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午前2時過ぎのことだ。 けたたましい消防車のサイレンで、眠りから覚めた。 窓から外の様子を伺っていた妻が、「うちの前に消防車が停まったよ。うちが火事なの?」 私が外を見ると、消防士が坂の下の方へ走って行くのが見えた。 「もうちょい下みたいだな」 私がそう言うと、妻は「近いのかな?心配ね」と言いながらも布団を被って寝はじめた。 暢気な妻である。 リビングに降りてみると、娘が起きていて、「家の前に消防車がいるよ。次々来てる」と不安げにしているし、犬たちは大興奮状態だ。 家族を守るのは一家の主の務めである。 上着を羽織って外に出てみた。 向こうからホースを抱えて走ってきた消防士に「火事ですか?」と尋ねたが、見向きもされなかった。 ま、そりゃそうだな。 真夜中に消防車が何台もやって来て、消防士が走り回っているのだから、火事以外に何があると言うのだ。 我ながら間抜けな質問だった。 次にやって来た消防士に「どこですか?」と尋ねたが、これまた無視された。 これも愚問だった。 走り去る消防士について家の先の角を曲がると、百メートルほど先で激しく炎が立ちのぼっているのが見えた。 こんなに近いんだ、と驚く一方で、我が家まで燃えるようなら、この辺一帯が焼け野原になるわけで、そんなことにはなりそうもない、と少し安心した。 寝室に戻って布団に入ったが、窓の下で続く消火活動の音で、明け方まで眠ることができなかった。 報道によれば、この火事でおひとりが亡くなった。 冥福を祈る。合掌 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年01月14日 11時46分50秒
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