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2007/04/17
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昭和の最後

暴対法前

この男との付き合いが始まったのは一ヶ月前だった

たった一ヶ月前

「帰ろう」

「ああ」

私は夜働いている

高校の時に両親が出て行って

妹二人を私が食べさせている

何回か昼の仕事をしたけどやはりここに戻ってくる

この男

物静かでいつも固まったように

頭が弱いのかと思うときもあるくらいぼ~っとしていたり

私たちの控え室で本を読んだり寝ていたり

時折出かけてはママが持っている店の揉め事を片付けているようだけど・・・

妹達との暮らしに疲れた時に

この男の胸にもたれて泣いた

何の反応もなかったがそれが本当の父親のようで嬉しかった

私の父はよく私をぶった

理由なんかない

この男

年は私とちょっとしか変わらないようだ

私は18歳

部屋に行ったけど

ちょっと調べてみたけど(それでもこのひとは何も言わない)

本とラジオがあるだけ

行く度に本が増えているから

本が好きなのだろう・・・位しか分からない

一度彼の喧嘩を見た

相手は私も知っている有名な不良だった

彼は倒されたと思ったら

座ったまま敵の急所を殴りまくった

男性は痛いらしい

アッパーというパンチ(彼の部屋にある本で読んだ)

それを急所にいれて倒れたところに

彼はやっと立ち上がって相手の首を少しずつ踏んで

「街を出ろ。なっ」

優しくささやいた


彼の部屋

「あんたなんか産むんじゃなかった

どうしてあんたは私に恥をかかせるのよ

何で私の言うとおりにできないの・・・」

彼が感情を表したときだった

電話口からでも

そのまま聞こえてくる怒鳴り声

彼は耳を遠ざけて

私を振り向き“苦笑い”をした

「聞くか」

私は彼に手渡された受話器を耳に当てた

当てる必要もなく声は聞こえていたが

何分かして返そうとしても

彼は苦笑いをしながら

「聞いてろ」

私は受話器を押さえて

「ねえ。誰なの」

「誰って。母さんだよ」

「本物の?」

「本物だよ」

まだ受話器から声がする

「聞いているの。分かってるんだからね

どうせ受話器を置いて無視しているんでしょう」

ずっと喋っている

お母さんからすると

彼は本当に悪い人のようだ

彼は受話器を私からとって

「じゃ」

と言って電話を切った

暫くすると

また電話が来た

今度は男性の怒鳴り声だ

「誰?」

「父さん」

彼はまた苦笑いをした

「母さん、泣いているぞ。何だお前は・・・」

電話口から延々と続くのろいの言葉

「もう、いいわよ」

私が泣いてしまった

彼の苦笑いが痛かった

私は彼の手から受話器をとって

そして電話を切った

「出かけましょう。また電話がくるし」

私たちは出かけた

彼に車を運転させて海に向かった

彼は海のそばで少しだけ微笑む

彼がジュースを買ってくるという間

私は少し歩いたふと思った

私は彼に愛されていることを感じることができるが

彼は私が好きだということを感じてくれているのかしら

彼はサングラスを割って帰ってきた

「どうしたの」

「いきなり殴られた」

彼はそっけなく

でも海をみて微笑んでいるようだった

「さっきの本当にお父さんとお母さん」

「そうだよ」

腕を怪我したようだ

さすっている

「たまにかけてくる」

「そうなの。うちみたいに居ないのも困るけど居ても困るよね、あれじゃ」

「どのタイミングで俺を思い出すんだろうね」

「心配って感じじゃないみたい」

「お陰でヤクザなんか怖くなくなった」

「不幸中の幸いってやつ」

「変な言葉を知っているね」

彼は表情を変えなかったけど

でも冗談を言っているのは私には分かる

「あなたの部屋で読んだ」

「妹達が待っている。帰ろう」

「うん」

車の近くまで行ったら

数人の男が出てきた

「待ってて」

彼は叫び声をあげながら相手に向かって言った

その時彼は“笑っていた”

踊りのような喧嘩だった

「さ、帰ろう」

「うん」

私はびっくりしなかった

彼が嬉しそうなのが嬉しい

終わった

「俺って良い男か」

彼は楽しそうに帰ってきた

「うん」

「俺って悪人だろ」

「そんなことないよ」

彼は今日何度目かの笑い・・・照れ笑いをした

今日は一杯表情が見れたけど

どれも可哀相だった




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Last updated  2007/04/17 11:08:13 PM
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