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あぁ、今日も… 昨日、徳島から帰ったというのに、今日は北へ向かう。 今月2度目の青森だ。 新幹線に乗って2時間、仙台を過ぎた頃には空腹を覚えていた。 空腹など近頃はすっかり忘れていた感覚だ。 我ながら不幸な日々を送っている。 もちろん、食べるのに困っていないことは幸せなことだが、腹が減らない生活など食のありがたみが感じられず、美味しさも半減する。 車内販売を呼び止めてどんな弁当があるか尋ねると、売り子は、牛たん弁当、ギュウヅメ弁当、釜飯、幕の内があると答えた。 牛たん弁当は、あれだ。 紐を引くと化学反応で急激に発熱して、ホカホカが食べられる仕掛けになっている。 20代の頃、一度食べたことがある。 急に思い立って友人たちと仙台、松島、牡鹿半島の旅に出た帰り、指定を取れず、自由席にもあぶれた私たちはデッキの床に座り込み、なにも知らずに包み紙に書かれた指示通りに紐を引いたのだった。 次の瞬間。 激しく白煙が立ち上り周りの客がキャッと小さな悲鳴を上げた。 そして誰より驚いたのは牛たん弁当を抱えていた私自身である。 危うく弁当を放り出すところだった。 地下鉄サリン事件の後だったら、大事になっていたかもしれない。 白煙の正体は単なる湯気だったのだが。 ギュウヅメ弁当は、牛詰め弁当だろう。 いずれにせよ今日は肉の気分ではない。 幕の内にした。 売り子は幕の内と言ったが、「吹き寄せ弁当 秋露のささやき~平成十九年~」という立派な名がついていて、1300円もする。 蓋を開けると、なるほど、値段に恥じないコンテンツで、総料理長の名前入りのお品書きまで入っていた。 悪のりが過ぎる。 問題は味だ。 美味しい。 弁当だから冷えていることを割り引いての評価になるが、とても美味しいと言って良いだろう。 煮物のかぼちゃなど一口食べて、すぐに食べてしまうのが惜しい気がして、イイモン残しにした。 魚の味もしっかりしているし、茸の煮浸しは都会のスーパーで買う茸にはない香りがした。 炊き込み御飯の上に載ったペラペラの松茸はご愛嬌。 揚げ物が硬かったのは目を瞑っても構わないだろう。 久しぶりの空腹感が作り出した幻の味だったわけではあるまい。 新幹線が盛岡を過ぎると、車窓には見事な紅葉が広がった。 でも、ちょっと遅過ぎなのでは。 神無月の晦日に北東北で紅葉を楽しむなんて。 今夜は寿司屋だという。 それを聞いただけで、お腹が鳴ってきた。 今夜もきっと満腹、満腹 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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