湖の彼岸　－向こう岸の街、水面に映った社会、二重写しの自分－

痴呆から天才へといたるにつれ
逆に迷路に迷い込んでいくﾁｬｰﾘｰの孤独
彼が解こうしていたものは他者と記憶､自分という他者

ﾁｬｰﾘｰの作った迷路の出口を必死に探そうとするﾓﾙﾓｯﾄ･ｱﾙｼﾞｬｰﾉﾝを励ますﾁｬｰﾘｰ
ﾁｬｰﾘｰを見つめるもうひとりのﾁｬｰﾘｰの作った迷路の出口

自分という他者のつまずき
優しさを忘れかけたﾁｬｰﾘｰとｱﾙｼﾞｬｰﾉﾝ
知性の償い､ｷﾘｽﾄ教的愛
仏教的涅槃、痴呆への回帰

ゆらぎない自分のための歌を歌ってよｱﾙｼﾞｬｰﾉﾝ
もうひとりの自分､ｱﾙｼﾞｬｰﾉﾝに花束を

｢ﾃﾞｨｱ ｱﾙｼﾞｬｰﾉﾝ
優しさには出会えたか？
迷路のようなこの街のざわめきに

ﾃﾞｨｱ ｱﾙｼﾞｬｰﾉﾝ
ぬくもりには出会えたか？
抜け道をいつも探していたお前に｣
(氷室京介)