳さんの個展「まる、しかく 秋山淳個展」がひらかれていました。日本画なのですが、非常にカラフルな絵です。油をやっている方ではこういった絵を描かれる方いらっしゃいますけど、最近の傾向なのでしょうか、日本画やっている若い方にもちらほら見られますよね。人物より、植物、風景をもっともっと見せて欲しいなぁ、と個人的には思っています。よろしく。射手座の界隈は、なかむら、中井、ギャラリー三条とたくさんあるのですが、まだまだ先があるので、パスをして、ARTZONEに顔を出しました。1階では「ポートフォリオ展」(なんと若手作家のポートフォリオだけが大量に並んでいます。図書室のようです)。そして2階では選抜された7人の若手作家の作品展示「AMP展」が行われていました。AMPって何って思って、リーフレットを読んでみると、Art Management Programの略だそうです。なんでも略するのって、どうなんでしょう。身内意識というか形にこだわるというか、わかりやすくしてくださいよぉ。選抜された7人は、明石雄さん、泉卓志さん、岡林真由子さん、佐々田南緒さん、山本努さん、悠久斎さん、Suncityさん。アクリルにグラインダーで絵をかく山本努さんの仕事になぜかひかれますねぇ。人ごみかきわけて河原町通りをつきすすみギャラリーギャラリーにやっとの思いでたどりつき、「大高亨個展」をのぞきました。大高さんがトーンを上げ気味で、何やら技法を来ていた人たちに熱心に説明していました。テクニークのことは聞いてもわからないので(^^ゞ、話しはうわのそらですが、生地に浮かぶ雲のようなほわほわとした部分、気持ち良さそうですね。これをやるのに機の隣りに陣取って、横糸替えさせるんだよぉっていっていましたが、その切迫感、厳しさと表現されるもののギャップがおもしろいですねぇ。隣りの部屋では「pocket networks 新田恭子個展」をやっていました。レースのような糸で紡いだポケットたちです。一筆書きのようにポケットがたくさんある服?でした。ギャラリーギャラリーは染織の展覧会を数多くやってくれるギャラリーさんなのですが、日曜やっていないのと18時で閉まってしまうので、なかなか大変なんですよね。染織の展覧会で思い出しましたが、新聞に「染・清流館」が10月3日にオープンって書いてありましたね。ずっと染・清流展を目黒美術館と京都市美術館で続けてきた大松さんですね。まだまだがんばってますね、京都の染織屋さんも。今度行ってみようと思います。ギャラリーギャラリーの向かい側の高島屋京都店で、「小川興陶磁展」をやっていました。大学や大学院では彫刻をやっていた小川さんですが、いまではお父さんの小川文齋さんと同じ道を歩んでいます。彫刻のときより陶器の方がいいですよ。彫刻での造形の仕事がいまに活きているのでしょうね。大きな花瓶等より、小さな器がたのしいです。高島屋に行ったら大丸にも行かないといけません。八坂さん、東寺さんと並んで唯一「さん」づけの百貨店ですから。というわけで、大丸京都店(きょうと「みせ」なんですよ)では、「Fine Scenes in Japan ミナコ カワウチ 版画展」をみてきました。朝日新聞京都版の紙面を飾っている版画の数々が展示されていました。シンプルな図案がさわやかでした。神宮道のはねうさぎでは、「花木ちひろ展 守るために」「それはそんな日で 丸毛悠起子展」「浜田翠展」をやっていました。花木ちひろさんと丸毛悠起子さんは3年前に彫刻を卒業した若き作家さん。花木さんに「卒業したあと、いまは何されているんですか」って聞いたら、「普通の仕事をしてます」っと返答。そこへすかさず、オーナーの巽育子さんが「そうじゃないでしょ。作家ですって胸はりなさい。制作することに決めたんでしょ。食べるために仕事もするけど、作家でやっていくって話したばかりじゃない」とはっぱかけられてました。がんばれぇ。粟田口のギャラリーすずきでは、「北條ヒロト solo exhibition invisible time」をやっていました。大学院M2の北條裕人さんの作品は大きなタイヤのような陶器でした。自重からかその大きな塊はたわみ、ゴムのようにやわらかな印象をもたらします。って本人に話したら、実際に指で押して、本当にやわらかいんですよぉですって。どこでみたのか忘れていたのですが、9月2日に行ったアートコートにあったのですね。北條さんに言われて思い出しました。本日の仕上げは、プリンツの「大人⇔子供」です。写真部の発表でした。2期にわかれていて、今回の出品者は星川真子さん、古藤淳子さん、佐野将宏さん、河野早紀さん、山内郁子さんの5人です。星川さん、古藤さんが3年生で、他は1年生。最近は1年生の夏休みにグループ展や個展をする人が増えてきているようですね。度胸があるというか、頼もしい限りです。