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今日は5時半に起き、ひとりで帰郷。 といっても、日帰りだからのんびりはできない。 飛行機に搭乗して、ナイン・ストーリーズを開いた。 新潮文庫の帯には、まだあどけない少女の宮沢りえが微笑んでいる。 奥付を見ると、平成3年に刷った本だった。 ? 最初に読んだのは、もっと前のはずだ。 後で買い直したのだったかな? 帯がきれいに残っているから、妻のかもしれない。 ごく短い話の「バナナフィッシュにうってつけの日」を読み終えただけで、眠くなって寝てしまった。 目が覚めたら、眼下に故郷が広がっていた。 湾内の小島と陸地を結んだ砂州の上にできた街だけあって、海に浮かんだ1枚の紙のような頼りなさがある。 自分はこんな狭くて儚げな街に生まれ育ったのかと、ちょっとセンチメンタルな気分になったのは、シーモア・グラースの影響だろうか。 早い便で来たので、今回の帰郷目的の用事まで、そこそこ時間がある。 まずは、誰も住まなくなって久しい実家に行き、仏壇に手を合わせた。 合掌。 線香が燃え尽きたのを確認して、次は墓参り。 我が家の墓は山の麓から中腹に広がる墓地の一番上にあるので、冬場の墓参は躊躇したが、今日は天気が良く雪も解けてきているみたいだったので、行ってみたのだ。 仏花を買い、墓地の入り口まで来たところで、すってんころりん。 アイスバーンで転ぶ時は、訳も分からず気が付くと足を投げ出して宙に浮いているんだよなぁ。 そして、次の瞬間にしたたか腰を打つことになる。 やれやれ。 故郷を離れて四半世紀を過ぎ、雪靴など持ってはいないし、歩き方だっておぼつかなくなっている。 幸いに墓地の中の道は除雪され、その後は無事辿り着いた。 案外、墓の場所は忘れないものだ。 南無阿弥陀仏。 ぶらぶらと坂の上から港を眺めながら元町を横切り、宝来町に下り、寿司屋の暖簾をくぐった。 まずは、イカ刺しだ。 コリコリした耳の部分と、ねっとりした身の部分を交互に楽しむ。 それから、薦められるままに極上握り。 ソイ、マグロ。 ホタテ、ホッキ。 アカガイ、アワビ。 エビ、カニ。 カズノコ。 ウニで一丁上がり。 銀座でこれだけのものを食べたら、3~4倍の額を払うことになるだろう。 故郷の魚の味は格別だ。 用事に思ったより時間がかかり、再び自由の身となった時には5時を回っていた。 それでもフライトまで2時間半ある。 もうちょい故郷を堪能しようと思ったのに、空港行きのバスの時間が合わない。 仕方ないので、土産を買って早めに空港へ。 空港で塩ラーメンを食べ、ガラナを飲んで、短い帰郷を締めくくったのであった。 満腹、満腹 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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