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テーマ:タイ(3327)
カテゴリ:タイ語
前回、「海」のタイ語、「タレー」の声調は、
普段の会話では「平声+平声」、 丁寧に発音する場合は、綴りどおりの「高声+平声」なんだと思うと書きました。 このような「平声化」現象は、複音節語で最後以外の音節に「短母音+末子音なし」 がある場合に見られます。 が、じっくり考えてみると「平声化」といっていいのか 少々疑問なのです。 というのも、声調が平声になるだけでなく、短母音も軽く発音されるからです。 悩んでいるところでHiroさんから素晴らしい助言をいただきました。 「弱化」という概念です。ウィキペディアの「母音弱化」を読んでみると、 「中国語の軽声」も母音弱化なんだと書いてありました。 待てよ。「軽声」って言葉は見覚えがあるぞ! 実はこの問題解決のために様々なタイ語テキスト・辞書に目を通しました。 私が見つけた限りではこの点に触れている書籍は3つ。 その一つ、『タイ日大辞典』冨田竹二郎の最初の部分、「タイ語の声調」で、 「・・・、むしろ中国語でいう“軽声”として取り扱うべきであろうが、 タイの国語界ではまだ重読と軽声の問題は取り上げられてはいない」 と解説されているんです。 ちなみにあとの二つは、『タイ語の基礎』三上直光と『ニューエクスプレスタイ語』水野潔です。 いずれも「軽声」という語は登場しないものの、この現象が解説されています。 以上のことから、もしかしたら「平声化」というよりは「軽声化」として 扱った方がいいのかも知れませんね。 そうするとタイ語の発音記号表記の見直しも検討の価値がありそうです。 というのも、平声と軽声の区別がしにくいからです。 まぁ、「声門閉鎖音」記号(「?」みたいなヤツ)の有無で判断できますが、 中国語のように平声に「―」の記号を使うのもいいかも、と思います。 冨田辞書が出版されたのはもう随分前。 きっとタイの国語学界やタイ語教育学界では既にこの問題の 説明がなされ、論文も多く書かれているのかも知れませんね。 いつか時間があったらバンコクの図書館に籠もって調べてみたいです。 で、実はこれで終わりではないのです。 まだ次回へと続きます(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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