テーマ:家を建てたい!(9925)
カテゴリ:欠陥住宅
昨夜は「欠陥住宅被害東海ネット」の例会に出席してきました。
欠陥住宅全国ネット(欠陥住宅被害全国連絡協議会)の京都大会の報告とともに5月に名古屋地裁であった鉄骨住宅の裁判結果報告があったのですが、例会当日6月17日のお昼に最高裁で出された判断がとても重要であるとして、担当した中京法律事務所の石川弁護士より急遽、緊急の報告がありました。 欠陥住宅に住んでいる人が、その建物を欠陥だと裁判で認めさせて建て替えを勝ち取ったとして、判決まで住んでいたなら住んでいることによる利益といったものが訴えた側(住んでいる人)にもあるんじゃないか、利益があるなら欠陥住宅に対する損害賠償額から利益額を差し引くべきじゃないか、という解釈があるそうで、これまで裁判所によって判断が分かれていたんだそうです。 今回最高裁判所は、「欠陥によって建物に社会的価値が無いなら住んでいる人の利益なんて無いじゃん」という初判断を示しました。 結果、損害賠償額を丸々認め、「判決まで住んでいたからと言って損害賠償額から減額しちゃイカン」と云う判決を出したのです。 新聞各社のウェブ版でも報道があったので記載します。 朝日新聞 「欠陥住宅、居住期間に応じて賠償減額認めず 最高裁」 2010年6月17日21時20分 業者の重大なミスで新築住宅を建て替えなければならなくなったとき、業者は住民が住んだ期間に応じて賠償額を減らせるかが争われた訴訟の上告審判決が17日、あった。最高裁第一小法廷(宮川光治裁判長)は「構造上の安全性にかかわり倒壊のおそれがあるなど、建物に社会経済的な価値がないときは減額できない」とする初めての判断を示した。その上で、減額を求めた業者側の上告を棄却した。 ・・・・。 毎日新聞 「欠陥住宅訴訟:賠償額から居住利益控除せず 最高裁初判断」 読売新聞 「欠陥住宅建て替え費訴訟 「居住による減額」認めず 最高裁」 裁判例情報 平成21(受)1742 事件名 損害賠償請求事件 裁判年月日 平成22年06月17日 法廷名 最高裁判所第一小法廷 裁判種別 判決 結果 棄却 原審裁判所名 名古屋高等裁判所 原審事件番号 平成20(ネ)1063 原審裁判年月日 平成21年06月04日 裁判要旨 購入した新築建物に構造耐力上の安全性にかかわる重大な瑕疵があり,倒壊の具体的なおそれがあるなど建物自体が社会経済的価値を有しない場合,買主から工事施工者等に対する建て替え費用相当額の損害賠償請求においてその居住利益を損害額から控除することはできない →判決全文 欠陥住宅訴訟では、建築主(被害者)が工務店から損害賠償を引き出しても、上記のような「居住利益」控除論によって減額されることもあり、現実には建て替えることが出来ずに危険な住宅に住み続けるなど泣き寝入りのケースもあった中で今回最高裁が初判断を示したこは大きな意義があるんだそうです。 この判決はこれら最高裁の新解釈を含んでおり。今後の裁判に大きな影響を与えそうです。 判決文より補足意見を紹介します。 裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。なお,裁判官宮川光 治の補足意見がある。 裁判官宮川光治の補足意見は,次のとおりである。 建物の瑕疵は容易に発見できないことが多く,また瑕疵の内容を特定するには時 間を要する。賠償を求めても売主等が争って応じない場合も多い。通常は,その間においても,買主は経済的理由等から安全性を欠いた建物であってもやむなく居住し続ける。そのような場合に,居住していることを利益と考え,あるいは売主等からの賠償金により建物を建て替えると耐用年数が伸長した新築建物を取得することになるとして,そのことを利益と考え,損益相殺ないし損益相殺的な調整を行うとすると,賠償が遅れれば遅れるほど賠償額は少なくなることになる。これは,誠意なき売主等を利するという事態を招き,公平ではない。重大な欠陥があり危険を伴う建物に居住することを法的利益と考えること及び建物には交換価値がないのに建て替えれば耐用年数が伸長するなどと考えることは,いずれも相当でないと思われる。 裁判所では難しい議論をしているんですね。 今回の定例会も勉強になりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年06月18日 16時53分34秒
コメント(0) | コメントを書く
[欠陥住宅] カテゴリの最新記事
|
|