仙燐眼

今年はかなり暑く又台風の当たり年でもあるらしい。

夏始まりということで
虫についてですが

私は若い頃、大の虫嫌いで
とんぼや蝶も苦手で
羽の生えてる虫は特に嫌い、
いつも逃げ回る状態でした。

特にゴキブリは大の苦手で、
幼い頃から両親が食べ物家業をしていて
店のドアが開いたり閉まったりが多く
そんな中で侵入してきたゴッキーと母の格闘を見て
自然と恐怖を覚えるようになった。

いつぞやか
母親の背中にでっかいゴッキーが飛びそこねた勢いで
入ってしまったところを目撃したことがある。

これは、
思い出すのもおぞましい、
恐怖の数秒間だった。

母の悲鳴
「ギャーーーーーーー！！！！！！！！！！！！！！－－－！」
が、店中に広がり
小学生だった私はただ怖がり、汗をかきながら、見つめるだけ。


母親は叫んでる間
一箇所の場所で一人メリーゴーランドのように回っていた。

回りきった後に、黒いものが
ポロッと落ちた。

その落ちた瞬間
母親の形相は怒りをあらわにして
勢い良く
思いっきり
サンダルでゴッキーを踏み潰した。

あわれ。

汚い緑がかった液を流したゴッキーの死体。

これが
今でも鮮明な思い出である。


私の元夫は
このゴキブリにあまり執着がなかった。

私と言ったら、
夜中、生ゴミの近くで

「ガサッ」という音を聞いただけで
もう何も考えられない状態。

「怖いから、
探して潰して。」
と頼んでも、

「どうせ、そのうち居なくなるから、ほっておけ」
と返答。

しかし、
それを放っておく間に卵でも落とされ
子供が生まれたら、
1匹→1万匹に増えるのはほんの一年以内にやってくる。

それを想像したら、
部屋の中、黒い羽を羽ばたかせる虫王国の暗黒の天井を見上げることになるのだ


そんなのは耐えられない

助けてくれないのなら、自分が闘うしかない。

意を決して自分で始末することに決めた。

これは、
かなりの勇気が必要だった、しかし、幼い頃の母親が背中を呈してまで闘った記憶があるから
多分出来るような気がした。


そして今、
とんぼも蝶もダメな私だが、
ゴッキーには勝てる自信がある。


今までも絶対に負けていない・・・全勝してる。

どんなに高い天井に張り付いていた時でも
タンスの奥に隠れたときでも
しぶとい執念で私は追いかける。

そして最後には必ず、
専用のスリッパでゴッキーの移動した方向を追い
手当たり次第にたたきまわる。
その光景はまるで、
狂ったかの如く、獲物をしとめる勢いでものすごいらしい。

それを見て子供がいつも笑う。

しかし、こっちは必死だ。

絶対にしとめる。

死体を見るまでは・・。


そして最後に本当に笑うのは、私なのだ。