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カテゴリ:本の感想 作家別-ま行
話の続きが気になって気になって
読み始めるとなかなか本を離せなくなってしまう作品でした。 とはいいつつ 物語当初の 讃岐国、丸海藩の海の描写 丸海藩の立場の複雑さ 産業を踏まえての分化された町並みの構図などの描写は 作者が架空の藩を創作することに心血をそそいでいるのが 十分に伝わって想像もしやすいのですが 描写が詳しければ詳しいほど 時代背景をふまえたその舞台の地の香り、 息吹が感じられないのがちょっとつらかったです。 幕府の要人であった大罪人、 加賀様を”預かる”立場となった丸海藩 その”人”の処遇によっては 幕府に 藩のお取り潰し要因を与えかねないという 緊張感に加え、伝え聞く”加賀様”が起こした”悪”に 対する不安が増大していくなか 丸海の地に次から次へと 災厄がふりかかり 怪異を語っている物語ではないと 分かっていても 人の心が呼ぶ”闇”の深さには ただただ圧倒されました。 哀しいばかりの生い立ちをもつ主人公”ほう”と加賀様との交流は 物語の予定調和ではあるのですが 劇的な出来事がおこるわけでもなく淡々としながら 心のつながりができあがっていく姿には もう目頭がじ~んと熱くなっていました。 ただ人があまりに死んでしまって、 それが物語の中で本当に必要だったのかは 疑問
讃岐国、丸海藩――。この地に幕府の罪人・加賀殿が流されてきた。以来、加賀殿の所業をなぞるかのように毒死や怪異が頻発。そして、加賀殿幽閉屋敷に下女として住み込むことになった少女ほう。無垢な少女と、悪霊と恐れられた男の魂の触れ合いを描く渾身の長編大作。
加賀様は悪霊だ。丸海に災厄を運んでくる。妻子と側近を惨殺した咎で涸滝の屋敷に幽閉された加賀殿の崇りを領民は恐れていた。井上家を出たほうは、引手見習いの宇佐と姉妹のように暮らしていた。やがて、涸滝に下女として入ったほうは、頑なに心を閉ざす加賀殿といつしか気持ちを通わせていく。水面下では、藩の存亡を賭した秘策が粛々と進んでいた。著者の時代小説最高峰、感涙の傑作。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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