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あぁ、今日は… 海峡を越えて我が故郷へ。 その前に午前中は本州側で一仕事。 昼にトンカツ屋へ連れて行かれて、「中とジャンボとどちらにしますか?」と問われた。 我が集団のメタボ腹を見れば、答えは自明だ。 が、出てきたトンカツを見て皆絶句した。 大きい。 面積も普通のトンカツ屋よりひと回り大きいが、その上、厚みが1.5倍はある。 これが中なら、ジャンボっていったい… 食べ始めると皆無言。 一度箸を休めると、そこでくじけそうな気がするからだ。 一気呵成に食べなければ完食できそうにない。 肉の味がいいのがせめてもの救い。 そして、トンカツ早食い競争を制したのは、私だった。 疲れた。 パンパンに張った腹を抱えて海を渡った。 最初は揺れていたが、一眠りして目覚めると、揺れは消えていた。 故郷に帰ったとはいえ、仕事を終え連れと別れたらもう夕方である。 墓参りに行くには日が暮れてしまった。 家に寄ってみたが、父は兄の家に身を寄せているため、誰もいない。 それでも、仏壇に手を合わせ亡き母に帰郷報告。 ただ、すぐに帰るから、ろうそくも線香もつけられないのが不憫である。 私が帰った後に、火の不始末で丸焼け何てことになったら、一族に顔向けできない。 中途半端に時間が余った。 食事をするには十分な時間だが、まだ少しお腹がきつい。 薄闇の中、眠るでもなく、物思いに耽るでもなく、父がいつも座っていた椅子にぼんやり座って時を過ごした。 五稜郭に出て、土産にべこもちを買った。 木の葉形の白と茶色のまだら模様の餅だ。 物心ついた頃から普通にあったおやつだったので、どうも他の地にはないらしいと気付いたのは、だいぶ大人になってからである。 餅屋の主が30円引き券をくれたが、次はいつ来るか分からないと返した。 すると主はにっこり微笑んで、「期限無いからさ。もってきなよ。また来てよ」ともう一度、券を差し出した。 この割引券を使うのはいつの日のことだろう。 長生きしてくれよ。爺さん。 満腹、満腹 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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