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カテゴリ:本の感想 作家別-な行
"西の魔女が死んだ"(本の感想、映画の感想)
の著者 梨木香歩氏の 長編ファンタジー これまで読んだ梨木作品は どれも幻想的なものを含んではいても どこかしら現世に深く密着していたイメージがあったのですが 今作 「裏庭」の主人公 照美は日本人であり 住んでいる所も日本 しかし 作品の雰囲気は どちらかというと 「アリスの不思議な世界」など 英国の児童文学的な香りがする作品でした。 内容情報】(「BOOK」データベースより) 昔、英国人一家の別荘だった、今では荒れ放題の洋館。高い塀で囲まれた洋館の庭は、近所の子供たちにとって絶好の遊び場だ。その庭に、苦すぎる想い出があり、塀の穴をくぐらなくなって久しい少女、照美は、ある出来事がきっかけとなって、洋館の秘密の「裏庭」へと入りこみ、声を聞いた―教えよう、君に、と。 少女の孤独な魂は、こうして冒険の旅に出た。少女自身に出会う旅に。 あらすじにあるように 主人公 照美は 双子の弟を失い、 かつ 両親から愛情、関心をもたれていないという 心の瑕(きず)をもつ少女 ひょんなことから「裏庭」と呼ばれる異世界へと迷い込み ”テル・ミィ(Tell me)”と名を得て 元の自分の世界に戻るため 迷い込んだこの世界の崩壊をとめる旅にでます。 ムーミンにでてくるスナフキンに似た青年 スナフを旅先案内人として 彼女の旅は 世界の崩壊をとめるという名目の 自分や 母親、はては祖母にいたるまでの 心の瑕(きず)と向き合わざるおえないものでした。 ひどく傷ついたり 時には 自分自身が傷を追わせる立場と なって 涙と血をしたたらせながらすすまなければ ならない テルミィの姿に 誰か 助けは来ないの~と 読んでいるこっちが 助けを求めてしまいますが 来ません 自分の足ですすみ 考え 知恵を借り 折り合いをつけ 行動する 無理に傷をふさぐのではなく 時には 血を流し 自力で治していく それはすなわち 哀しいことに蓋をするのではなく 見つめ 時に涙をながし 慟哭し 自分の中に消化して 生きていく力を養っていく 再生の物語でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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