この本の主人公川島博はヤマハの社長川上源一とダイエー創業者中内功というワンマン経営者に仕えた類のないビジネスマンです。
強烈な個性を持つ二人の下で誠実に働いた日々を緻密な取材で再現しています。ビジネスマンの一読に値すると思います。
読みどころはたくさんあるのですが、あえてあげると、ヤマハ社長として市場空前の好成績を挙げながら、その頂点で会長の川上から「首」を斬られるくだりでしょうか。
この理不尽さは何度読んでも怒りに似た感情がわいてきます。にもかかわらず川島はその件に関してマスコミに一切コメントしよとしていません。
戦後企業社会の光と影が交錯を描いています。読む者は自分の来し方を振り返ることになるでしょう。一般のサラリーマンでも参考になります。
「社長の椅子が泣いている」