【コンピュータ環境】新たな変化の波?堂々巡り?
私が社会で仕事についた1990年初頭、企業のコンピュータ環境は、メインフレームやホストコンピュータと言われた「中央処理システム」から、UNIXやWindowsに代表される「クライアントサーバ(分散処理)システム(C/S)」への移行時期でした。 1995年に発売されたマイクロソフト社のWindows95と米国軍需産業の産物であるインターネットの一般化により、社会はダウンサイジングの御旗を掲げ、ドラスティックにC/Sシステム移行を進めました。 C/Sシステムは、先進国においてコンピュータを専門家から一般大衆が手にできるレベルに大きく敷居を下げ、また、インターネットは一般大衆に世界規模の情報通信を提供してくれました。 従来のホストコンピュータは、コンピュータルームに出向いてそれに直接接続された専用端末を操作しなければならず、また、集計の範囲を変更するだけでもプログラマに依頼する必要があると言う、非常に利便性や自由度の低いものでした。 なので、当時年齢も若く、現場で情報化を推進していた私は、これまでに経験の無い世界規模の変化に興奮をしたのを覚えています。パソコンやインターネットは、世界の未来であり、希望であると確信していました。 そんな私も40歳代半ば。良くも悪くも冷静に、客観的に状況を見ることのできる年齢になってきました。 そんなこの数年、コンピュータ環境は「クラウドコンピューティング」への移行期に差し掛かっており、SaaSやPaaSへと変化していると言われています。皆さんが良くご存知のGoogleやAmazon.comが、その代表的な企業です。 20年余コンピュータ畑で仕事をし、その歴史の延長に現在から近い将来を見て思うのは、「あぁ、中央処理システムに戻ってきたなぁ」ということです。堂々巡りと言うか、チェンジング・スパイラルというか...。私の諸先輩でも、同じように感じている方が多いのではないでしょうか。 もちろん、1990年代以前の状態に戻る訳でなく、 中央処理システムというコンピュータ・アーキテクチャに戻って来たと言う意味合いです。 「温故知新」「歴史は繰り返す」では無いですが、コンピュータにおいても、出来事は時代に合わせてシチュエーションを変え、再び巡り来るようです。 先のクラウドコンピューティングも、「クラウド=雲=インターネット」を上記の「直接接続された~」と読み替えれば、その確信(コンピュータ・アーキテクチャ)は「中央処理システム」であることが推定できます。 よって、その長所も短所も、ホストコンピュータ当時のものを現在に当てはめて解釈し直せば、自ずと理解できるというものです。 ドッグイヤーと言われるコンピュータの世界も、変わらないものが幾つかあります。一つは、ノイマン型コンピュータであること。もう一つは、それを前提としたハードウェアとソフトウェアのビジネスモデルであることです。 前者は、コンピュータに進歩はあるが、進化が無いことを意味しています。後者は、結局何も変わっていないことを意味しています。 即ち、ノイマン型コンピュータの使用を大前提とした場合、「ハードとソフトの各メーカーが、交互に新製品を発売して旧製品の陳腐化を謳い、他社に勝ちたい企業(利用者)が販売店からそれを購入することに決める。すると従来のハードとソフトを前提にした企業用プログラムは動作しなくなるため、プログラム作成会社がそれを作り直して儲ける。すると期待したほどではないが、幾分便利に早く動作するようになったシステムに、企業側は文句を言いながらも代金を払う。」という構図(このサイクルは5年)です。 最近は、テレビと同じように利用者が無料でサービスを享受できるビジネスモデル(楽天ブログもそうですね)が採用される傾向にあります。 しかし、間接的である(製品やサービスを提供する企業から広告料を徴収し、テレビ広告を見た利用者はその企業の製品を買う)点を除けば、先の構図と大差はありません(と言ってしまえば、どの業界も同じになるか(^_^;)。 ともあれ、クラウドコンピューティングの時代が来ても「歴史は繰り返す」ならば、コンピュータ業界は、明日も飯を食って行けそうです。新3Kは、益々顕著になるのでしょうが・・・。 では、みなさま良いお年を。 (おわり)