織田信長の「天下布武」を支えた武将たちは多く小説の主人公として登場していますが、この主人公”橋本一巴”は鉄砲衆200を率いているいわゆる小物です。が、その生き方は結構自分をつらぬいてていいです。
桶狭間の合戦では雨のため彼の活躍の場はありませんでした。その時は雨だったのですから。このことから、信長は「ことのほか不運な男。顔を見せるな」と言い放ちます。
それでも次の美濃攻略では、木下藤吉郎に3度も懇願され、墨俣の砦作りに協力、続いて朝倉攻め、浅井攻めにも出陣します。浅井攻めでは、命令に背き、浅井方に鉄砲を供給した国友の藤兵衛を逃がしたために、「真っ先に矢玉を浴びて死ね」と信長の罵声を浴びたりします。
信長と対立しつつも戦う鉄砲衆の心情を深く掘り下げて描いていると思います。また鉄砲と玉薬の記述は詳細です。長篠の戦いでの織田方の三段撃ち、保有鉄砲3千挺という伝説には著者は疑問を持っています。この件は他の本でも同様のことを読んだ記憶があります。歴史ファンには特に興味深い1冊です。
楽天市場へ
トップへ