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カテゴリ:【小説】加藤英雄無頼控え
加藤英雄出奔前夜。仙台の町だ。
いつもの喫茶店愛香無で英雄は飯を喰っていた。本日のランチごちゃ混ぜディナーだ。 「英雄君、最近静かだねえ」とマスター。 「愛香無も静かだねえ」 英雄は午後一杯この店で一人きりだった。学校はどうした。 「それは言わない約束だねえ」 「コーヒーお代わり」 「ポットで持ってけ、この野郎」 英雄は不思議と一人でいる時は酒を飲まない。コーヒーで今晩過ごす気だ。片手には本。中身はさっき隣の本屋で買ったばかりの鈴木大拙著「禅とは何か」。 静かに時間が流れた。 「読み終わった」 英雄は文庫を約一時間で読む。異常なスピードだ。 「面白かったかい」 「さっぱり分からなかった」 「あんたにゃ、早いよ」 「やっぱそうか」 英雄は閉じた本の表紙をじっと見ながら呟いた。 「おかしいよ、最近。事件はやってこないし、喧嘩もない。女も来ないし、そうそう、菅原君も来ない」 「菅原は田舎に帰っている」 「他は?加藤英雄居ることろ事件あり。それがここんとこさっぱりだし、禅の本とか読んでいるし」 英雄は相変わらず本の表紙を眺めていた。 「変だなあ。本当に変だ」と英雄。 暫く時間が過ぎた。マスターは英雄がじっくり考えているのだろうと気を使って洗い物を始めた。 カランかラン。 「いらっしゃい。おっ、川中君、英雄君は奥だよ」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/05/28 07:48:13 PM
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