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カテゴリ:いろいろ
昼間Yahooの株の掲示板を見ていたら、東京電力のところに「前社長の退職金は5億円」という書き込みと、それに対する怒りのレスが並んでいた。 物騒な発言もあったが、さすがに今もう一度見たら危ない発言は削除されているようだ。 Yahoo以外でも、ググってみたら同じような書き込みがネットのいたるところに見られる。 しかし、待って欲しい。 退職金5億円という話は本当か? というのは、前に調べたことがあるのだが、東電は数年前に役員の退任慰労金を廃止している。 廃止前の分の打切り支給があるにせよ、5億円はないだろう。 で、調べてみた。 やっぱりそうだ。 平成20年度の有価証券報告書に記載があった。 それによれば、平成17年6月の株主総会で慰労金の打切り支給決議をしていて、その時の支給見込額は取締役10名に対して約6億円である。 ちなみに「見込額」というのは、支払の対象となる期間は取締役に就任してから平成17年の打切り決議までだが、すぐに支払われるのではなく実際に支払われるのは対象者が取締役を退任する時だからであり、(東電の規程は知らないが)一般的に支払時の事情に鑑みて増減できる制度となっているからだ。 つまり、前社長は今年の株主総会で退任したから、晴れて平成17年に決められた金額を受け取る時を迎えたのは事実である。 問題は金額だ。 対象となる平成17年当時の取締役10名のうち2名は社外取締役で、しかも2人とも在任期間は2年であるから2人合わせても1千万円以内かもっと少ない金額だろう。 残りの8人で6億円弱を山分けとなるのだが、当然に個人差がある。 つまり、在任期間や平成17年当時の役職が物を言う。 そうしてみると、現会長がダントツに在任期間が長いし、17年当時には社長だった。 他の7人は、在任期間は似たり寄ったり、ひとりは副社長だったが他の6人は常務になって1年かヒラ取のどちらか。 そうなると、当時の社長と副社長で半分から3分の2ぐらい持っていってもおかしくない。 よって、残りの6人は多くて5千万円前後ではないだろうか。前社長もそのひとりだろう。 というわけで、「退職金5億円」はガセネタというのが私の結論だ。 ただし、ひとつ逃げ道を作っておけば、東電の社長ともなれば社外の様々な要職に就いているであろうし、それらの中には退職金が支給されるものもあると思う。 チリも積もれば山となる。 それでもなお5億円というのは多過ぎるだろう。 それに、複数の支払先からの退職金の合計を知っているのは、本人と税務署(税務署とて来年の確定申告以後だろう)と、あとはせいぜい東電の秘書室が知っているかどうか。 いずれにせよ、現時点で表に出ることはないと思う。 ま、ネットの中では流言飛語など日常茶飯事だし、ガセと分かっていながら騒ぎを楽しみたいがためにレスする輩もいる。 いちいち真に受ける方が大人げないのかもしれない。 賢明な投資家は投資判断に当たってきちんと発行会社の開示資料を確認していると思うけど、老婆心ながら今日は余計なおせっかい。 とはいえ、過去の有報から打切り支給の記述を見つけ出しその意味を理解するのは、素人には難しいかもね。 上場企業の管理畑の人間にとっては朝飯前のことなんだけど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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