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カテゴリ:本の感想 作家別-な行
平成9年 江戸川乱歩賞受賞作です。
余談ですが この時 僅差を争ったのが 亡国のイージス等 近年映画化でも話題をさらった 福井晴敏氏の処女作 「川の深さは」 こちらの落選をおしんだ大沢在昌氏が 「是非リベンジを」とエールを送り 翌年『Twelve Y. O.』で同賞を受賞したことは 福井ファンには有名なこと と 破線のマリスの感想のはずが 他の作品のこと書いてどうするっ! ですが、、、 本作 出だしから読後にいたるまで 終始 気分が悪くなりました! ヒロインに欠片も好意をもてない。 主人公遠藤瑤子はやり手の映像編集者 人気ニュースTV番組を担当し 裏付けのない虚偽報道スレスレの編集映像を 繰り出しながら その出来上がる 卓越した映像画像が 視聴率をささえているという日々 そんな瑤子の元に 一本のビデオテープが 届けられます。 それには郵政閣僚とさる市立大学との 衛星放送の事業展開をもくろむ癒着にからんでいた 弁護士の事故死が 実は計画的殺人だったのでは という内容が そして いつものように 確証も調査もないまま そのテープの編集を行い ビデオに映っていた 一人の郵政閣僚が手を下したかのような印象を与える 映像を 放送 はたして 罠にはまったのは その閣僚か それとも 瑤子自身なのか、、、と 作者は ドラマ坂の上の雲の脚本も手がけていた 故 野沢尚氏 テレビドラマの脚本家でも あり TV業界の裏、特にニュース報道における 綱渡りの描写は ぐいぐいと引込まれて行きます。 タイトル 「破線のマリス」の 破線は テレビ画面のこと そして マリス → malice 悪意 恨み ここでは 報道の送り手側の意図的な作為 悪意を さしています。 しかし ありきたりの映像では視聴率をかせげず センセーショナルな映像を造り出すためには マリスを利用せざるおえないのも ある意味事実! 報道の影響のすさまじさと 同時に 制作者は いかにマリスを排除していくか そして 視聴者は マリスに踊らされることなく 報道されることに対して 自分の目でみることを 心がけること 報道の内容だけでなく NHKがhi放送を止めると 発表したり BS放送への移行や 財力によるマスメディア独占等の話題が にぎわっていた90年代後半 センセーショナルな作品だったことは 十分うなづけました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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