テーマ:悪徳な業者に注意!(4)
カテゴリ:現場報告(新築住宅)
「震度5強で倒壊の恐れ」、岡崎市が違法マンションに除却命令 ケンプラッツ 2013/02/22 愛知県岡崎市は2月12日、市内の賃貸マンション「マンション エトワール」所有者に対し、マンションの現況が建築確認申請時に提出された設計図書と異なり、著しく耐震性能が低いことから除却を命じた。市は、同マンションの耐震性能について、震度5強程度の地震で倒壊する恐れがあると判断している。 →記事 工事中の写真がアップされていますが、今時珍しい「まともでは無い」鉄骨工事です。 誰の工事でしょう。 1.鉄骨工事をしたことが無い建築とは関係の無い鉄骨屋さんか、 2.建築の常識を知らない建築関係の鍛冶屋さん(鉄骨業者)でしょうか。 鍛冶屋さんの話はまた後でするとして その他の不具合や違法に関しては * 基礎に地中梁が無い * 防火区画が無い * 構造計算上 必要な耐力が無い と記事にあります。 それ以外にもなぜか記事では触れていませんが 5階建てのハズが写真を見る限り、「6階」部分があります。 明らかに違法な姿で・・・・(^^)。 鉄骨造なので、震度5で倒壊するかどうかは分かりませんが 6階部分は崩壊するだろうな(*^_^*)と思います。 工事途中で行政による中止要請があったにも関わらず 強引に完成させたばかりか、 工事が遅れたとして行政を訴えるという強心臓の建築主さん・・ どんな人なんでしょうね。 こういう建築主さんに関わった工事会社さんや建築士さんも災難ですが、関係者も違法な建築物は建てない、という態度を貫けなかったのでしょうか。 6月に確認済証(建築の許可みたいなもの)が発行されて、翌月さっそく「市民からの通報」があったところをみると、近隣関係も色々あったのかも知れないですね。最近は「市民からの通報」で工事がストップする話を良く聞きます。 建築主さんは、自分がお金を出して建てる建物なので、いいからやれ、と言ったり、自分が責任を取るから とおっしゃったりしますが、もはや そーいう時代ではありません。関わった人達も専門家として罪に問われたりペネルティーを受けたりします。建築主が「俺の責任」と気張っても鼻で笑われるだけで、救うことなんか出来ません。 さて鉄骨工事ですが 1991年頃、鉄骨造の不良工事が社会問題化して、翌年愛知県でも取扱い要領が定められました。 多くの不良工事は、建設ブームによる鉄骨加工業者の不足から、技量不足の業者による工事や異業種の参入などによって起きました。同時に、それが横行したということは、監理者の理解不足、監理能力または管理能力の不足があったということでもあります。 異業種とは、例えば 当時商社から仕事を受けた下請け鉄骨業者が仕事を捌ききれずに孫請けへ、孫請け→ひ孫受け、ひ孫受け→ひひ孫受けへと仕事が流れ、行き着いた先が製缶業者だった、というケースもあったようです。(1991/05/13日経アーキテクチャ) 鉄骨の不良工事を世間が知るのは、読売新聞が不良鋼板や不良施工のキャンペーンを張ってからで、これら事情を受けて、行政による指導が強化されました。 愛知県では ・設計図書への記載事項の徹底 ・鉄骨施工業者を、認定工場とすること ・受け入れ検査の実施 ・溶接部分の第三者検査 ・報告書提出の徹底 ・建築用鋼材であることの証明、流通経路を示す書類の提出 などが実施されるようになりました。 平成4年から平成7年にかけてのことです。 もう20も前のことです。 今時 と感じる気持ち 分かって頂けるでしょうか。 最も、専門家はこれらの事情を知っていても一般の人の記憶には既に無い情報でしょうから、依頼を受けた専門家側が、安全な建物となるべく建築主にアドバイスし続けていくことが必要になります。危険な建物を建てるよう指示するような建築主は論外ですが。(結構いるんですよ、20年もてばいいから、とか。) 最後に 実は鉄骨工事は、昭和50年(1975年)にも溶接不良が業界内で問題視されたことがあります。 1982年の日経アーキテクチャの「私の視点」の記事です。 「我々、東京・千代田区役所の技師グループ(千代田建築研究会)が「建築鉄骨の実際と問題点」と題する報告書を作成したのは、昭和50年2月のこと。もう、あれから7年たった。 中略 残念ながら、これら鉄骨造の現状は調査当時からそれほど改善されたとはみえず、今日でも“不良鉄骨”が取りざたされることが少なくないと思われる。 中略 まさに鉄骨問題は“建築士の問題”なのである。」 1982/11/22 日経アーキテクチャ 「不良鉄骨は設計の問題でもある」掘健一郎 業界はずっと同じ問題を抱えたままです。 建築主のモラルの問題も含めて。 それが時々何かの拍子に顕在化するにすぎません。 専門家が商売に流されず、 高い意識で市民に向き合うことが大事です。 自戒を込めて。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年03月02日 11時23分19秒
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