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テーマ:レンタル映画(818)
カテゴリ:★★★★
73歳になる老人アルヴィン・ストレイト(リチャード・ファーンズワース) は娘ローズ(シシー・スペイセク) と2人で暮らしている。
ある日、アルヴィンの元に、兄ライル(ハリー・ディーン・スタントン) が心臓発作で倒れたという知らせが入った。 アルヴィンと兄のライルは10年前に喧嘩をして以来、ずっと口すら聞いていておらず音信不通となっていたのだった。 アルヴィンが住むのはアイオワ州ローレンス。そして兄ライルはウィスコンシン州のマウント・ザイオンに住んでいた。その距離は約563キロ。 車だと1日で辿り付ける距離だが、アルヴィンには運転免許もなかった。 更にはバスなど公共機関の便も悪い事に加え、アルヴィンは眼も悪く、腰の調子も思わしくなく杖を2本も使っている。 そんなアルヴィンであったが、『兄ライルと幼少の頃に見た星空を眺め仲直りをしたい』、そんな一心で誰にも頼らず自力で兄の元に訪れることを決意した。 アルヴィンが選んだ移動手段は、何と時速約8キロのトラクター。 アルヴィンはトラクターに荷台を引き長い旅路に向かったのだった・・・。 1999年の作品。ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された実話を元にした作品です。 ずっと気になる映画でしたが、初めて観て、久々に良質な映画を観たなぁと感じました♪ シンプルなのはストーリーだけではありませんでした。 無用な回想シーン等も使わず、ほぼ主人公の言葉で語られるという極めて珍しい形で、構成・映像上も非常にシンプルでありました。 しかし逆にそれが非常に斬新でリアリティを持たせ、観る人の心の琴線に触れるのでしょう。 アルヴィンが出逢う人々が全て良い人々で、非常に温かい気持ちになりました♪ しかしそれと同時に偶然出逢った人々が心を通わせる姿を見て、利便性を極めた現代社会が失いつつある大事な価値観があることを改めて感じずにはいられませんでした。-_- アルヴィンを演じたリチャード・ファーンズワースの事をリンチ監督は『この映画のために生まれてきたような俳優』と称したほど適役だったと言っていたそうですが、本当にその通りでした。 撮影当時は79歳。実際にこれだけの演技が出来るという事はそれだけで感動しますし、夢がありますよね♪ 汚い言葉や暴力シーンは大嫌いで、そんな映画のオファーであればデイヴィッド・リンチからのオファーであれ参加しないと決めていたリチャード・ファーンズワース。 数々の映画に出演しながらも、この作品まではそれほど俳優としてフォーカスが当たっていなかった彼ですが、主人公アルヴィンの生き方、セリフを通じて彼のポリシー、そして人生を垣間見る事が出来るという点も、この作品の価値を高めています。 残念ながら翌年に癌を患い帰らぬ人となりましたが、心よりご冥福をお祈り致します。 いつまでも記憶に残る優しい作品でした♪ ★★★★☆ 総合評価:デイヴィッド・リンチ監督作としてはまさに異色。 家族で安心して観られる作品です。^-^ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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