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カテゴリ:昔話
今朝は勘違いして1時間早く出掛けてしまった私であるが、それでふと20年ほど前の出来事を思い出した。 主人公は私ではなく、同年代の同僚の女性だ。 いつもは決まって8時半前に出社していた彼女が、或る日、連絡もなく9時を過ぎても現れなかった。 彼女は感情に波のあるタイプで、ある時は誰もが持て余すほどのハイテンションかと思えば、突然何日も自分の殻に閉じこもって誰とも口を利かなかったりした。 真偽は確かではないが、自殺未遂の経験もあったという。 ただ、その方法が大酒を飲めば死ねると思って飲めるだけ飲んだけど、結局は急性アル中になり救急車で運ばれ一晩病院のベッドでのたうちまわっただけだというし、それを本人があっけらかんとしゃべるのだから、どこまで真面目に聞いてよいものやら困った覚えがある。 ともかくその時は、上司が心配して連絡を取れと言ったが、当時は普通の個人が携帯電話を持つなど考えられない時代だったし、寮暮らしだと自分の部屋にすら電話がない連中が珍しくなかったので、連絡の取りようがない。 そうこうしているうちに、彼女が出社してきて、素っ頓狂な声で「おはようございまーす!あれぇ?みんなどうしちゃったのぉ?こんなに早く全員揃ってるなんて…。もしかしたら、今日は何かイベントで早朝出勤でした?私だけ仲間外れですかぁ?」と叫んだ。 主任が「何を寝ぼけてるんだ。時計見てみろよ。今何時だ?みんな心配してたんだぞ」と言うと、彼女は「えええーっ。どうして?私、いつもどおりに起きていつもどおりに電車に乗ってきたんです。どこにも寄り道なんてしてないのに、どうしていつもより1時間も遅いんですかぁ?」と。 その場にいた誰もが、「それはこっちのセリフだ」という顔をしていた。 彼女の通勤経路が山手線なら、ついつい居眠りしているうちに何周かしてしまったということも考えられなくもないが、彼女の通勤経路に環状線はない。 結局、真相は闇の中。 彼女は、間違いなくいつもと同じ時間に寮を出て会社に向かったと言い張るのだから、それ以上、誰も追及はしなかった。 その後もいくつかの事件を起こした彼女もやがて結婚し、旦那の転勤に付いていくため会社を辞めた。 一度、海外から年賀状が届いたが、今はどこでどうしているやら。 満腹? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年04月25日 22時25分53秒
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