著者: ヤエル・タミール 。
著者はイスラエルの労働党幹部で、オルメルト内閣の教育相です。
著者の問題提起は「ナショナリズム」と「リベラル」の共存です。硬派な本です。分かりやすいとは言えませんが、現代の政治思想の2大イデオロギーを二元論から離れて考えて見ることが必要なのではないかと、問いかけます。
今、世界では民族主義というナショナリズムが大きく台頭しています。ロシア、イスラエル、エチオピア、アメリカのユダヤ人は遺伝的共通点より、宗教と歴史を共有しています。
民族が運命の問題ではなく、文化を通じて想像されたイメージの共同体の問題とするなら、多様性を許容することも可能ではないか、と述べます。
パレスチナ人との融和を唱える著者は、政治的現実を踏まえて「リベラル・ナショナリズム」という理念を提唱しました。所属する集団と外部の集団との両方に対して多様性を認める寛容な精神を持つことです。
著者はイスラエルの重要ポストの人間として具体的に、イスラエル軍に閉鎖されたヨルダン川西岸の大学を再開しようとするパレスチナの学者を支援しています。
パレスチナ問題を抱えたイスラエルという現場から発信された点で、切実な現代の問題を投げかけています。
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