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カテゴリ:本の感想 作家別-た行
シンクロニシティとまではおおげさですが
前述の読書案内で 太宰治作「走れメロス の創作の 発端であろう事件についても触れられていて驚いた翌日の朝 相方が買ってきたビッグコミック増刊号の誌上にこれが 太宰治生誕100年記念作品で 「どんぐりの家」の山本治氏が「走れメロス」と 前述の今作の発端と言われる事件を記した 檀一雄著「熱海行」を 作中 文字通り交互に描いています。 その熱海事件とは wiki の著作の発端より ~懇意にしていた熱海の村上旅館に太宰が入り浸って、いつまでも戻らないので、奥さんが「きっと良くない生活をしているのでは...」と心配し、太宰の友人である檀一雄に「様子を見て来て欲しい」とお願いする。 往復の交通費と宿代等を持たされ熱海に向かった檀を、太宰は大歓迎。檀を引き止めて連日飲み歩き、とうとう預かってきたお金を全て使いきってしまう。呑み代や宿代も溜まってきたところで、檀を人質にと説得し、太宰は東京にいる井伏鱒二のところに借金をしに行ってしまう。 数日待ってもいっこうに音沙汰もない太宰にしびれを切らした檀は、宿屋と飲み屋に支払いを待ってもらい、井伏のもとに駆けつけると、二人はのん気に将棋を指していた。激怒しかけた檀に、今まで散々面倒をかけてきた井伏に、借金の申し出のタイミングがつかめずにいた太宰は「待つ身が辛いかね。待たせる身が辛いかね。」 と言ったという。 後日、発表された『走れメロス』を読んだ檀は「おそらく私達の熱海行が少なくもその重要な心情の発端になっていはしないかと考えた。」と書き残している。~ 走れメロスは教科書で読んでいたのは覚えてましたが、 根性悪の私はあんまり好きな作品とは いえませんでした。 竹馬の友という言葉を知ったのもこの作品では ありましたが、自分の都合で呼び出して人質になってくれって 言い出すメロスになんだかな~と感情移入できなかったのですが この熱海事件の話を知って 早速 読んでみると 誰に太宰自身が投影されているのかと 思うと非常に面白みがましてきました。「待つ身が辛いかね。待たせる身が辛いかね」がただの言い分けだとしたら ちゃっかり話の最後で自分も 二人の竹馬の友の仲間に入れてもらう王にも思えたり やっぱり王都への帰路に葛藤し、くじけかけても立ち直るメロス自身かと考えたり、 セリヌンティウスを含め 三者三様の姿、その場その場の葛藤が 誰の心にもあるものなんだろうなと感じました。 しかし とんでもない放蕩、借金のはてに 作品を紡ぎだすって、、、、 こっちから お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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