【機器修理】SONY ZS-7 CDラジカセ "ソナホーク"
今回の修理は、「SONY ZS-7 "ソナホーク" CDラジカセ(発売日:1991年、69,800円)」だ。過去に紹介した同時期に発売の「ZS-5(54,800円)」の上位機種だ。ZS-5では別売だった「ジャイロステージ SWV-1(11,000円)」が、ZS-7では標準装備されている。 [SONY ZS-7 CDラジカセ] 当該機は、CDとW-TAPE、リモコンが機能せず、ジャイロステージは異音がする、とのことで修理の依頼をいただいたものだ。 ■主な故障と原因 CD認識せず、再生等も不可 → CD制御基板故障:電子部品故障(コンデンサ故障(16個)、トランジスタ2個)、CD光ピックアップの劣化CDトレー開閉不良 → ゴムベルトの劣化TAPE-A/Bとも一切の動作不可→ ゴムベルトの劣化無音時の定常雑音が多い → 各部電源系のコンデンサ故障(9個)リモコン操作不可 → コンデンサ故障(1個)ジャイロステージの異音 →モーター劣化(2個)、コンデンサ故障(1個)、タクタイルスイッチ(4個)■修理 かなり重症な状態。結果的に原因の大半は、電解コンデンサの故障であった。 まずは点検のうえ分解し、一見して液漏れ故障と判別できる電解コンデンサを複数交換。これらは、いずれもルビコン(Rubycon)社のYKシリーズだった。 もしやと考え、使用されている他のYKシリーズを取り外して点検したところ、容量の大小に関わらず全てが故障と判明。同社のCEシリーズも使用されていたが、こちらに問題はなかった。 よって、YKシリーズ故障と判断し、電源基板、音響基板、ジャイロステージ基板で使用されていた同コンデンサ全9個を交換した。 これにより無音時の定常雑音は解消し、各部に安定して電源が供給されだした。 時折開閉不良のあったCDトレーは、ゴムベルトが劣化していた。交換して回復。 TAPE-A/Bの動作不可は、ゴムベルトの劣化が原因。 これを交換・調整し、回復。 最難関はCDの不具合。原因は、大きく2つあった。 まず1つは、CD制御基板の故障。表面実装電解コンデンサが液漏れ故障を呈し、同基板と周辺部品の一部を腐食させていた。幸い、故障はしているが腐食のない同型基板の在庫があったため、まずはこの基板と交換した。 しかし、この基板の電解コンデンサも、表面実装タイプを含め、すべて劣化故障していることが判明した。全数(15個)を交換。 加えて、唯一使われていたタンタルコンデンサ(1個)も故障と判明し、これも交換。また、トランジスタ2個も劣化が疑われたため、これらも交換した。 もう一つの原因は、CD光ピックアップ(SONY KSS-240A)の劣化故障。これを互換品に交換・調整し、回復を確認。と簡単に書いたが、この回復に至るまではなかなかに手強く、修理・点検を繰り返す過程で、互換CDピックアップ2個を破損させている。当方の設備と技量では、現状これが修理の限界。 ジャイロステージの異音の原因は、モーター(2個)と判明した。 左右と上下の首振りに、各1個づつ同型のモーター「マブチ(MABUCHI) RF-320CH-12400」が使用されていた。交換したかったが、生憎同型品を入手できなかったため、既存モーターの軸受け部と接点に注油することで異音を軽減し、様子を見ていただくことでご了解を得た。 マブチモーターはその型番から諸元の大枠が判明するが、そこに表記されない細かな仕様違い品が、同じ型番で多数存在する(例:軸長さ)。このため、実際に入手して確認やテストをしないと、思わぬ支障が生じる場合もある。 一方、ジャイロステージの操作ボタンに使われているタクタイルスイッチ(4個)は、劣化が顕著だったため交換した。 リモコンの故障原因は、電解コンデンサ(1個)の故障だった。しかし、リモコンは組み立て後の分解を想定して作られていないため、強制分解すると筐体破損する場合が多い。よって、メーカーと同様に正常な同型リモコンと交換のうえ修理に代えた。 なお、上記のリモコン故障の原因は、この故障リモコンの筐体を一部破壊して基板を取り出し、調査した結果、特定したものである。 その他にも多数の修理を行い、エージングを実施。作業を完了した。♪ あの頃の懐かしい や や を もう一度 てみませんか 音楽と一緒に 懐かしい思い出が甦ります ♪ ☆ラジカセ・ミニコンポの【修理相談】はこちら!☆