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カテゴリ:【小説】十太夫先生お日向日記
「お染ちゃんがヒデ公の馬鹿と言ってぶりぶり怒っているのだが
ステ殿、ヒロイ殿、何か知らぬか」 ステとヒロイのあばら家に急に現れた美和姉さん ステとヒロイがなぜか唸って寝ている 「こ、こりゃお姉さん。すいやせん。ちょっと起きれないもので」 「そのままで良い良い」 美和姉さん、入ってきた 「どうしたのじゃ」 「兄貴の野郎。いきなりぶん殴りやがった」 ステが珍しく声を荒げて言った 「う、動けやせん」 ヒデ公の当て身は運動神経を断ち切る衝撃を与える 「何があったのじゃ」 「へ、へい。あっしとステが飯を食おうとしていたら お染ちゃんに会いに行っていた兄貴が帰ってきやしてね 『お染ちゃんとはどうだったんでえ』 って聞いた矢先にこうですぜ」 ヒロイの途切れ途切れの話を聞いて 「それは酷いの」 と美和姉さん同情した そこへ 「おう。ステ、ヒロイ。悪かったな 詫びに酒持ってきたぜ・・・ってお姉さんだあーーー」 とヒデ公が入ってきた 「これ、ヒデ殿」 「へ、へい」 「お座りなさい」 唸っていたステとヒロイの口元がちょっと上がった 「なんでしょう」 ヒデ公、座っても美和姉さんの2倍はあるが 一生懸命小さくなっていた 「お染ちゃんと何があったんじゃ」 「い、いやあ」 「わらわも殴るのかえ」 「め、滅相もねえ」 「では話しなさい」 ステとヒロイも必死に起き上がって、美和姉さんの横に座った 「へえ・・・ お染ちゃん、珍しく機嫌が良いもんで仲見世に誘いやしてね 『ヒデさん。お団子食べましょうよ』 『団子だあ。よっしゃ』 てなもんで、仲良くしていたんでさ まあまあ、団子なんて好きなわけでもないんですが食べてね そうしたらお染ちゃん、中屋でカンザシなんて見てですね」 「そして」 美和姉さん、怖い顔を崩さずに聞いた 本当はすでに笑いたいのだ 「欲しそうな顔をしているじゃないですか」 「ふむふむ。で」 「あっしは金がなかったんでさあ」 「何のことじゃ」 「だからですね 『ヒデさん、似合う』 なんて言われた日にゃ」 「言われた日にゃ」 「つい、 『似合わねえ』 って、言っちゃったんですよ」 「はあ」 これは三人だ 「いやもう買わなけりゃいけねえって思うじゃないですか その後は売り言葉に買い言葉 店の野郎も出てきやがって似合う似合うっていうものだから あっしも頑張りやして 『似合うわけねえだろ。馬鹿野郎』 『ちょっと、怒る事ないでしょう はいはい。私にはこんな綺麗なカンザシは似合わないわよ』 『何言ってやがるんでえ 似合わねえのはカンザシの方でえ』 『言ってる事が分からないわよ』 そこに 『お客さん。そりゃ、カンザシも可哀想ってなもんで』 なんて、また店の奴がへえってきまして 『そんなに言うなら待ってろい』 って言って、そこらの悪そうなのを捕まえて金を強請っていたら」 美和姉さん、口をぽかんと開けてあきれていた 「そうそう、お染ちゃんも今のお姉さんみたいな顔をして 怒って帰っちまったんですよ」 ヒデ公、頭をかいた 「ば、馬鹿者じゃの」 美和姉さん、ビックリ顔が直らない 「すいやせん」 ヒデ公、小さくなった 「ヒデ殿なりの気の使い方かもしれんがの」 美和姉さん、苦笑いした この男、本当はお染ちゃんにカンザシを買ってあげたかったのだ 「普通に似合うと言って、 後で買ってあげるからと言えば良かったのではないのか」 美和ねえさんのその言葉にステもヒロイも頷いた 「どうも面目ねえ」 あまりのあきれ加減にステもヒロイも殴られた事を忘れた 「困った男じゃの」 「へい」 「兄貴には参ったぜ」 ヒロイだった 人気blogランキングへ くる天 ブログランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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